カテゴリ:マクロ経済を考えてみる の記事一覧

各国で予想外の利下げが続いています

このところ米国株の強さが際立ってますね。

消去法的に米国株という気がしなくもないです。米国株だけを見ていると相場は堅調ですが、そういうときこそ世界に目を向けようと思います。

今回は、予想外の利下げについて


予想外の利下げ


わりと前からですが、気になるニュースに「予想外の利下げ」という表現があります。あと、予想外ではない普通の利下げもあります。

具体的に見ていきましょう。

2016年7月13日
マレーシアの中央銀行が予想外の利下げ。利下げは7年ぶり。
3.25% → 3.00%

2016年6月16日
インドネシアの中央銀行が利下げ。今年4回目。
6.75% → 6.50%

2016年6月10日
ロシアの中央銀行が利下げ。利下げは2015年8月以来。
11.00% → 10.50%

2016年6月9日
韓国の中央銀行が予想外の利下げ。利下げは2015年6月以来。
1.50% → 1.25%(過去最低水準)

2016年5月24日
トルコの中央銀行が利下げ。3か月連続。
10.00% → 9.50%

2016年5月3日
オーストラリアの中央銀行が予想外の利下げ。利下げは2015年5月以来。
2.00% → 1.75%(過去最低水準)

2016年3月10日
ニュージーランドの中央銀行が予想外の利下げ。
2.50% → 2.25%(過去最低水準)


インフレ圧力の低下


新興国が利下げに踏み切っているのは、経済の成長率が減速気味というのもありますし、インフレ懸念が高まっていないという点もあります。

米国の利上げピッチが緩やかになるだろうという思惑から、新興国通貨安が進んでいないんです。だからわりと利下げがしやすいんですね。

タイもそのうち利下げしそうです。

あ、

FXをやってるわけじゃないです。(^^;


なんとなく気だるい雰囲気


なんとなくですが、このところの世界の株式市場は気だるい感じです。

もちろん米国株は調子いいんですけどね。

そのわりには、なんだかそれほどの情熱もなく米国株が上昇している感じです。積極的に買われているというよりは、他の国がパッとしないので相対的に米国がメリットを受けているのかなと見ています。

それはやはり、世界のマクロ景気が減速気味だからかな・・・と。


こんなときの投資戦略


いつものことですが様子見です。

いまはコアな部分しか投資していないので、だいぶお気楽に相場を見ています。

上がれば上がったでコアな部分で利益は出ますし、
下がったら下がったで買うチャンスを見極める楽しさも出てきます。

いまから買うチャンスを待ち構えていると、ずっと待ちぼうけを食らわされるかもしれませんが、まあ、それでもいいかなと思ってます。

休むも相場、待つも相場ですから。

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お金を回していないのは? 麻生財務大臣の発言で考えたこと

麻生財務大臣の90歳で老後が心配と言っている高齢者を取り上げた発言について、以前に記事を書きました。今回はそれの続きです。

いくつになっても老後には不安が付きまとうのですが、今回のテーマは社会保障や年金、高齢者福祉といった点ではなく、純粋に、日本経済の動脈硬化を招いている要素はどこかを考えます。

今回は、GDPの構成要素から日本経済の目詰まりを見ていきます。


GDPの構成要素


日本の名目GDPは約500兆円です。[参照:内閣府]

ざっくり言うと、GDPは次の構成要素からなります。

1. 民間最終消費支出
2. 民間住宅投資
3. 民間企業設備投資
4. 政府最終消費支出
5. 公的固定資本形成

主な要素で見たいので在庫と純輸出は除きました。

で、長期的なデータを見るのに国連のデータを使いました。[出典]

国連のデータでは、
a. Household consumption expenditure
b. General government final consumption expenditure
c. Gross capital formation

という構成要素になります。

a=1(消費)
b=4(政府)
c=2+3+5(投資)

という対応です。

投資に住宅投資も、企業の設備投資も、政府の公共投資も入ってます。


さて、長期的な傾向


長期的な傾向を見ていきましょう。

まずは、GDPの推移です。

GDP 小黒とら

500兆円近辺で横ばいですね。

では、構成要素で見ていきましょう。


家計消費


家計消費(Household consumption expenditure)

