カテゴリ:投資や投機や貯蓄について の記事一覧

上昇機会を逃すと大きな差に、に思うこと

日経電子版の「『長く続ければ投資はプラスに』 これ信じていい?」という記事を読みました。[外部記事]

ん・・・

ちょっと待って、こういう見方もありますよ、と思える内容です。

今回は、両面から見ることの重要性について


宗教的な長期投資


「宗教としての『長期投資』は卒業しよう」と山崎元氏が述べています。

「長期投資なら、着実に儲かる」とか「長期投資はリスクを縮小するとか」、「資本主義の長期的発展に賭けようとか」、あるいは、単に「長期投資は素晴らし」と叫ぶような、「長期投資」に特別の効果や役割を期待するような、いわば「宗教としての長期投資」は、卒業する方がいいのではないか、と考えている。[引用元]


同感です。

宗教的な長期投資からは卒業したほうがいいと思います。

長期的な視点で投資を考え、実践するのと、長期なら報われると安易に信じるのは違います。投資はリターンを期待するものであって、宗教のように信じるものではないはず。


上昇機会を除くと大きな差


日経の記事ではリターンの良かった3か月分を除くと、パフォーマンスが極端に悪化することが示されています。敗者のゲームの稲妻の輝く瞬間と同じですね。

検証しました。

longterm01.png

バイアンドホールドなら+24%
3か月分を除くと-16%

確かに、元記事にあるように上昇機会を除くと大きな差になっています。


宗教的な長期投資の匂い


ただ、今回取り上げた日経の記事はバランスを欠いた見方だなと感じました。

宗教的な長期投資の匂いもします。

というのは、上昇機会を除くケースを示すなら、下落機会を除くケースも検証しないとバランスが悪いですよね。

で、やってみました。

リターンの悪かった3か月分を除いたケースです。

longterm01.png

バイアンドホールドなら+24%
3か月分を除くと+126%

除いたのは、2008年10月-24%、1993年11月-16%、1998年8月-14%です。


両方から見る


大事なのは一つの事例で強く信じないことですね。

上昇機会を除くと大きな差になる事例は、それだけを見れば間違いないです。ただ、逆の方から光を当てると別の姿も浮かび上がってきます。

上昇機会を除くと大きな差になる。だから常に相場にいましょう。下落機会を避けると大きな差になる。だから機動的に逃げましょう。どちらも言えます。

あとは、それをどう考えるかですね。

もっとも機動的に逃げるのが難しいなら上昇機会をピンポイントで外すのも難しいです。どちらも現実味に乏しい想定と言えますけどね。


思うこと


相場は山あり谷ありです。

人生と一緒。

いくつかチャンスを逃してもリカバリーはききます。多少の失敗を食らっても立ち直れます。チャンスをつかめればラッキーですし、間一髪で危機を逃れたら儲けものです。

そのときどきでいいと思うことをする。とにかく生き延びる。

それでいきたいと思います。

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○○で運用すると失敗しにくい理由 ○○は何でもいいのでは?

「つみたてNISAで運用すると失敗しにくい理由」という記事を読みました。[外部記事]

ん・・・

積立NISAじゃなくてもいいじゃない。

その論法なら毎月分配型投信でも、テーマ型ファンドでも、アクティブファンドでも、個別株の集中投資でも同じことは言えますね。

そんなことを思いました。


記事のポイント


タイトル、「つみたてNISAで運用すると失敗しにくい理由」に対応するのは、全4ページのうち3ページ目です。

主要部分を引用します。

つみたてNISAは、大まかには、①年間40万円までの、②積立投資を行い、③得られた利益に対して20年間課税しない(つまり最大限の非課税投資枠は800万円になる)、という制度だ。しかも金融庁が「ノーロード」(販売手数料ゼロ)で、運用管理手数料が安いなど、かなり厳しい条件を付けた商品に対象を限定したこともあって、手数料稼ぎの悪影響を受けにくく、また少額の積立で投資するので「大きく失敗しにくい」性質を持った投資体験が可能だ。


さて、分解して考えましょう。


積立NISAの解説を3つに分けます


引用した部分、積立NISAの解説を整理します。

1. 積立NISAは①~③の特徴を持った制度だ。
2. 金融庁が厳しい条件を課したので → 手数料稼ぎの悪影響を受けにくい
3. 少額の積立で投資するので → 大きく失敗しにくい

このうち、1は一般情報ですね。

ポイントは、上記の2と3になります。

それで

「大きく失敗しにくい」と直接関係するのは、3.の「少額の積立で投資するから」です。

2.の手数料稼ぎは間接的に影響するかもしれません。


間接的影響?


