カテゴリ:難しい問題を考えてみた の記事一覧

どうやって死ねばいいの? 死に方に悩む記事に思うこと

AERAの「『どうやって死ねばいいの?』“死に方”に悩むシングルマザー、非正規労働者、フリーランスの現実」という記事を読みました。[外部記事]

AERAらしい記事です。

理性的な記事というよりは、感情に訴える記事だなと思いました。

今回は、この記事についての雑感です。


不安を煽る気満々の出だし


冒頭部分からしてセンセーショナルです。

「人生100年時代」に突入するニッポン。住み慣れた地域で老いて安心して死ぬことができたのは、もはや過去の話だ。非正規労働、シングルマザー、フリーランス、LGBT……。生き方が多様化する中、老後、そして「死に方」の不安とは。


いやぁ・・・煽りますね。

「住み慣れた地域で老いて安心して死ぬことができたのは、もはや過去の話だ。」って言いますけど、過去の人たちにしても、決して安心して死ぬことができたとは思えないです。

年を取れば体と脳の衰えが進み、人生の晩年では誰かの手を借りることになります。

それはどんな時代でも変わらないです。

どんな時代のどんな人でも、健康の面で老後に対する不安は多かれ少なかれ持っていたと思います。昔の人は老後に不安がなく、安心して死ねた。なんてことはないでしょう。


社会的属性に焦点


今回の引用記事は、シングルマザー、非正規労働者、フリーランスに焦点を当てています。

あと記事中にはLGBTの文字も。

あの・・・

社会的な属性に焦点を当て過ぎじゃないでしょうか。

正規雇用で安定した職場に勤める人よりも、シングルマザーや非正規の人の方が不安が大きいかもしれません。そうかもしれませんが、苦しい状況にある人の事例を持ち出して不安を煽るのはどうかなーと思います。

フリーランスは安定していませんが、自由裁量の余地が大きいです。一方、正規雇用者は安定していますが、組織に従属的な立場を強いられることがあります。

人生の質(QOL)を考えたとき、どっちがいいかに正解はないですね。


どんな生き方でも


どんな生き方をしても、どんな働き方をしても、伴侶がいてもいなくても、将来を不安に思う人は思うでしょうし、楽観的な人は楽観的だと思います。

たくさんお金を持っていても不安が強い人がいます。

一方、そんなに贅沢はできないけれど、使えるお金の範囲内で楽しく生きていく人もいます。

たくさんお金があって楽しく生きるのが理想ですが、どっちか一つなら、そんなに贅沢はできないけれど、使えるお金の範囲内で楽しく生きていく方を選びたいです。

私のまわりでそういう人がいて、将来的にはその人を見習いたいと思ってます。


思うこと


元記事には「どうやって死ねばいいの?」とあります。

大事なのは、死に方よりも「どうやって生きればいいか」ですね。

一人で穏やかに生きていくのも楽しい生き方。
夫婦で労わり合って生きていくのも楽し生き方。
友人とたまにお茶を飲んで話をするのも楽しい生き方。

自分が楽しいと思えばそれでよし。

悩みながら生き方を確立したいですね。

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日本のホームレスは、なぜ物乞いをしないのか

社会人類学の視点で、日本と北米のホームレスを比較した記事が東洋経済オンラインにありました。[外部記事]

「日本のホームレスは、なぜ『こぎれい』なのか」というタイトルです。

今回は、日本のホームレスと日本社会について


記事の内容よりも動画


引用元の記事は物足りないので、英語がそれほど苦にならない方なら動画をおすすめします。[動画]

記事では日本と北米のホームレスの違いを主に薬物問題、精神疾患、退役軍人の3つで語っています。動画ではこれに加えてもう一つ、物乞いがあります。

まず薬物。日本ではドラッグは手に入りにくいのに、米国では比較的かんたんに手に入ります。そのためドラッグ利用者は日米で大きな差です。動画から引用します。(画像クリックで拡大)

homeless_01.png

上から
Amphetamine 覚醒剤
Cannabis 大麻
Cocaine コカイン
Ecstasy 合成麻薬
Opioid アヘン

薬物の違いがよく分からないのですが・・・

米国では大麻が人気なのは分かりました。それ以外にも覚醒剤やコカインやアヘンも、全部多いです。

薬物に関する日米の差は歴然としているのですが、動画では日本のアルコール、タバコ、ギャンブルへの依存(中毒)も取り上げていました。

中毒性をもたらすものが米国ではハードドラッグ、日本では酒とタバコとパチンコと競馬といった違いがありますが、薬物にしてもアルコールやパチンコにしても、依存症とホームレスの相関性は日米ともにありそうです。


