カテゴリ:投資や投機や貯蓄について の記事一覧

長期投資でリスクは低減するか増大するか

長期投資でリスクは低減するか増大するかの議論をネットで見かけました。

長期投資でリスクが低減するかのような説がありますし、一方で時間とともにリスクが増えるという説もあります。長期投資とリスクの関係は分かっているようで分かりにくいですね。

またリターンについては、短期的には暴騰・暴落があるけれど、長期的に見れば期待リターンに収れんするという説もあります。平均回帰とか大数の法則とかの用語も使われますが・・・

んー

と思うときがあります。

今回は、長期投資とリスクの関係について、ちょっと理屈っぱい話をします。


投資理論の結論


リスク量は時間ともに増大する。

それが投資理論の結論です。

リスクを分散値で見るなら、時間に比例してリスクは増えます。リスクを標準偏差で見るなら、時間の平方根に比例してリスクは増えます。標準偏差=分散の平方根の関係からそうなります。

具体的には

1年の分散が○なら 2年間で○×2、10年間で○×10
1年の標準偏差が□なら 2年間で□×√2、10年間で□×√10

です。

なおリスクが時間とともに増大するのは、同じ権利行使価格のオプションで満期までの時間が長い方が、短いものよりオプションプレミアムが高くなることにも表れています。


リターンについて


短期では暴騰・暴落があるけれど、長期的には実現リターンは期待リターンに収れんするという考えがあります。

そこに平均回帰性とか大数の法則を用いるのですが、私は腑に落ちないです。

大数の法則が成り立つほどに十分な数なのかが疑問ですし、平均回帰性が成り立つならランダム性と矛盾すると思うからです。

まあ、事前に期待リターンは○%と宣言して、それに対して実際のリターンが収れんする実例は見たことがなく、収れんするかどうかは実証しようがないですね。ある特定の期間を取って○%だったと言ったとしても、そのリターンが今後の期待リターンとして見ていいのかは疑問です。

リターンの収れんって、たまたまそうなのか、本質的にそうなのかが分からないと思うんです。理論的、客観的に話せる問題ではなく、信じるかどうかの主観的なものかもしれませんね。


効用の問題


ここから話は少し変わります。効用とポートフォリオ選択の話です。

効用とは、「リターン - リスク拒否度×分散」で定まるもので、ポートフォリオ選択(資産配分の決定)に影響します。

リターンと分散は時間に比例して同じように増大するので効用の式は時間変化に関わらず一定、そのため投資期間の違いが資産配分の決定に影響しないという説があります。

投資期間1年でも10年でも、同じポートフォリオ選択になる。長期投資だから、短期投資より大きなリスクを取れるわけではないという説です。

んー

私はちょっと違う考えです。


投資期間とリスク拒否度


投資期間とポートフォリオ選択(リスクの取り方)は関係ないという説は、効用が時間変化しないことが前提です。

ところが「リスク拒否度」は時間変化すると思うんです。

時間がたくさん取れるならリスクの拒否度は低く、時間が限られているならリスク拒否度が高いといった具合です。リスクの拒否度が投資期間で変わるとしたら、ポートフォリオの選択も違って当然です。

投資期間1年でも10年でも関係ないという説は、理論的すぎる気がします。

もしこのような説に遭遇したら、そのまま信じることをせず、「想定の投資期間が違えばリスク拒否度も違うんじゃない?」と思っていただけるといいかもしれません。


まとめ、のようなもの


リスクの絶対量は時間とともに増大します。

期待リターンへの収れんは、大数の法則が成り立つのかは疑問ですし、株価のランダム性を前提にすれば、平均回帰性も疑問です。

効用によるポートフォリオ選択は、リスク拒否度の変化を考慮していない点で疑問です。


私の長期投資の考え


リターンが期待リターンに収れんするとは考えていませんし、リスクは増大すると考えています。なので無条件で長期投資がいいとは思っていません。

ただ短い期間よりは、長い期間の方がチャンスもリスクも大きい、とは思っています。

効用によるポートフォリオ選択は机の上の議論のように思えます。リスク拒否度の点からは長期の方がリスクを取りやすいとは言えるのではないかなーとは思っています。

一口に長期投資と言っても、考えることはたくさんありますね。

かなり理屈っぽい話でした。(^^;

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70歳からでも長期投資デビューは遅くない? 金融老年学に思うこと

