カテゴリ:投資や投機や貯蓄について の記事一覧

朝倉智也氏の「積み立ての優位性」の解説に思うこと

投資をするのは投資家の自由。

投資を他者に勧めるのは、勧める人の自由。

だから自己責任ですね。

投資をする場合は、投資の結果は本人に帰ってきます。投資を勧める場合は、どんな勧め方をしたかは最後は本人に帰ってくると思います。また、直接は投資を勧めなくても、投資に関する解説や自説の披露は、その内容や(隠れた)意図によって最後は本人に帰ってくるものだと思います。


間違いありません


今回は「一括投資と積み立て投資の実績比較でわかる、積み立ての優位性」という記事を読みました。[外部記事]

気になる箇所を引用します。

基準価額というのは、上がったり下がったりするものであり、特に価格の上下が大きい株式に投資する投信の場合、積み立て投資が非常に優れた買い方であることは間違いありません。


となり、この後に一括投資とドルコストの比較でドルコストの優位性が語られます。


本当に間違いない?


別のパターンで検証します。元記事と同じく「ニッセイTOPIXオープン」を用います。

ただし、計測期間を2003年12月からの10年間にします。以下の図の赤線部分です。

dollar_ms_01.jpg

上がったり下がったりした10年間です。

結果を示すと
一括投資:120万円 → 172万円
積立投資:120万円 → 159万円

積立投資は毎月1万円を120カ月、ドルコスト平均法で投資した場合です。


もうちょっとお付き合いください


取得コストの推移を載せます。

dollar_ms_02.jpg

赤線がドルコストでの取得コストです。

緑は一括。投資時の基準価額で変わりません。

10年間、ドルコストの取得単価はずっと一括の取得単価を上回っています。


断定できるものじゃない


私が設定した10年間は一括投資の方が優れていました。

もちろん後出しジャンケンなんですけど。

相場が上がったり下がったりしてドルコストの優位性が発揮しやすい相場でも、場合によっては一括に勝てないことがあります。

一括と積立の比較って、結局のところ、計測期間の取り方で何とでも言えるんですね。


断言したがる人たち


結局のところ、断言できないんです。

断言できないことを、さも正しい、間違いないかのように言う人がいます。また、いくつかの選択肢があることを、正解は一つしかないかのように断言する人もいます。

それって、本当に読んでくれる人のためになる情報なの?

と感じることがあります。

ビジネスが根っこにある情報発信だからそうなるのかな。

ところで私のブログは「友だちと話しをするとしたら、こう話すかな・・・」という内容のつもりです。根っこにあるのは、友だちとはいい関係を続けたいということ。

社交性が低いので、友だちは多い方じゃないと思いますけど。(^^;

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ボラティリティ 280%の想定は非現実的

ドルコスト平均法のメリットを伝えるためとはいえ、もう少し現実的な想定にすればいいのにと思います。

「投資が怖くなくなる、『積み立て投資』の仕組みとは?」という記事です。[外部記事]

「相場が乱高下するような場面でも心穏やかに投資を継続できるようになる」として、乱高下でも大丈夫な例を出すのですが、例が極端すぎて違和感を持ちます。

今回は、シミュレーションの現実味について


相場の動き


画像を引用します。

img_704cf6ee9d1240f068e902fa5fe40a3d268716.jpg

この例では平均取得コストが8,810円になります。

図の最後の基準価額は16,000円なのですごいリターンですね。しかもたった5ヶ月で。


ドルコストをもう少し現実的に考えると


限られた紙面なので複数のケースは載せられないのかもしれません。

でも、値動きによってはドルコスト平均法でも失敗するケースはあります。スタートして上昇して高値圏が続く場合です。高いときは口数を「少なく買う」とはいえ、高原状態が長引けば高値で購入した分の蓄積は大きくなります。

たとえば3年なら36カ月分、5年なら60か月分の積み上がりです。

相場が調整たとしても、それまでに購入した36分の1、60分の1の影響で平均取得単価が下がっていくに過ぎません。

ドルコスト平均法で取得単価が引き下がってメリットを感じるためには、逆説的ですが、それなりの期間、相場が沈んでいる必要があります。それなりに苦しい時期ですね。

引用した図のように、「大きく上下して、結果として今が一番高値」というのは、たくさんの可能性がある相場の動きの中の、ほんの一例です。しかも現実味の乏しい一例と言えます。