さて、直接の影響を検討する前に、ここで間接的影響を考えます。

金融庁が厳しい条件を課したので → 手数料稼ぎの悪影響を受けにくい 
手数料稼ぎの悪影響を受けにくいので → 大きく失敗しにくい

という関係が成り立つかどうかです。

過去記事「積立NISA 排除された投信で積立投資したらどうなるか」で検証しました。

金融庁が厳しい条件を課したファンドと、排除されたアクティブファンドで比べたところ、金融庁の厳しい条件と成功・失敗には直接の関連性は見られませんでした。

なので間接的な影響はないと考えるべきですね。

金融庁が厳選したファンドだからといって、コストが低いからといって、それだけで投資が上手くいく保証はありません。


論点が絞られました


少額の積立で投資するので → 大きく失敗しにくい

ポイントはこれだけに絞られます。

「少額の積立で投資するので → 大きく失敗しにくい」をさらに分解します。

A. 少額で投資するので → 大きく失敗しにくい
B. 積立で投資するので → 大きく失敗しにくい

さて、リーマンショックの直後、いかに積立投資でも報われないケースがありますね。

なので、Bは留保しましょう。

結局、Aですね。

少額で投資するので → 大きく失敗しにくい


思うこと


これまでの論を整理すると、積立NISAは「少額で投資するから」大きく失敗しにくい。

ということです。

カッコ内に目を向ければ、積立NISAでなくても、個別株の集中投資でもビットコインでも、少額の投資なら大きく失敗しにくいと言えます。

タイトルに釣られて読むと「積立NISAだから」失敗しにくいと思いがちです。(勝手にそう思う私がいけないのですが)でも、今回の元記事は投資金額がポイントなので、「○○で運用すると失敗しにくい理由」の○○は積立NISAに限った話ではありません。

東洋経済のタイトルが惑わしいな・・・

なお、積立NISAは満額で800万円です。積み上がったときは必ずしも少額とは言えないですね。(今回は投資量が積み上がっていくことは触れませんでしたが、重要なポイントです)

そんなことを思いました。

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2、3年後に積立NISAはどうなっているのだろう

積立NISAは金融庁長官の肝煎りの制度です。

既存のNISAと併用できない新しい制度として積立NISAを作ったのは、主導者である金融庁・森信親長官による「金融業界に対する“怒りの鉄つい”」との見方もあります。[外部記事]

金融機関に「顧客本位の業務運営」を実現させるために、積立NISAを半ば強引に導入したといったところですね。


長官の肝煎りということは


金融庁長官が強引に持ち込んだ政策なら、失敗は許されません。

金融庁が金融庁らしくない必死さで積立NISAの普及に努めているのは、長官のご意向なのかなとうがった見方をしています。

販売する金融機関は冷めた雰囲気です。[外部記事]
個人投資家の認知度や関心は低いです。[参考過去記事]

盛り上げようとしているのは金融庁と一部の人たち。

残念ながら失敗が強く懸念されます。


失敗は誰の責任?


既存のNISAをそのまま育成していけばよかったのではと思います。

既存NISAの非課税期間の延長や制度の恒久化、買付額ではなく拠出額で枠を管理して年中での銘柄入れ替えを可能にするなど、様子を見ながら制度を改善していき、着実に利用者を増やす手法の方が良かったのではと思います。

NISAが十分に浸透する前に積立NISAを作ったのは混乱を招きましたね。

初心者向けにしては制度が複雑です。説明を受けようとすれば金融機関の窓口なんでしょうけど、金融機関は積立NISAに積極的にはなれないですね。採算が取れませんから。

複雑で、普及しにくい制度としてデザインしたのは金融庁ですよね。

もし積立NISAが失敗したら、その責任の大部分は制度設計をした金融庁にあると思っています。


数年後


投信業界では積立NISAを長期的に育てていくという言い方をしています。

すぐに口座数や残高が増えるのは期待しにくいことの裏返しですね。

で、そういう状況なので、後任のスタンスにもよるとは思いますが、金融庁の長官が交代したら積立NISAはすぐに過去の遺物になりそうな気がしています。

積立NISAが大いなる失敗に終わったら、どこに失敗の本質があるのか。

金融庁内でそういうレビューはするのかな。

ちょっと気になりますね。

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NISAがもっと普及するためには 「職場つみたてNISA」に思うこと

積立NISAの普及にかなりの苦戦が予想されます。

日本証券業協会のアンケート調査によると、積立NISAのことを「知らない」と答えた人が全体で74%もいました。(参照
(個人投資家の証券投資に関する意識調査について 平成29年 概要)

アンケート対象者は5073人、日本全国の20歳以上の男女で証券保有者です。証券保有者(投資経験者)が対象なので、日本人全体を対象としたアンケートよりは証券投資の感度が高い人たちでしょう。

それでも、積立NISAの名称や来年1月からスタートすること、年間40万円まで積立可能なこと、非課税期間が20年など、そのどれも知らないと答えたのが74%もいたのです。

投資経験者に認知度が低いのに、初心者に向けて普及が進むのかは疑問です。


そこで、職場積立NISA


金融庁が取った手は「職場つみたてNISA」です。[外部記事]