金融老年学(ファイナンシャル・ジェロントロジー)という言葉があります。

聞きなれない言葉ですし、ジェロントロジーなんて言いにくそうですね。ちなみに、「ジェロン」で一息ついて「トロジー」と続けると言いやすいです。

今回は、金融老年学について


金融老年学、その前に老年学


老年学は、老いることについて心理学的な立場から考える学問として生まれました。

現代では、社会学的および生物学的な分野も取り入れた幅広い見地から、老齢化について研究していく学問とされています。[参照]

心理学的、社会学的、生物学的な角度から、「老いること」を研究する学問ですね。


金融老年学


金融老年学は、野村證券のサイトではこう説明があります。[参照]

高齢者の金融資産を適切に管理し運用するための研究。日本語では「金融老年学」。高齢化に伴う認知能力の変化が投資行動や経済活動にどのように影響するかを調査・分析し、高齢者に配慮した金融サービスの開発や環境を整備することで、健康寿命の延びに合わせた資産寿命の延伸を目指す。


わりと商売っ気のある定義ですね。

アカデミックな世界を見てみましょう。慶応大学のファイナンシャル・ジェロントロジー研究センターでは次のように定義しています。

ファイナンシャル・ジェロントロジーとは、高齢者の経済活動、資産選択など、長寿・加齢によって発生する経済課題を、経済学を中心に関連する研究分野と連携して、分析研究し、 課題の解決策を見つけ出す新しい研究領域です。


野村証券とはちょっと違う定義ですが・・・

どちらにも共通したことがあるように感じました。


老年学と金融老年学の違い


老年学は、「老いること」を研究する学問。

金融老年学は、老いることによって生じる「金融の課題」を研究する学問。言葉を変えると「高齢者の資産運用」を研究する学問とも言えそうです。

老年学と金融老年学って、研究対象と言いますか、研究の方向性がだいぶ違う気がします。

金融や経済学の見地から老いることを研究するのではなく、老いた人にとっての金融や経済を研究する学問のようです。そうであるなら、日本語訳は・・・

老年金融学

の方が適している気がします。


今日読んだ記事


今日読んで気になった記事があります。

「若い世代に好評『つみたてNISA』 70歳からでも長期投資デビューは遅くない」というものです。[外部記事]

一部を引用すると、「人生100年時代の概念が急速に一般化して来た昨今、たとえば70歳からでも長期積立投資に充分な余命時間があるのです」として、70歳からの長期積立投資をすすめています。

んー

金融老年学を持ち出す以前に、投資の勧誘で大事な「適合性の原則」はどうなんだろう・・・と思ってしまいます。

元記事は70歳を過ぎた人に「残存生存期間ずっと積立投資家であり続け」ることを望んでいますが、さすがにそれは抵抗感があります。70歳を過ぎた人が、リスクを取り続けることが果たして良いことなのか大いに疑問です。

金融老年学という言葉は要注意かもしれませんね。

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理論の衣を着せた好き嫌い 山崎元氏の毎月分配投信の持論に思うこと

山崎元氏が毎月分配型投信を批判しています。

金融論的には、毎月分配型投信は「価格に関係なく即刻解約!」することが正解だ。


と説きます。

パッと読むと「金融論的にそうならそうだよね」と思えますが・・・

本当に金融論的にそうなのかな

まずそこに引っかかりました。私が知っている金融、経済、投資の理論の範囲では即刻解約が正解という結論は導けません。その点は後ほど検討します。

山崎氏の記事は、良い悪い、あるいは正解や間違いの衣を着せていますが、好き嫌いの話だなーという思いです。

今回は、論理的な衣を着せた情緒的な話について


ダメ出しの根拠


元記事は「買ったらヤバイ!新たなダメ投信の見抜き方」です。[外部記事]

この記事内で山崎元氏は毎月分配について断定的な結論を下しています。引用します。

金融論的には、毎月分配型投信は「価格に関係なく即刻解約!」することが正解だ。

「つねにダメな商品なので、一刻も早く解約するほうがいい」という結論になる。


ダメとする根拠は、

1. 課税タイミングが早いこと
2. 複利の効果が働きにくいこと
3. 手数料が高いことです。


固定利付債と割引債


さて、1と2について。

これは分配の頻度や大きさに関係ない話ですね。毎月分配でも、隔月でも、無分配と比較するなら年に1回の分配でも、課税と複利効果でダメとなります。

要は、分配のあるものはダメ。分配の無いものが正しい。

そうなりますね。

ところで債券には固定利付債券(クーポン債券)と割引債(ゼロクーポン債券)があります。

仮に、定期的に分配のあるものが金融論的にダメならどうでしょう。

利付債に投資するのは愚かで、割引債に投資するのが正解となります。そうなると世の中の債券投資家の多くはダメな投資をしていることになります。


課税と複利


今回は軽く触れるにとどめます。

課税については、源泉徴収されても他の取引との損益通算がありますし、実際の課税関係は年に1回の清算です。課税タイミングをそこまで大きく考えなくてもいいのではと思います。