GDP 小黒とら

安定的な横這いですね。


政府支出


政府支出(General government final consumption expenditure)

GDP 小黒とら

こちらは右肩上がりです。

政府の支出増加がGDPを支えている構図とも言えます。


投資


投資(Gross capital formation)

GDP 小黒とら

こちらは残念な結果です。

90年以降、右肩下がりですね。

政府が公共投資を抑えているのもありますし、民間企業が設備投資を国内で行わなくなっているのも影響しています。

日本経済の目詰まり感の一因は、ここにあると私は思っています。


日本経済の目詰まり感


GDPの構成要素を見てみると、ピーク時から50兆円も減っている「投資」をどうにかする必要があるでしょう。

国内でもっと投資を促す政策です。

もっとも、国内で投資するなら工場を立てて労働集約的な事業をするのではなく、人工知能(AI)などの先端テクノロジーの研究・開発のための投資になるんでしょうね。投資に値するアイデアと人材がたくさん揃っていれば投資もたくさん起きるはず。そのための政策はもっと必要でしょう。

教育、アイデア、若者、新規事業、イノベーションといった部分にもっとお金が回るといいなと思います。

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「日本の政府債務残高、実は世界最速ペースで減少」のしくみについて

少し前ですが、「日本の政府債務残高、実は世界最速ペースで減少」というBloombergのニュースがありました。[外部記事]

このニュースについて、少し検討してみたいと思います。

今回は、国債の信認と中央銀行の巨大な力について


日本の政府債務残高、実は世界最速ペースで減少のからくり


日本の政府債務残高は、つまりは国債のことです。日本の国債(公的債務)残高は飛び抜けていて、そのうち財政が破綻するという話がありますね。でも、実際のところはコントロール可能というのがBloombergの記事です。

記事を引用します。

“富士通総研のシニアエコノミスト、マルティン・シュルツ氏は「日本は民間保有の公的債務がどこよりも急速に減っている国だ」と指摘した。

  日本の政府債務残高はグロスベースで現在、GDPの2倍余りと推計されるが、日銀統計を使ったシュルツ氏の算定では、銀行や家計など民間部門から日銀に保有が移行しつつあることで大きな影響が生じている。同氏の推計によれば、政府債務残高のうち、民間保有分は2012年末の第2次安倍晋三内閣発足直前のGDP比177%から、向こう2-3年で同100%程度に低下する見通しだ。”


ん・・・いまいち分かりにくいいですね。

シンプルに考えると、国債の保有が「民間部門」から「日銀」に移行しているので、「民間保有分の国債残高」が世界最速のペースで減少しているということです。

で、民間保有分の国債残高を、「実効ベース」と呼んでいます。


日銀保有分の国債はチャラにできるという考え方


日本国債の残高自体が急に減っているわけではありません。保有主体が変わっているという話です。

では、国債を「民間が保有する」のと、「日銀が保有する」のとでは何が違うのか?

それは・・・

日銀保有分は、実質的にチャラにできるということです。

すべきかどうか、してもいいかどうかとは別に、できるかできないかという話なら、できます。

詳細は過去記事:「本当に、国債260兆円は国のバランスシートから落とせるの?」をご一読ください。


政府・日銀への信認


日銀が国債を保有して、債務者:政府、債権者:日銀(≒政府)、の両建てでバランスさせているのが現状。

これをネットアウトすると、「政府債務残高、実は世界最速ペースで減少」ということです。

ネットアウトの話を持ち出すと、日銀の信認、円の信認が・・・という話になるのですが・・・

ん・・・どうなんでしょう・・・

それで円が売られるなら、もっと円安になってもいいはずですね。ところが、世界的なリスクオフの局面では相変わらず円が買い戻されます。

日銀や円の信認が失墜し、それによる(ハイパー)インフレは、そう簡単には起きなさそうです。

民間(家計や企業)は貯蓄超過の体質で、国としては対外債権国ですから、ね。

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経済の成長と金融政策、アベノミクスの金融緩和と経済構造改革について

