預金の元本割れとインフレ 預金と投資と投機

物価が上昇すると、金利がほとんど付かない預貯金では購買力が維持できません。

それをもって「実質的な元本割れ」と称して投資をすすめる人がいるのですが、この手の話は要注意です。元本割れと、インフレによる実質購買力の低下は分けて考えた方がいいです。

複雑なことをごっちゃにすると、分かりにくくなります。


テンプレ記事


今日読んだ記事でちょっとどうかな・・・と思ったものに「本当に預貯金は元本割れしないのか?IFAに聞いてみた」があります。[外部記事]

テンプレのような記事で

1. インフレになると預貯金では購買力が維持できません。
2. それって、実質的な元本割れですよね。
3. 預貯金が安全、なんてのは神話ですよ。
4. 投資が怖いじゃなくて預貯金こそが怖いんです。
5. え?それでも投資は怖い?
6. 大丈夫、投資と投機は別ですから。

と話が進んでいきます。

インフレを煽って預貯金から投資に仕向けるのは筋が良いとは思えないです。(元記事の目的は分かりませんが、特定の金融商品に投資させることや、投資のアドバイスで料金を取る目的で不安を煽っているならなおさらです。)


預貯金と投資の話


預金は銀行に対する債権です。

私が銀行に預金するとは、私が銀行にお金を貸し、銀行が借りる関係です。なので、私が「貸したものは利息を付けてきっちり返してもらいまひょ」と言えば、銀行はちゃんと返してくれます。

安全ですね。

預金はお金の貸し借り。一方、投資は、お金の貸し借りではありません。

なので、「きっちり返してもらいまひょ」は通じないんです。投資した先の経営が上手くいけば大きくなるでしょうし、経済環境によっては投資した額を回収しきれないです。

きっちり返してもらうことが保証されない代わりに、上手くいけば大きく、下手すると小さく回収となります。

で、投資の場合は上手くいくときと下手するとき、いろんな可能性を含めた「期待値」が預貯金の利息よりは高いと見込むから投資するわけですね。


インフレ


インフレは経済現象です。

あまり深くは触れませんが、インフレが進むとは、物価が高くなり通貨の価値が下がることです。インフレの進行がある程度大きくなり、今後もインフレの高まりが予想されると、ゼロ金利は正当化されなくなり、やがて利上げとなります。

全体のインフレが進めば、ですけど。

元記事にあったように、人気のテーマパークの入場料とかの個別の値段ではなく。

で、日銀のレポートを読むと、マクロ経済的にはそう簡単には物価が上がる状況じゃないなーと思います。少なくとも今後数年で劇的に上がることは期待しにくいです。[参照]

インフレが進まないなら預貯金でもそれほど目減りすることはなく、インフレが進んでみんなが購買力低下で困る状況なら、おそらく金利の水準は今よりは上がっているでしょう。


さて、整理


インフレはマクロ経済の動きに沿います。

日本のマクロ経済を考えると、インフレが高まって困る状況は近々には見込みにくいと思ってます。リスクとして考えておくのはありだと思いますが、インフレと投資は分けて考えたいです。

預貯金の元本は安全です。

元本割れは考えにくいです。預金は法的には銀行に対する債権なので、きっちり返してくれと請求する権利があります。

投資は預金とは違います。

きっちり返してくれと請求する権利はありません。投資に応じた成果を回収することができますが、その額は本質的に不確実です。本質的に不確実なのだから、「投資」でも「投機」でも、元本の回収の点で危険があることは同じです。


思うこと


預貯金と物価を結び付けて、「実質ベース」で元本割れするリスクがあるとしているのは、ちょっと強引だなと思います。

実質ベースの元本割れリスクと、投資のリスクでは種類が違うので、種類の違うものをごっちゃにして読者を誘導しないほうがいいなぁーというのが率直な感想です。

あと、

元記事では「投資」と「投機」を区別していますが・・・

私は預金と投資の違いは、投資と投機の違いよりも大きいという考えを持っています。逆に言えば、投資と投機の差は、投資と預金の差に比べると小さい、ということです。

投下資金に対する請求権。

預金は確定。投資と投機は不確実。

一つの考え方です。

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