そんなに都合よく相場は動かない


想定している相場の動きは、単月で10,000円が5,000円になったり、5,000円が12,500円になったりします。今日のタイトルの280%は、この動きの年率ボラティリティです。

1カ月で半値になって、そこから2.5倍になる投信ってどう考えても現実味に乏しいです。説明用の特殊な例なんでしょうけど、もう少し現実に近づけて説明すべきですね。

相場はこんなに都合よく動きませんから。

「投資が怖くなくなる」と題するにはちょっと不誠実と思います。


投資の恐怖心を取り除くには


投資には危険がつきものです。

だからこそちゃんとリスクを理解するのがいいと思うんです。

本来、危険なのに「ドルコストなら危険が少ないよ」とか「短気はゼロサムだけど長期投資なら大丈夫だよ」とか、危険と向き合わないように説明するのはちょっと違う気がします。

投資は危険なんだから、なるべく多面的に危険と向き合おうよ。

って私は思います。

本来100の危険があるのに10と過小評価して取り組むより、100は100として理解しようとして、その上で投資する方が上手くいかないときに納得しやすいと思うんです。


あともう一つ


引用元記事で気になるのは、都合のいい相場の動きもそうなんですけど、あと一つにドルコストのメリットを短期的な相場の動きで説明することです。

ドルコストって、1カ月単位の値動きでメリットを生じるものではなく、数年単位の取り組みでジワジワ効いてくるもの

だと思うんです。

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山崎元氏の「インデックス運用の優位性」理論が理解できない

山崎元氏の投資理論は一見すると理路整然としているように思えますが、よく読むとロジックのつながりがおかしいものがあります。

その結果、なんとなくそんな気がするけど、よく考えると「いや、そのりくつはおかしい」となります。

今回は、インデックス運用の優位性について


インデックス運用とパッシブ運用


「インデックス運用とパッシブ運用は違うもの!?死角はあるの?」という記事を読みました。[外部記事]

その中の「 2.インデックス運用の優位性は投資理論とは無関係だ インデックス運用が優れていることの根拠」という部分に焦点を絞ります。

論旨を引用します。

パッシブ運用、あるいはその現実の形態としてのインデックス運用がアクティブ運用に対して優位に立つ理由は、1つには、「アクティブ運用の平均を持つことが有利だから」であり、もう1つには「取引コストや運用手数料が圧倒的に安いから」だと筆者は考えている。複雑な理論によって支えられている優位性ではないので、その優位性は頑健である。「市場が効率的」であっても、なくても、インデックス・ファンドのほうが優れているのだ。


さて、どうでしょう。

結論である「インデックス・ファンドのほうが優れているのだ」を鵜呑みにしていいのかな。


理論の分解


まず、インデックス運用とは何か。

山崎氏は「インデックス運用は、何らかの指数(インデックス)のリターンの実現を目指すもの」と定義しています。この定義に従います。

インデックス運用は、何らかの指数のリターンの実現を目指すもの。

この定義に従うと、日経平均株価という指数のリターンの実現を目指すものは「日経平均インデックス運用」ですね。何らかの指数なら、バリュー株指数でも、グロース株指数でも、東証の業種別指数でも同じことですが、馴染みがあるものとして日経平均にします。

さて、山崎氏はインデックス運用の優位性として「平均」を挙げています。インデックスの優位点として、

アクティブ運用の平均を持つことが有利だから。

としています。これにコストが低いという点も加わります。


インデックス運用は平均?


さて、ここで考えてみます。

「日経平均へのインデックス投資」って、「アクティブ運用の平均を持つこと」になるの?

バリュー株指数へのインデックス投資って、アクティブ運用の平均を持つことになりますか。

違いますよね。

市場にはアクティビストやESG銘柄に集中投資する投資家もいて、いろんな投資家がいます。ある投資家が特定の銘柄を(一時的にせよ)大量に保有することもあります。ベンチマークを意識しない投資家もたくさんいます。そうすると時価総額ウェイトのTOPIXにしても、アクティブ運用の平均がTOPIXに一致するわけじゃありません。

山崎氏は「優位性は頑健である」と言い切ってますが、私は腑に落ちないです。

現実としてアクティブの勝率は低い・・・という実証の話とは別次元の話です。あくまで理論構成が腑に落ちないという意味です。理論を理解するときは理論として理解し、実証のバイアスは抜きにしないといけませんね。


