インベスターリターンはKPIとして適切か?

投信のリターンを測るものに、モーニングスターが公表している「インベスターリターン」があります。

計測期間中の資金の出入りを考慮した「金額加重収益率」のことで、内部収益率(IRR)と同じものです。

今回、「運用会社である以上、経営理念にインベスターリターンを大きくすることを掲げるのは当然」との記事を目にしました。

ん・・・

ちょっと違うんじゃないかなーと思います。


森本紀行氏の記事


森本紀行氏の「投資信託の質の「見える化」は可能か」という記事から、気になった部分を引用します。[外部記事]

インベスターリターンですと、タイミングの効果が含まれるのです。インベスターリターンがファンドのリターンを上回るときは、基準価格の低いところで資金流入があり、また、基準価格の高いところで資金流出があったときです。

 (略)

実際、ドルコスト平均法を実践しても、インベスターリターンはファンドのリターンを上回るわけです。


この点、後半の部分に事実誤認があると思います。

ドルコスト平均法を実践しても、インベスターリターンはファンドのリターンを上回るとは限りません。


具体例で


投資期間10年でシミュレーションしました。

基準価額の動きは恣意的に、以下のように設定しました。

investorreturn1.png

当初の基準価額10,000円、10年後の基準価額は12,500円。

10年で25%の上昇で、年あたりのリターンは2.3%です。(年複利)


ドルコスト平均法で投資したとき


毎年10,000円でドルコスト平均法で投資した場合、

10年後の評価額は104,800円ほどになります。

これを「インベスターリターン」の計算方法で計算すると

年あたり0.9%です。

なお、計算上、その他の資金の要因はゼロにしています。つまり、ファンドを構成するのは例示の金額だけです。


どう考えるべきか


さて、ちょっとまとめます。

基準価額ベースのリターン:2.3%
インベスターリターン:0.9%

これをどう考えるか。

インベスターリターンは資金の出入りの影響を受けます。ドルコスト平均法であっても、相場の動きによっては「高値掴みの後の下落」となってしまい、インベスターリターンで計測したリターンは悪化します。

インベスターリターンを理想的なKPIとするには慎重であるべきです。


性急すぎる結論


引き続き引用です。

運用会社である以上、経営理念にインベスターリターンを大きくすることを掲げるのは当然ですから、KPIは、顧客の利益と運用会社の利益が一致していることの整合性の評価指標として、機能するわけです。


さて、どうでしょう。

「インベスターリターンを大きくすること」は、運用会社が努力したら改善できるモノなのかな。その点が大いに疑問です。

インベスターリターンは、資金の出入りとそのときどきの相場の状況で変わるものです。それをKPIとして押し付けるのは運用会社に酷な気がします。

短期売買を抑えるなど資金の出入りにある程度関与できるとしても、それは運用会社というより販売会社ですし。


思うこと


顧客本位とか、顧客と金融機関の共通利益とか、そういう理念はいいと思います。

ただ、現実に立脚しない理念は、単なるイデオロギーに過ぎない気がしますし、場合によっては混乱を招くだけの気がします。

インベスターリターンが運用会社のKPIとして適切なのか。

インベスターリターンの特性からして疑問。
運用会社のKPIとして疑問。

なので私は適切とは思わないんです。

運用会社に求めるものとして、インベスターリターンの増大はちょっと違う気がします。

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