なぜ、物乞いをしないのか


日米の大きな違いに日本のホームレスは物乞いをしないという特徴があります。

その代り、空き缶のリサイクルや古紙のリサイクルで現金収入を得ます。

で、なぜ物乞いをしないのかですが、動画の中でギル教授は渡す側と受け取る側の両面で見解を述べています。

まず、渡す側ですが、日本では物を施すという文化が希薄だからではないかというものです。キリスト教、イスラム教、ヒンズー教では宗教的な活動として寄付を募り貧困者に渡しています。しかし日本では、そういう宗教的、文化的なものが薄いので人はあまりお金を渡さないのだろうとのこと。

一方、受け取る側ですが、お金を乞うことを恥と思う意識があると述べています。恥とプライド。それが物乞いよりは空き缶のリサイクルに向かわせているのでしょう。


ニワトリとタマゴ


で、日本で物乞いが少ないのは、渡す側にお金を渡す文化が薄いからなのか、受け取る側に恥の文化が強いからなのか。

あげようとしないからなのか、もらおうとしないからなのか。

これはニワトリとタマゴの関係のようです。

動画では「chicken and egg situation」と言っていました。

英語でもchicken and eggって言うんだ・・・と一瞬思いましたが、英語が先にあって日本語が後なんでしょうね。たぶん。


思うこと


日本では、なぜ物乞いがほとんどないのか。

海外を旅行すると北米でも欧州でもアジアでも、路上の物乞いを目にします。手に持ったカップをシャカシャカ揺すって小銭を要求する人もいれば、積極的に声をかけてくる子もいます。

で、思うのですが、日本で積極的に物乞いをしたら通報されるかもしれません。文化的、社会的な現実として、いまの日本は物乞いを許容していなんだと思います。

社会的に許容されないからやらないという面もありそうです。

それに空き缶のリサイクルで現金収入を得られるとか、段ボールハウスでなんとか生きていけるとか、ボランティアの炊き出しサービスがあるとか、ホームレス同士で協力し合うとか。そうやってなんとかサバイバルしていけるから物乞いをしないのかもしれません。

ほかの国に比べて、日本のホームレスは物乞いしなくても何とかなる度合いが高い。

そんな要因もあるような気がします。

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気に食わないものを気に食わないと主張するのは、権利ではなく自由では?

思想家で哲学者の東浩紀氏が「衆院選は積極的棄権を」と呼びかけています。[参照]

今回の総選挙は民主主義を破壊している。「積極的棄権」の声を集め、民主主義を問い直したい。そういう趣旨で署名を集めています。

今回は、権利と自由について


積極的棄権


棄権とは、権利を放棄することです。

権利を持っている人は行使するのも放棄するのも自由ですね。誰からも権利の行使を強制されないですし、放棄を強要されることもないです。

だから権利を放棄したいのならご自由に・・・とは思います。

ただ、広く、多くの人に権利の放棄を呼びかけるのはちょっとした違和感を持ちます。


権利と自由


東氏は、「こんな選挙などくだらない、そもそもこんな選挙をするのがまちがっている、すべてごめんだ、という権利が国民にはあるのではないでしょうか。」と問いかけています。

で、私はそういうのは権利ではなく、自由でしょ、って思います。

言論の自由です。


気に食わないと主張するのは権利かな


レストランのメニューが気に食わない。味が期待外れ。

そんなときに、このお店はもうごめんだ!とネットに書き込むのは自由ですが、もし、書き込むのが「権利」だとしたらどうでしょう。つまり、言論が自由ではなく「権利」だとしたら。

権利とは、本来侵されるものではなく、仮に侵害された場合には法律で保護される(救済される)ものです。

たとえば所有権ですね。

他人の土地に勝手に住み着くのは所有者の権利を侵害しています。所有者がしかるべき手続きを取れば、「強制的に」排除することも可能ですし、損害賠償を請求することも可能です。