思うこと


インデックスファンドや指数連動のETFは、分かりやすくてコストも低くて、とてもいい投資対象だと思っています。

残念なのは、なんだかよく分からない理屈をつけることです。

1. インデックス投資=何らかの指数に連動する投資
2. インデックス投資=アクティブ投資の平均

1はその通りだと思いますが、2が成り立つと考えるのは不自然ですし、かなり強引です。

インデックス投資は分かりやすくてコストが低い。

それだけで訴求力があるのだから変な理屈を付けなくてもいいのに。

素直にそう思います。


おまけ、CAPMについて


山崎氏は、CAPMの市場ポートフォリオが最も効率的なポートフォリオという点について、「理論の結論と言うよりも、むしろ理論が成り立つための仮定の一部」と述べています。

え?

もし、それが「仮定の一部」なら、CAPMの結論は何なの?

CAPMは

1. 全ての投資家は平均分散分析によりポートフォリオを選択する。
2. 全ての投資家は全ての金融資産の収益率の平均と分散について同一の予想を持つ。
3. 投資家は効用を最大化するように行動する。
4. 金融市場が完全市場である。

これらの仮定を置いたうえでの均衡モデルがCAPMというのが私の理解です。

で、均衡したときは、みんなが時価ウェイトに応じたリスク資産を持ち、それが即ち市場ポートフォリオ。均衡しているんだから効用最大だし、最も効率的なポートフォリオ、という理解です。

インデックス平均説にしても、CAPM不要論にしても、理論の展開に無理がある気がします。

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株価は乱高下 いまこそ積立投資の出番?

2月13日はNISA(にいさ)の日です。

あまり話題にならないですけど。(^^;

それはそれとして、為替が107円台に入ってます。財務省の浅川雅嗣財務官は「投機的な動きがないか注視する」と円高をけん制する発言をしていますが、果たして効果はどうでしょう。

世界的にリスクオフなのかな・・・

為替にしても株価にしても調整局面がどのくらい続くのかは分かりません。すぐに収まるかもしれませんし、さらなるリスクオフを招いて意外な深押しもあるかもしれません。結局、分からないです。

ただ、なんとなくリスクは取りにくいなーという感覚は持ってます。


株価が乱高下のときの積立投資


今日見た記事に「株価乱高下 いまこそ積み立て投資の出番」がありました。[外部記事]

小さな点かもしれませんが、すんなりとは腑に落ちないロジックがあります。

いまこそ積み立て投資の出番?

元記事ではドルコスト平均法のメリットを語ってます。

株価が高いときには購入する口数が少なく、株価が低いときは購入する口数が多い。だから中長期的にはわりと分がいい買い方となると説きます。

その点は納得しています。

ドルコストは深く押した時に多く買って、吹いたときはあまり買わない買い方なので、景気のひと循環が終わったときには購入のコストは(高値で買った時より)抑えられているでしょう。


いまこそ積立の出番?


ちょっと腑に落ちないのは以下の文章です。

「株価が乱高下しているいまこそ積み立て投資の出番です。」

え?

このところの株価の乱高下って、一日単位の値動きですよね。

一カ月単位とかじゃなくて。

日次でドルコストしていても日経平均なら24,000円からの値動きです。日々の動きで24,000円レベルで買っても、21,000円レベルで買っても、長期的なスパンで見たらどうなんでしょうね。

日々の値動きが荒いことと、長期的に動く相場の中でのドルコストとは直感的には結びつかないです。

ドルコスト平均法の積立投資は、10年、20年、30年と投資する中で、日経平均が10,000円割れから20,000円越えまで大きく動く中で、コンスタントに投資していることで安値圏でたくさん買えるのが強みですよね。

日々の値動きが荒いからといって、積立投資を持ってくるのはちょっと違う気がします。


思うこと


日々の値動きが大きくなると不安になりますね。

こんなときこそ、いったん深呼吸して慎重に情報は精査した方がいいです。株価の値動きが大きくなっても、心の動きまで大きくする必要はありません。

とはいえ、実際は大きくなりますけどね。

今日のポイントは、短期的な値動きの荒さと、ドルコスト平均法はあまり関係ないだろうってことです。日々の値動きはせいぜい数日の時間軸です。一方、ドルコスト積立投資は10年、20年の値動きが基本的な時間軸です。

