今回、インベスターリターンと基準価額の騰落率(トータルリターン)のデータを収集し、比較することで「インベスターリターンはタイミング投資で低下するか」を検証しました。
答えはNoです。
なお、今回の話題からは少し外れますが、インベスターリターンをKPIとすることについては、過去記事「インベスターリターンはKPIとして適切か?」をご覧いただけたらと思います。
タイミング投資
さて、本題です。
安値で買って、高値で売るとインベスターリターンは向上すると言われます。逆に、高値でつかんで、安値で投げるとインベスターリターンは低下すると言われます。
単純化した図式では
インベスターリターン = タイミング投資
基準価額の騰落率 = バイアンドホールド投資
のパフォーマンスとなります。
なお基準価額の騰落率は分配金を再投資したトータルリターンです。
過去10年
10年以上前に設定された投信の中から、純資産総額の大きい100ファンドを選択して、インベスターリターンと基準価額の騰落率を比較しました。
データはモーニングスターのサイトから取得し、ETFやDC専用なども含んで、すべての上場、非上場投信を対象にしています。基準日は2018年8月末。
結果はこうです。

インベスターリターンが上回ったファンド数:58
基準価額の騰落率が上回ったファンド数:41
差が無かったファンド数:1
設定来
ファンドごとの設定来リターンでもインベスターリターンと基準価額の騰落率のデータを集計しました。

インベスターリターンが上回ったファンド数:55
基準価額の騰落率が上回ったファンド数:43
差が無かったファンド数:2
結果に差はない
今回は純資産総額の大きな100ファンド分のデータを取得しました。
インベスターリターンと基準価額の騰落率を検証したところ、どちらかが確実に有利、不利とは言えない結果でした。
平均するとインベスターリターンの方が高パフォーマンスでしたが、基準価額の騰落率との差に統計的に有意な差はありません。
なので、本日のテーマ、インベスターリターンはタイミング投資で低下するかの答えは、Noとなります。
過去10年と設定来のリターンを見る限りですけど。
思うこと
今回の検証では、タイミング投資がパフォーマンスを引き下げるとも言えませんし、引き上げるとも言えません。
結論としては、バイアンドホールドが好きならバイアンドホールドすればよく、タイミング投資が好きならタイミング投資をするのがいいと思います。
コアなポジションはバイアンドホールドしつつ、タイミング投資で強弱をつけるハイブリッド戦略もありですね。
AかBか、ではなく、AもBも、の方が楽しい気がします。
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※4019のメッセジーをくださった方へ
コメントと情報ありがとうございます。
では返信の形でご回答します。
1. 100銘柄に絞った理由
純資産総額の規模をある程度同じにしたかったためです。
件数のカウントや単純平均リターンで計測する場合、1000億円のファンドも10億円のファンドも同じ1ファンドの扱いになります。
全ファンドを対象にすると、投資家が少ない小型のファンドの影響度が相対的に大きくなるため、上位100ファンドで足切りしました。
あと、全件のデータを取得するのが大変というのも理由です。
2. 統計量
インベスターリターン
10年 平均6.24%、標準偏差4.28%
設定来 平均4.94%、標準偏差4.06%
基準価額騰落率(トータルリターン)
10年 平均5.61%、標準偏差3.52%
設定来 平均4.63%、標準偏差2.41%
以上です。
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※4021のメッセジーをくださった方へ
記事を書きました。こちらをご覧ください。
https://investoronline.blog.fc2.com/blog-entry-1153.html