職場積立NISAは、企業や自治体、団体などの役職員等が給与天引きなどによってNISA口座を利用して投資信託等に投資する仕組みです。

給与天引きでNISA投資。

まず金融庁から始めるそうです。


職場で取り組むものかな


職場でやりましょう、というのにちょっとした違和感です。

職場が取りまとめて給料天引きで投資するとしても、職場積立NISAは「自己責任の下で運用をする」資産形成制度です。

自己責任

と、「職場積立NISAに関するガイドライン」に明記されています。(参照

一方で、投資教育の必要性もガイドラインには書かれています。

職場積立NISAが、投資教育付きの毎月積立で自己責任となると、企業型確定拠出年金とだいぶ似てきますね。(もちろん相違点もあります)


思うこと


企業型確定拠出年金は既にあります。個人型確定拠出年金(iDeCo)もあります。

だから

NISAを確定拠出年金に近づけていく必要はないでしょう

というのが私の考えです。

似たようなものは分かりにくくて混乱を招きますね。NISAがもっと普及するためには確定拠出年金との差別化が必要じゃないでしょうか。

ドルコストの長期積立投資なら確定拠出年金があるわけで、それ以外にもう少し自由度の高い非課税投資としてNISAを位置付けた方が活性化すると思うのです。

しかも本場英国のISAのように拠出額で非課税枠を管理するなら、興味を持つ人はもう少し増える気がします。

少なくとも1人は増えます。(^^;

参考過去記事:NISAに向いている人と向いていない人 NISAと英国ISAの違い

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積立NISA 排除された投信で積立投資したらどうなるか

積立NISAの対象となる投資信託には厳しい要件が課されています。そのため積立NISAの「公認」ファンドとして認められたのは、多くはインデックスファンドです。

ノーロードで信託報酬が低い、信託期間が長いなど、長期的な資産形成に向く投信が積立NISAの理念に合致するファンドとなります。

そういうファンドだけで始めるのは、分かりやすさの点ではいいと思います。

今回は、理念の合致と排除の理論と現実について


積立NISA設立の理念


積立NISAを設立した理念である、長期・分散・積立投資はいいと思います。

それに低コストも。

理念そのものに反対を唱えるつもりはありません。ただ、要件に合わないものを排除する仕組みに若干の引っ掛かりを感じます。

金融行政版、排除の理論ですね。

積立NISAから排除されたファンドは、長期・積立で非課税のメリットを受けられないです。それは残念な気がします。


排除された側はダメなのか


排除されたファンドは、長期・積立投資に向いていないのか。
公認されたファンドは、長期・積立投資に向いているのか。
その違いはどのくらい大きいのか。

って、実証的なデータを知りたいですね。

気になったので日本株投信で検証しました。データ取得先はモーニングスターです。


非採用ファンド


1. 販売手数料あり
2. フィーレベルが比較的高い、高い
3. 運用年数15年以上

これで純資産の大きい3ファンドを選びました。

1. フィデリティ・日本成長株・ファンド (信託報酬1.65%)
2. ノムラ 日本株戦略ファンド (信託報酬2.05%)
3. JPM ザ・ジャパン (信託報酬1.84%)

どれも販売手数料は最大3.24%です。


採用ファンド


過去15年以上の実績があるTOPIX連動のインデックスファンドの中から、最も信託報酬の低いものを選択しました。(実際に積立NISAの公認になっているかは未確認ですが)

日立 国内株式インデックスファンド (信託報酬0.16%)

販売手数料はゼロ。


過去15年のバックテスト


2002年9月から2017年9月まで
月末に毎月10,000円のドルコスト平均法による積立投資
アクティブ3ファンドは販売手数料3.24%を考慮、インデックスファンドはノーロード
基準価額を用いて試算

結果は、投資元本1,800,000円に対して

0. インデックスファンド: 3,128,000円
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド: 3,109,000円
2. ノムラ 日本株戦略ファンド: 2,927,000円
3. JPM ザ・ジャパン: 5,514,000円

どのファンドでも資産は増えていますね。


過去10年のバックテスト


2007年9月から2017年9月まで同様にやってみました。

結果は、投資元本1,200,000円に対して

0. インデックスファンド: 2,096,000円
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド: 2,081,000円
2. ノムラ 日本株戦略ファンド: 1,973,000円
3. JPM ザ・ジャパン: 2,671,000円

どのファンドでも資産は増えています。


過去15-5年のバックテスト


変則的ですが、2002年9月から2012年9月までの10年間でやってみました。

アベノミクスの効果を受ける前に止めた場合です。

結果は、投資元本1,200,000円に対して

0. インデックスファンド: 924,000円
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド: 919,000円
2. ノムラ 日本株戦略ファンド: 905,000円
3. JPM ザ・ジャパン: 1,626,000円


まとめ


まとめます。

fsa_nisa.png

この検証結果をどう思いますか。

私は、長期を10年以上としてサンプルの結果からは、

1. 非採用ファンドは、長期・積立投資に「向いていない」とは言い切れない。
2. 採用ファンドは、長期・積立投資に「向いている」とも言い切れない。
3. 両者の間に、明確な違いがあるかは分からない。

と思いました。
(サンプル数が少ない点は要注意ですが。)

こと投資の観点からは、公認ファンドに投資していればOKとはならないし、排除されたファンドがダメともならないですね。

投資時期の要素のほうが、資産形成の結果に与える影響は大きそうです。

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