また、投票することは国民の権利です。

もし誰かが投票を妨害したら、損害賠償ものですね。権利の侵害ですから。

ところで、言論が「権利」だとしたらどうでしょう。基本的にはその権利を侵害してはいけなくなります。


利害が複雑化しそう


言論が権利だとしたら・・・

ブログのコメント欄で、「とらが気に食わない。こんなブログなどくだらない、そもそもこんなブログをするのがまちがっている、すべてごめんだ」と書かれたとします。

で、私がそっとそのコメントを削除したとします。

そうすると書き込んでくれた人の権利を侵害してしまいますね。

くだらないと主張するのも権利で、ブログの管理人として削除するのも権利だとしたら、権利関係が複雑化しそうです。


自由としたいものです


くだらないと主張するのも自由で、いや、そんな捨てたものでもないでしょと反論するのも自由で、コメントを書き込むのも自由で、ブログの管理人として削除するのも自由・・・

って、自由としてとらえた方が息苦しくないですね。

東氏の今回のキャンペーンを巡っては「積極的棄権」に焦点が当たっていますが、私は「権利」のとらえ方に注目しました。

権利、権利って強く出なくてもいい気がするんです。(^^)

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消費税凍結、ベーシックインカム、内部留保課税 すべてを満たす解は?

今日は日本記者クラブ主催の党首討論会をテレビで見ました。

8党の党首が勢揃いです。

率直な印象としては、安倍首相はしっかり準備をしてきた感じです。

希望の党の小池代表は明らかに準備不足。公明党の山口代表は失言がないですね。共産党の志位委員長は今回はそれほど印象に残らない答弁でした。維新の会の松井代表も存在感が発揮できなかったです。

立憲民主党の枝野代表はリベラル野党として存在感を出せそう。社会民主党の吉田党首は時代が止まった感じ。日本のこころの中野代表は歯に衣着せない発言で、聞いていて一番面白かったです。


安倍首相


自民党の安倍総裁は受け答えの準備をちゃんとしてきたという印象を持ちました。

解散の大義、モリカケ疑惑、選挙の勝敗ラインと議席を大きく減らした時の進退問題、経済問題、外交・安全保障問題といった多様な問題に対して、それぞれに失点を少なくする受け答えと、得点をあげる受け答えを使い分けていたように思います。

安倍首相の個人の力量というよりは、スタッフが揃っているんでしょうね。即興でできる受け答えというよりは、入念な想定問答を用意している感じがしました。

今回の討論会だけでなく、選挙戦になったら他にもテレビ討論はあるでしょうし、街頭演説もあります。受け流すこと、強く主張することなど、全体として組織的に想定問答を作っているんでしょうね。


小池代表


一方で、希望の党の小池代表は明らかに準備不足が否めません。

口調はソフトですし、滑舌は安倍首相よりもいいので聞きやすいのですが、いかんせん歯切れが悪いです。首班指名をどうするかは明らかにしないですし、政策の目玉のベーシックインカムにしても財源は明確に示されませんでした。

全体としての戦略が描き切れていない、行き当たりばったりの印象です。

希望の党は、まだ出来たばかりの政党でございますし・・・

という言葉で何回かやり過ごしていました。難しいことはこれから考えるということかなと思いましたが、それでは政策で討論はできないですよね。

消費税凍結やベーシックインカムを掲げるなら、財源も提示して欲しいです。打ち出の小づちなんてないんですから。


財源


消費税を凍結し、ベーシックインカムを導入する。

その財源は・・・

企業の内部留保への課税ですかね。

内部留保への課税が恒久的な財源になるのかなーという疑問があります。また、法人税の見直しではなく、なぜ内部留保への課税なのかも知りたいところです。


すべてを満たす解は?