複利効果については、金額ベースで無分配の方が大きくなると思いがちですが、結局は相場次第です。下落局面なら、分配で早めにキャッシュ化する方が傷は浅いです。確定的にどっちが有利・不利は言えないです。

また、分配のあり、無しの比較なら金額ベースの議論だけではなく、IRRベースで投資リターンを考える視点も必要だと思います。


結局はコスト?


毎月分配の批判の根拠って、結局はコスト批判ではないのかな。

私も、コストが高いファンドがいいとは思いません。コストは低い方がいいです。

投資商品の選択については、同じインデックスを参照するインデックスファンドのように、中身がほぼ同じならコストが低いのが良いです。しかし中身が違うなら、コストが低いのが必ずしも良いとは限りません。

コスト控除後のリターンは事前には誰にも分かりませんから。


考え方


ところで、仮にこういうファンドがあったらどうでしょう。

世界の株式市場に広く分散したインデックスファンドで、ノーロードで、信託報酬は年0.10%。

それで毎月分配だったら。

年1回分配なら。

無分配なら。

そういうファンドでも毎月分配なら、金融論的には即刻解約が正解となるのかな。

年1回分配はどうなるんでしょう。長期投資を前提に課税と複利効果を考えるなら年1回もダメで、無分配のみが正解となりますね。

けっこう堅苦しいです。


思うこと


今回引用した記事は「金融論的には」と言っていますが、情緒的な話をしているなーと思いながら読みました。

毎月分配や、高コスト投信や、それで利益を得ている金融機関とか、資産寿命とかで商売する人とか。それらに対する思いはなんとなく伝わってくるんですけどね。

理論的にダメ

というより

個人的な意見としてダメ

というべき内容ですね。

山崎元氏のいう金融論的な正解は、私は理論的には腑に落ちませんでした。外債不要論にしてもインデックス平均論にしても、山崎氏は理論性を装いながら自分の考えを伝える手法を取ることがあります。その手法はちょっとどうかなーと思います。

理論と個人の考えは分けるべきですね。

なお、私も、資産寿命とか言って不安を煽りながら投資に仕向けるやり方を良いとは思っていません。

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継続して積立するだけで誰でも成功する とのタイトルに思うこと

消費者契約法や金融商品取引法が取り入れている概念に「断定的判断の提供」があります。

断定的判断の提供とは、将来における不確実な事項について断定的な判断を告げることを言います。この株は絶対値上がりしますよ、などと言って投資を勧誘するのはこれに当たります。

金融商品取引法はこのような勧誘を禁止しています(金融商品取引法38条2項)。また消費者契約法では、断定的判断の提供のもとに消費者が誤認し、事業者と契約を結んだ場合、その契約は取り消すことができます(消費者契約法4条1項2号)。

今回は、断定的な表現と誇大表現について


誰でも成功すると言い切る


「つみたてNISAは、毎月継続して積立するだけで誰でも成功する」というサブタイトルを付けた記事を引用します。[外部記事]

投資は100%儲けることができると言ってはならないとされておりますが、つみたてNISAという投資制度を活用し、毎月継続して積立投資を長い期間行えば、ほぼ100%に近い確率でまとまったお金を準備することができると筆者はあえて言い切ります。


んー

「ほぼ100%に近い確率でまとまったお金を準備することができる」とは、前後の文脈から「100%儲けることができる」の言い換えに近いのかなと思います。また冒頭で「つみたてNISAは、新たな貯蓄方法であると考えています」とも述べていますし、タイトルには「投資知識一切不要!」ともあります。