金曜の米国雇用統計は良くなかったですね。6月の利上げは見送りかもしれません。

ただ、非農業部門就業者数は単月ではブレが大きいのでその点は注意しておきたいです。

今回は、米国ではなくて国内のお話です。経済成長と金融政策を考えます。


経済と成長


自国の経済でもグローバルな経済でも、基本的には「成長」が期待されています。

基本的には、経済は成長するもの。

そういう思いがあるから、企業経営者は設備や人材や研究開発の投資を行いますし、私たちは株式投資を行います。


成長をもたらすもの


経済の成長をもたらすものとして、単純化して考えると、

1. 新たな価値の創造
2. 人口の増加

1. は、先進国型の成長ですね。これまでになかった商品やサービスを作り出して、新たな需要を喚起することです。多くの企業はこれを狙っていますが、そう簡単にできることではないです。多くの企業はヒットを出せずに苦しんでいます。

2. は、途上国型の経済成長です。汎用品でも買う人が増えれば売り上げは増えます。人口が増えていくときは、自然に経済成長がしやすいです。


成長と成熟


先進国は1のタイプの成長を目指すことになるのですが、それは2のタイプの成長に比べて難しいものです。

経済成長と金融政策の関係を考えると、1と2では金融政策のあり方が違う気がします。まず、2の方で考えましょう。

2のタイプは、人口が増えていくことで企業の売り上げは増えていきます。それに所得の向上も相まって、製品やサービスの普及率の向上も乗っかってきます。

そういう国、経済時期の金融政策は、「強まる需要を抑え込むこと」。つまりインフレ対策ですね。

一方、先進国の場合、製品やサービスは飽和状態です。需要に対して供給力が大きいので、「いかに需要を喚起するか」というのが問題になります。

途上国型とは逆です。


金融の引き締め


金融政策は、金融引き締めによって、強まる需要を抑え込むのに力を発揮します。

金利(金融)をビールに置きかえてみると・・・

ビールが欲しい、ビールが欲しい、俺もビールだ、私もビールが飲みたい、と過熱しているときに、ビールの値段を引き上げて需要を冷やすのは効果が期待できます。

え・・・

そんなに高いならいいや。飲まない。しばらく我慢する。

こんな感じですね。


金融緩和


で、逆はどうでしょう。

みんなにビールが行き渡って、もうそれほど飲みたくないのに・・・

値段を下げるからもっと飲んで、去年飲んだよりももっと多く飲んで、ね、ね。

あ、ビール飲んだら、おまけでもう一杯つけちゃうから、ね、マイナスビール。

と、こんな状態ではビールの需要は喚起されないですよね。

金融緩和、信用供与で経済の成長を作り出すのは一時的でしょう。本格的な成長には経済自体の体力をつけないといけないですね。


まとめ、のようなもの


今回は経済の成長と金融政策の関係を考えてみました。

金融緩和では本格的な成長は作り出せないでしょう。

社会保障制度と労働法制
正規・非正規の問題、パート従業員の厚生年金加入の問題、同一労働・同一賃金、過重労働、最低賃金・・・

企業の行動様式
内部留保の問題、資本の効率利用、従業員への労働分配率、設備投資、法人税・・・

アベノミクスの金融緩和でデフレ懸念を弱めているうちに、社会保障、労働問題、企業の行動といった点で経済の構造改革をもう少し進めて欲しかったなーと思います。(人口問題もありますけど、拡散するのでこのへんで)

まあ、構造改革はそう簡単には進まないんでしょうけどね。(^^;

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今後の為替を占ってみました 円高ですね

為替は予想がつかない。

たしかに、為替は株価よりも予想しにくいと思います。特に短期的な動きはなおさらですね。日銀総裁の発言や財務大臣の発言でかき乱されますし、外国の要人発言や金融政策でも大きく動きます。

でもね、と。(^^;