希望の党は消費税凍結にしても、ベーシックインカムの導入にしても、その財源を内部留保課税で賄うつもりなのでしょうか。

今日の討論会でもその点に質問が出ましたが、小池代表は明確な答えは示していません。

また、ベーシックインカムは年金の社会保障制度を大きく変えるはずです。年金給付をベーシックインカムに置き換えるとすると・・・

年金の保険料を納付してきた人が割を食って、
年金の保険料を納付していない人がベーシックインカムを受け取ることでメリットを享受する

という制度になりかねません。

内部留保課税を財源にするとしても、年金をベーシックインカムに置き換えるときの社会的な公平感まで考慮すると、そう簡単に解ける方程式ではないですよね。複雑すぎる方程式でAIでも解けないかもしれません。

ん・・・

問題が解けないときの決まり文句

「解なし」

ですかね。(^^;

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貯蓄から投資へ 金融庁のロジックに異議あり

村井秀樹・金融担当政務官のインタビュー記事がAERA.netに載っていました。[外部記事]

村井氏は内閣府の金融担当大臣政務官です。

ちなみに金融庁は内閣府の外局で、村井氏は金融庁の政務方のトップ級の人物。なお、事務方のトップは金融庁長官です。

今回は、金融庁のロジックについて


貯蓄から投資へ


「貯蓄から投資へ」で語られるストーリーはこうです。

1. 日本では個人の金融資産に占める株式の比率が低い
2. 米国や英国は株式の比率が高い
3. 過去20年で日本人の金融資産は1.5倍くらいにしかなっていない
4. この間、米国は3.3倍、英国は2.4倍になっている

この違いは、金融資産の運用収益の大小によって生じた差だ。

だから貯蓄から投資だ!

となります。


インタビュー記事を引用


気になる点を引用します。

日米の投資姿勢の違いは「日本人は保守的だけど米国人はリスクを取る」といった文化論で語られがちですが、実は米国でも、かつては日本と似た資産配分でした。劇的に変わったのは、老後向けの資産形成を税制優遇で奨励するIRA(個人退職勘定)が74年に導入され、併せて投資家教育も拡充されてから。そこで得られた投資の成功体験が投資拡大につながりました。

 これに対して、日本の個人投資家には投資の成功体験が足りません。金融事業者が目先の利益を優先したような商品や販売手法を重視したことで、顧客の真の利益が逸失したのかもしれません。


さて、どうでしょう。

私はちょっと違うんじゃない・・・と思ってしまいました。


個人金融資産の増加率


データで検証します。

引用記事では日本と米国は1995年、英国は1997年との比較で、2016年末時点の日本の個人金融資産は1.54倍、米国は3.32倍、英国は2.46倍になったとあります。

増加率を年率換算すると

米国:5.88%
英国:4.85%
日本:2.08%

です。

日本は確かに見劣りしますね。

ところでそれは、「金融事業者が目先の利益を優先したような商品や販売手法を重視したことで、顧客の真の利益が逸失したのかもしれません。」と言えるものなのでしょうか。


株式市場の増加率


一般的な投資家は、自国の株式に投資することが多いです。

米国人なら米国株。日本人なら日本株です。ホームカントリーバイアスです。なので、投資家が国際分散投資ではなく自国株に投資するとしましょう。

さて、日本、米国、英国でそれぞれの株式市場はどうだったか。

MSCIの国別指数で見るとこうなります。NET配当込み、ローカル通貨建て。

FSA.png

ね、どう思いますか。

個人の金融資産の増加と株式市場の増加って関係性が高いですよね。


真の原因は


日本人の金融資産が約20年で米国や英国ほどには増えていないことを考えます。

低成長、低インフレによって個人の所得の伸びが抑えられたこともあるでしょうし、自国株式市場のパフォーマンスの低さもあるでしょう。政策金利の違いもありそうです。

つまりは金融市場とマクロ経済の要因です。

それを、金融機関の素行が良くなくて、「顧客の真の利益が逸失したのかもしれません」とするのは問題のすり替えの気がします。

金融事業者が目先の利益を優先している面はあるでしょうが、マクロ経済の運営に失策はなかったのか、そっちのほうが気になります。


思うこと


一投資家としては、金融庁のロジックは金融庁にとって都合がよすぎると感じます。

かりに金融機関の販売姿勢が変わったとしても、日本経済が低成長、デフレ的で勤労者の賃金が増えない状況、またホームカントリーバイアスが前提ですが、株式のパフォーマンスも見劣りする状況なら、個人の金融資産の増加で米英と差は付き続けるでしょう。

金融機関を悪者にすることで、かえってマクロ的なものが見えにくくなってしまうのではないかな。

金融庁のロジックにはそんな思いを持ちます。

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