FRBイエレン議長と日銀黒田総裁とSNBジョルダン総裁のコミュ力

FRBのイエレン議長の議会証言は、うまくバランスのとれた玉虫色の内容でした。

議会証言後の市場関係者のコメントを見ても、「利上げを急いでいない」とハト派的に受け止める人もいえば、「利上げが視野に入ってきた」とタカ派に受け止める人もいます。

年内に利上げはありそうというのはコンセンサスなので、ハトでもタカでも、違いは年内のいつごろから始まるかだけなんですよね。

イエレン議長は、これまでFOMCの議事録などでうまく利上げを刷り込んできました。

今回は中央銀行と市場の対話についてです。


悪いことは事前に刷り込み


FRBのイエレン議長と日銀の黒田総裁は、これまでかなりうまく市場と対話してきたと思います。

イエレン議長はFOMCの議事録で「忍耐強く」(patient)という言葉を削除して、徐々に利上げへの地ならしを進めてきました。利上げという、市場にとってよくないイベントを少しずつ刷り込んでいったわけです。

悪い知らせを長い時間かけて織り込ませに行くことで、市場のショックを和らげる手法です。

突然ですけど、今日いきなり利上げします。ずっと考えていたことなの。でも、いままで黙っていてごめんね。

というよりは、

もしかしたら、そのうち利上げがあるかも。だって、雇用だって伸びてるし・・・ まあ、でもインフレはまだ懸念しなくていいから、いますぐってわけじゃないの。でも、少しは考えておいてね。

とか言われる方が心の準備ができますよね。

イエレン議長の写真を見ていたら、こんな口調になってしまいました。(^^;)


サプライズは突然に


日銀の黒田総裁の黒田バズーカ第2弾は衝撃的でした。去年10月31日に発表した追加緩和は、まさにサプライズ。

東京市場では強烈な株高と円安が進みました。

予想外の追加緩和に市場は素直に反応したのです。それが日銀の狙いでもあったわけで、まさに黒田総裁が「魔術師」と称されるのも頷けます。

日銀の金融政策決定会合で、9人の政策委員のうち賛成が5票、反対が4票という、1票差での評決は異例です。追加緩和案は黒田総裁が提案したのですが、政策委員にとっても突然の提案だったことがうかがえます。

ともかく、ほとんどの人が驚いた追加緩和でした。

私も株価と為替の動きをみて血流が増えました。ボラが高まるとアドレナリンも高まる気がします。たまには、市場が狂喜乱舞する日があってもいいですよね。

日銀の黒田総裁はサプライズ的に発表することで、いい意味で市場が混乱するのを狙ったのだと思います。

これが、事前に織り込まれていたら、ほとんど効果はなかったでしょう。


スイス中銀のサプライズ


スイス中央銀行が1月15日に、対ユーロでのスイスフランの上限を撤廃すると発表したから、スイスフランは爆騰しました。

当日だけでなく、しばらくは立ち直れなかった人も多かったと思います。

このサプライズはどうなんでしょうね。

スイスフランの投機的なポジションをあぶり出した効果はあったんでしょうけど、それまで中央銀行が言ってきたことを突然やめるので、裏切られたと感じた人が多いのではないでしょうか。

このサプライズはあまり良くない例かなと思います。

思いますが、為替介入は基本的には不意打ちですからねー。為替は怖いです。


中央銀行は、金融市場に対しては優しく振る舞うけど、為替市場に対してはそれほどでもない・・・

と、思ってるのは私の偏屈な見方かもしれません。

中央銀行と市場の対話って、けっこうおもしろいです。

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