けっこう踏み込んだ表現を使う記事ですね。

いいのかな。


ポイントを整理します


引用元記事を整理します。

積立NISAなら

1. 投資知識は一切不要です。
2. ほぼ100%成功できます。
3. やり方は簡単です。

と、やる気をかき立てて、積立NISAを始めるならFPに相談してからがいいですよと来ます。情報提供のための記事というよりは、広告宣伝ですね。

自分のビジネスに誘導するのはいいのですが、誘導の仕方が強引な気がします。


思うこと


今回引用した記事はかなり踏み込んだ表現を使っていて、職業倫理的にいいのかなーと気になります。

まあそれはそれとして

簡単に成功する、みたいな記事は半身に構えて読んだ方がいいですね。どんな投資法を採用しても投資は投資です。リスクを消し去ることはできないですし、長期の積立投資は時の経過とともにリスク量が増えていく特性があります。

その点、ちゃんと説明する記事は少ないですね。

投資関連記事を見るポイントとしては、メリットとデメリット、リターンとリスクをきちんとバランスよく説明しているかですね。

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ETFでドルコスト平均法をすすめるのは無理筋では?

インデックスに連動するETFは、コストが低くていい投資対象です。

流動性の高いETFなら取り扱いしやすいですし、実際にETFに投資している人も多いと思います。ETFにはETFのメリット・デメリットがあり、投信には投信のメリット・デメリットがあるので、うまく使い分けるのがいいですね。

今回、投資の初心者に対して、投資対象としてETFをすすめ、投資手法としてドルコスト平均法をすすめる記事を読みました。投資の金額としては月5,000円でもいいとのこと。

え?

いや、無理じゃないかな・・・


普通の投資?


「『普通の投資』を始めよう」という記事を読みました。[外部記事]

普通の投資とは

・働き始めると同時に少額で始め、
・収入がなくなる年齢まで何十年単位で、
・レバレッジはかけずに、節税制度を利用しながら、
・分散投資とドルコスト平均法の原則に則り、
・生活のゆとりや老後の資産形成を目的として行う


投資だそうです。

んー

「普通」の定義が厳しいですね。

そんなに投資を狭く考えなくてもいいのにと思います。また、投資の考え方にも多様性が大事じゃないかなとも思います。


ドルコスト平均法


さて、投資の対象としては「先進国の株式指標に連動する ETF」をすすめています。

非上場の一般的な投資信託は

非上場の=一般的な投資信託にも同じような商品があり、そっちでもいいですが、最初は ETFのほうがその場で売り買いできてわかりやすいんじゃないかな。


としています。

ともかく投資対象としては、一般的な投資信託よりはETFだそうです。

投資のスタンスとしては次のように述べています。

月に 1回、給料日にでもログインして、淡々と毎月同じ額を同じ商品に投資するだけ。

下がってると額を減らしたくなるし、上がってると増やしたくなりますが、そーゆーことは絶対にしないよーに。

その気持ちと戦うのが「短期売買で儲けるためではなく、長期的に資産を形成するための、普通の投資を学ぶ」ってことなんです。

だから 1年はどんだけ大暴落してても変わらず同じ額を投資します。


「同じ額を投資します」とのこと。ドルコスト平均法ですね。

でも、それって難しいですよね。

と言うのは、ETFは、株数(口数)での売買しかできないからです。


ETFでドルコスト平均法?


1株1,200円のETFを想定します。

取引単位が1株のETFなら、1株で1,200円が最低取引額です。その次は2株で2,400円、3株で3,600円の取引になります。

最低取引単位が10株なら、最低12,000円、次は24,000円、その次は36,000円となります。マニアックな表現では「離散的な値を取る」ことになります。

ちょうど都合よく、5,000円分を買うわけにはいかないです。

一般の投資信託なら金額指定で買うことができますが、ETFは株数(口数)単位でしか買えません。ガソリンを買うのに、「5,000円分ください」と言って買えるのが投資信託で、「1リッター分ください」という買い方しかできないのがETFです。なお、リッターは整数単位で端数無しです。

なのでETFに毎月、定額で投資するのは不可能です。

「ETFを使ってドルコスト平均法」とか、「ETFに毎月同じ額を投資する」のは非現実的です。毎月同じくらいの額とアバウトに言うか、毎月同じ株数(金額は変動)と言うしかなく、そうするとドルコスト平均法じゃないですね。


思うこと


元記事にある「普通」を実践するのは難しいです。

分かりやすい投資対象で、コストが低いものに投資して、あまり短期的な動きには心を乱さない方がいい。そういう考え方には基本的に賛成しています。ただ、部分部分ではそれらしく筋が通っていても、全体としては成り立っていない気がするんです。

んー

元記事は、自分では実践していない投資法を、あたかも模範解答であるかのように書いているのではないかな。なんだか理念先行な気がするな。

そんな気がして、釈然としない思いが残りました。

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