山崎元氏の銀行批判に思うこと

山崎元氏の「銀行がダメなのは『金融緩和』のせいではない」という記事を読みました。[外部記事]

ダメと主張するのはいいのですが、ちょっと無理筋な言い分だなーと感じました。

銀行や公務員は批判の対象になりやすいですね。悪く言った方が読者受けがいいのでしょうが、場合によっては悪い感情だけが残ってしまいます。それって良くないですよね。

90年代バブル崩壊で金融機関に公的資金が投入されました。しかしそこに至るまでには悪感情を煽る議論が激しくて、公的資金の投入が遅れに遅れました。

現状の分析と打つべき手については、感情は抑えて考えたいです。


山崎氏の主張を疑え


山崎氏の主張を引用します。

たとえば銀行が、有望なビジネスを見つけて成長のための資金を貸したり、あるいは顧客に対してコンサルティング的な付加価値を持っていたりするなら、例えば短期金利にスプレッド(利鞘)を乗せて貸してもいいし、何らかの手数料を別途取るビジネスで儲けてもいいはずだ。

それが出来ていないということは、銀行の存在と彼らが提供するサービスに十分な価値がないということなのであって、金融政策に根本的な問題があるわけではない。銀行の「ビジネスモデルの行き詰まり」にこそ問題があって、低金利政策はそれを分かりやすく露呈させただけだ。


どうなんでしょう。

規制緩和の流れとはいえ、銀行は免許制でガチガチの規制業種です。銀行法の規定により他業を営むことは禁止されていて、銀行の業務範囲は①固有業務、②付随業務、③他業証券業、④法定他業に限定されています。

業務規制の基本的な理念は、本業である預貸業務に専念しなさいってことです。規制を緩和して銀行のできることを拡大したら、融資を見合いにいろんな要求を通すことができてしまう恐れがあります。(参照資料

山崎氏は「問題の本質は『銀行のビジネスモデルの行き詰まり』」と指摘しますが、銀行業の規制を考えたら「何らかの手数料を別途取るビジネスで儲けてもいいはずだ」なんて簡単には言えないはずです。


金融緩和の副作用


預金者が受け取る金利はゼロになり、銀行の利益は削られています。マクロ経済としては、家計(貯蓄超過の主体)から政府への所得移転です。

乱暴な表現では、預金金利が減らされた分、政府の国債の利払い負担が楽になっています。

銀行をバッシングするのもいいのですが、マイナス金利の実質的な効果として家計から政府への所得移転という面も指摘すべきでしょうね。家計がマイナス金利やゼロ金利を受忍するのは、それによって将来的に景気が良くなって所得が増える期待があるからなのに、そこはあまり上手くいっていない気がします。

アベノミクスには功罪あると思います。

デフレマインドの払拭にはある程度成功したものの成長戦略は道半ばでしょう。日銀による大規模な金融緩和の「副作用」を含めてアベノミクスを冷静に検証する時期が来ていると思います。


銀行の利益は削られている


データで銀行のビジネスモデルを考えたいと思います。データの出典は預金と貸金は日銀、国債は財務省です。

まず銀行の運用利回りについて。

貸出金利と国債の利回り。それと貸出7:国債投資3で運用したときの利回りを載せます。日銀のマイナス金利の導入は2016年1月です。そこにオレンジの縦線を入れました。

bank01.png

次に銀行の調達利回りと、運用利回りから調達利回りを引いた利ざやです。

調達金利は定期預金の金利にしました。

bank01.png

趨勢的に銀行の経営環境は厳しいですね。


思うこと


銀行の経営環境は悪化する一方です。できることも限られてます。

好き嫌いは別にして銀行は金融の社会インフラです。経営破綻したら影響は大きいので堅実経営が国民の利益にかないます。間違った方向にリスクを取ってしまうと、スルガ銀行のようになってしまいます。

行き過ぎた金融緩和の副作用の一端だと思うんですよね、スルガ銀行は。

そういう点も含めて、問題があるのは銀行のビジネスモデルだ、日銀の金融緩和政策のせいにするのはお門違いだという山崎元氏の主張には違和感を持ちます。


あと、一言


引用します。

仮に、本業も儲かるようになった場合(根本的にはありそうにないと思うが)、金融機関は、運用商品販売による手数料稼ぎの手を緩めるのだろうか?

別のビジネスが儲かるようになったからといって、今儲かっているビジネスの手を抜くというようなことがあるだろうか。それは、経営者も株主も許すまい。捕まらずに盗み続けることができると確信するなら、泥棒は、腹ぺこでなくても盗み続けるだろう。


んー

このたとえは言い過ぎですね。

こういう評論は誰のためにもならないと思います。

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