今回は、為替の中長期的な方向性を占ってみます。やれるだけやってみましょう。


結論は円高


数年くらいのスパンで見たときの方向性は、円高と出ました。

円の実効為替レートでのお話です。

特定の通貨に対してではないので投資には使いにくいのですが、まあ、だいたい米ドルでもユーロでも、主要な通貨に対しては概ね同じような方向でしょう。

で、なんで円高を予想するか、ですが・・・


循環(サイクル)分析


円高を予想するのは、循環的な動きからです。

株式投資の場合は成長を期待して、債券投資の場合は保有によるインカムの積み上がりを期待して長期トレンドに賭ける投資もありですが、為替の場合は、より循環的な動きへの勝負になるでしょう。

そこで循環分析です。

ん・・・

はい。MSCIのときに作ったエクセルシートの使い回しです。(^^;

過去記事:MSCIワールドのトレンドとサイクルを分離

今回の材料は「実質実効為替レート」と「名目実効為替レート」です。データは日銀のサイトから取りました。


これまでの動きとこの先の予想


まずは図をご覧ください。

為替の循環分析 小黒とら

上に行けば円高、下に行けば円安です。

実質実効レート(赤線)で見ると、だいぶ円安水準です。

ちなみに、黒田日銀総裁は2015年6月の時点で、実質実効為替レートで見てこれ以上の円安はありそうにない、という趣旨の発言をしています。

過去記事:実質実効為替レート これ以上の円安ありそうにない

水準的には円安レベルですね。

で、循環的な動きを見たのが次の図です。

まずは実質です。

為替の循環分析 小黒とら

次に名目。

為替の循環分析 小黒とら

さて、どちらも上に行きそうな気配です。上に行く=円高です。


アベノミクス、クロダノミクスは終わり


7年から10年くらいの景気サイクルを考えると、アベノミクス相場は終わりつつありますね。(もう終わっていると言う人もいますが・・・)

リスクオフの局面入りでしょうかね。

実体経済では債務は増やす方向ではなく削減の方向でしょうし、設備投資は拡大よりは抑制気味になるでしょう。国や業種によっては設備廃棄とかも余儀なくされるかもしれませんし、雇用はこれまでよりは抑制的になるかも。

で、株式市場や為替市場はそれを少し先取りします。

伊勢志摩のG7サミットは、どうやって景気を盛り上げるかという攻めの議論よりは、いかにして失速を防ぐかという守りの議論になりそうですね。


余談です


ここからは余談。

日銀が公表している、実質実効レートと名目実効レートの関係から面白いことが分かります。

それは日本と貿易加重相手国とのインフレ格差です。

実効レートの実質と名目の差は、(貿易加重した)諸外国とのインフレ格差と考えられますよね。で、その差から年率のインフレ格差の指数を作ったのが以下の図です。

為替の循環分析 小黒とら

プラスなら諸外国の方がインフレ率が高いことを意味します。日本よりも外国の方がインフレ率が2~4%高いんですね。

で、黒田日銀総裁になってからは、格差を縮小させたことが分かります。


マイルドなインフレ


私は、所得の増加を伴うマイルドなインフレは望ましいと思ってます。

たとえば、米国と日本のランチを考えましょう。1ドル100円とします。

米国では10ドル(日本円で1,000円)、日本では1,000円が現地の人のちょっとしたランチの値段だとしましょう。キリのいい数字で。

で、思考実験。

米国では毎年物価が3%上昇するとします。賃金も同じく3%上昇して、米国人の実質的な購買力は変わらないとします。(話をシンプルにするため物価と賃金を直結します)

日本では毎年物価が0%上昇、賃金も0%で、こちらも実質的な購買力は変わらないとします。

米国人も日本人も、国内だけを見ていれば購買力は変わらないのですが・・・

この状況が20年続くとします。

すると、米国では10ドルのランチ代が、20年後は18.06ドルになります。一方、日本ではランチ代は1,000円で変わりません。

どちらも国内の購買力は変わらないことを思い出してください。米国も日本も、物価上昇と賃金上昇をイコールとしたからです。

20年後の為替レートも1ドル100円とすれば、米国のは1,800円のランチ代ですし、もし購買力平価を成り立たせるなら、為替レートは55円台になります。

安倍首相と黒田日銀総裁が取り組んできたインフレ率と賃金上昇の問題って、「国際間の購買力の問題」という面もあるんだろうなーと思います。

余談が長くなってきたのでこのへんで。

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