株価が乱高下している「いまこそ」積立投資の出番なのか、長期的に見て「いまこそ」積立投資の出番と言える状況なのか、どっちの枠組みがしっくり来るかですね。

投資の時間軸を混同しないのが大事だと思います。

あ、

「いまこそ」なんて判断できない、分かりようがない、という見方もありですね。

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預金の元本割れとインフレ 預金と投資と投機

物価が上昇すると、金利がほとんど付かない預貯金では購買力が維持できません。

それをもって「実質的な元本割れ」と称して投資をすすめる人がいるのですが、この手の話は要注意です。元本割れと、インフレによる実質購買力の低下は分けて考えた方がいいです。

複雑なことをごっちゃにすると、分かりにくくなります。


テンプレ記事


今日読んだ記事でちょっとどうかな・・・と思ったものに「本当に預貯金は元本割れしないのか?IFAに聞いてみた」があります。[外部記事]

テンプレのような記事で

1. インフレになると預貯金では購買力が維持できません。
2. それって、実質的な元本割れですよね。
3. 預貯金が安全、なんてのは神話ですよ。
4. 投資が怖いじゃなくて預貯金こそが怖いんです。
5. え?それでも投資は怖い?
6. 大丈夫、投資と投機は別ですから。

と話が進んでいきます。

インフレを煽って預貯金から投資に仕向けるのは筋が良いとは思えないです。(元記事の目的は分かりませんが、特定の金融商品に投資させることや、投資のアドバイスで料金を取る目的で不安を煽っているならなおさらです。)


預貯金と投資の話


預金は銀行に対する債権です。

私が銀行に預金するとは、私が銀行にお金を貸し、銀行が借りる関係です。なので、私が「貸したものは利息を付けてきっちり返してもらいまひょ」と言えば、銀行はちゃんと返してくれます。

安全ですね。

預金はお金の貸し借り。一方、投資は、お金の貸し借りではありません。

なので、「きっちり返してもらいまひょ」は通じないんです。投資した先の経営が上手くいけば大きくなるでしょうし、経済環境によっては投資した額を回収しきれないです。

きっちり返してもらうことが保証されない代わりに、上手くいけば大きく、下手すると小さく回収となります。

で、投資の場合は上手くいくときと下手するとき、いろんな可能性を含めた「期待値」が預貯金の利息よりは高いと見込むから投資するわけですね。


インフレ


インフレは経済現象です。

あまり深くは触れませんが、インフレが進むとは、物価が高くなり通貨の価値が下がることです。インフレの進行がある程度大きくなり、今後もインフレの高まりが予想されると、ゼロ金利は正当化されなくなり、やがて利上げとなります。

全体のインフレが進めば、ですけど。

元記事にあったように、人気のテーマパークの入場料とかの個別の値段ではなく。

で、日銀のレポートを読むと、マクロ経済的にはそう簡単には物価が上がる状況じゃないなーと思います。少なくとも今後数年で劇的に上がることは期待しにくいです。[参照]

インフレが進まないなら預貯金でもそれほど目減りすることはなく、インフレが進んでみんなが購買力低下で困る状況なら、おそらく金利の水準は今よりは上がっているでしょう。


さて、整理


インフレはマクロ経済の動きに沿います。

日本のマクロ経済を考えると、インフレが高まって困る状況は近々には見込みにくいと思ってます。リスクとして考えておくのはありだと思いますが、インフレと投資は分けて考えたいです。

預貯金の元本は安全です。

元本割れは考えにくいです。預金は法的には銀行に対する債権なので、きっちり返してくれと請求する権利があります。

投資は預金とは違います。

きっちり返してくれと請求する権利はありません。投資に応じた成果を回収することができますが、その額は本質的に不確実です。本質的に不確実なのだから、「投資」でも「投機」でも、元本の回収の点で危険があることは同じです。


思うこと


預貯金と物価を結び付けて、「実質ベース」で元本割れするリスクがあるとしているのは、ちょっと強引だなと思います。

実質ベースの元本割れリスクと、投資のリスクでは種類が違うので、種類の違うものをごっちゃにして読者を誘導しないほうがいいなぁーというのが率直な感想です。

あと、

元記事では「投資」と「投機」を区別していますが・・・

私は預金と投資の違いは、投資と投機の違いよりも大きいという考えを持っています。逆に言えば、投資と投機の差は、投資と預金の差に比べると小さい、ということです。

投下資金に対する請求権。

預金は確定。投資と投機は不確実。

一つの考え方です。

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