カテゴリ:投資や投機や貯蓄について の記事一覧

山崎元氏の「『わかりやすい金融商品』の罠」が、わかりにくい

ダイヤモンドオンラインの山崎元氏の記事「山崎元式・簡単運用との比較で見える『わかりやすい金融商品』の罠」が分かりにくいです。[外部記事]

コストが大事という点は理解できるのですが、それ以外のところで私には理解できない点がいくつかありました。


まな板の上のファンド


山崎元氏が俎上に載せたのはおそらく「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド(愛称:あんしんスイッチ)」でしょう。こちらについては過去記事で私も書きました。

過去記事:SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチ ファンドの投資判断

ご興味あればぜひご一読ください。


理解できない点


山崎元氏の記事で理解できない点を引用します。

仮に、リスク資産が5割でその全てが内外の株式だとして(実際には、そこまでリスクを取らない場合が多い)、先ほどと共通の前提で計算すると、手数料差し引き前の全体の期待リターンは年率2.5%になる。しかし、ここから手数料を1.4%として差し引くと期待リターンは1.1%程度にしかならない。しかも、「基準値の90%」に落ち込む確率は、先の場合よりもはるかに大きい。


え?

基準値の90%に落ち込む確率は、先の場合よりもはるかに大きい、って・・・

断言しちゃっていいの?

というのは、山崎氏も指摘しているように、このファンドは「リスク資産の価値が下落するとリスク資産の組み入れ率を減らす運用を行う」わけです。

CPPIのように動的にリスク量を調整していくファンドです。各種資料から私はそう思っています。

とすると・・・

基準値の90%に落ち込む確率は、そう簡単に推計できません。


なぜ、断言できるのか?


山崎氏は「『基準値の90%』に落ち込む確率は、先の場合よりもはるかに大きい」と断言しています。

専門家として断言しているのだと思いますが、どういう根拠なのか、注意深く読んでも理解できませんでした。

想像するに

1. リスク資産が5割でその全てが内外の株式だとして
2. ほったらかしでリスク量の調整をしないのであれば
3. 基準値の90%に落ち込む確率は、先の場合よりもはるかに大きい
 (先の場合とは、リスク資産3割の場合です)

こういうことなのかな・・・と思うのですが

しかし、それなら俎上に載せたファンドとは違いますね。仮に「2」を根拠に差し込んでいるとしたら、おかしな話になってしまいます。

よく考えても、下値プロテクト付き投資信託を取り上げている文脈の中で、「『基準値の90%』に落ち込む確率は、先の場合よりもはるかに大きい」と断言する根拠が私には理解できませんでした。


あと、気になること


もう一つ気になることを引用します。

山崎氏は、「『下値プロテクト付き投資信託』の不毛」として、以下のように書いています。

少々のリスクはいいとしても、投資元本の90%くらいは確保したいと考える顧客たち(マネーリテラシーのレベル的に「投資家」と呼ぶには抵抗がある人々)にとって、「分かりやすい」ということがその理由らしい。


ん・・・

言葉使いの問題なんでしょうけど、この文章からは下値プロテクト付きのファンドに投資する人を小馬鹿にした感じがします。

このファンドに投資する人はマネーリテラシーのレベルが低いですよ。「投資家」とは呼べませんね。

という感じです。

ファンド自体を批判するのは分かるのですが、ファンドに投資する人にまで批判の矛先を向けるのはちょっと違う気がしますね。


まとめ、のようなもの


私は山崎氏のファンドのリスク評価が理解できませんでした。フェアにリスクを評価しているのかは疑問です。

あと、

いろんな思いでファンドに投資している人はいると思います。個々人の投資判断は尊重したいですね。

そんなことを思いました。

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全ての環境で負けないポートフォリオ 続編 債券投資の考え方

前回の記事「全ての環境で負けないポートフォリオに思うこと」で、債券投資で19%のリターンを得るのは難しいと書きました。

これについてお問い合わせを受けました。

今回は、固定利付債と変動金利債券について


長期国債のリターン


話をシンプルにするためにデフォルトリスクは無いとします。インフレ連動債券は考えません。一般的な長期国債(固定利付債券)に話を絞ります。

債券投資のリターンは、クーポン収入のインカムゲインと、金利が変動することによるキャピタルゲイン(キャピタルロス)の合計です。

長期国債に投資する場合、金利が低下すればキャピタルゲイン、金利が上昇するとキャピタルロスです。


長期国債のキャピタルゲイン


現状、日本国債10年の利回りは年0.07%です。

厳密性にはちょっと目をつぶって、年1回のクーポン払いとして、クーポン0.07円、額面100円の10年満期の新発国債を想定します。

この債券を100円で買えば、インカムゲインは年0.07%です。

債券投資で19%のリターンを得るには、金利低下によるキャピタルゲインで稼ぐしかありません。

で、そのためには

10年国債の利回りが「マイナス1.74%」にならないといけません。

現実的にはかなり難しい数字ですね。


さらに言うと


これまでの計算は長期国債を想定したケースです。

注意しないといけないのは、個人向け国債(変動10)の配分が20%あることです。個人向け国債(変動10)は商品性が長期国債とは根本的に違います。

長期国債は「固定金利債券」への投資
個人向け国債(変動10)は「変動金利債券」への投資

先ほど、長期国債に投資する場合、金利が低下すればキャピタルゲインと書きました。長期国債(固定利付債券)への投資は、金利低下がメリットになります。

しかし、個人向け国債(変動10)は、金利低下はデメリットです。

金利が低下すると最低保証の0.05%に張り付いてしまいます。長期固定とは違って、金利低下によるキャピタルゲインはありません。


債券内での逆相関


ちょっとまとめます。

金利低下した場合
長期国債(固定利付債):○
個人向け国債(変動10):×

金利上昇した場合
長期国債(固定利付債):×
個人向け国債(変動10):○

です。

長期国債と個人向け国債(変動10)の両方を持っていることは、ざっくり言うと、金利の上昇や低下の効果をお互いに打ち消しあう関係です。


違和感


個人向け国債(変動10)の部分では金利低下のメリットは取れません。

引用元にありました

「長期国債:20%」は、現状では、「ヘッジ付外債」か「個人向け国債(変動10)」に割り振る方がいいのではないか。


という意見に首をかしげます。

長期国債(固定利付債)への投資と、個人向け国債(変動)への投資では、金利に対する挙動が全く違います。得意とするマクロの経済環境が違うということでもあります。

安易に「割り振るのがいいのではないか」と言っていいのかなーと疑問に思います。

ヘッジ付き外債はまだ理解できますけどね。


思うこと


今回は、債券投資についてでした。

長期国債(固定利付債)と、個人向け国債の変動10では金利に対する挙動が違うことがポイントです。

「全ての環境で負けない」というと、すごく気になります。参考にもしたくなりますね。

ただ、だからこそ、詳細に見ていくことが大事ですね。それで納得できれば参考にすればよく、ちょっと違うよねと思えば参考にしないのがいいです。

高名な評論家の作ったポートフォリオだからと、吟味せずに受け入れるのは危険です。

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全ての環境で負けないポートフォリオに思うこと

山崎元氏の「全ての環境で負けないポートフォリオを考える」という記事を読みました。
[外部記事]

いや・・・

今回は、全ての環境で負けないポートフォリオについて


理想のポートフォリオ?


「全ての環境で負けないポートフォリオ」というと、無敵で最強のポートフォリオのように思えますね。

さっそく山崎元氏が提唱する「全ての環境で負けないポートフォリオ」を見てみましょう。

balance_portfolio.png

組み入れ資産はこうなります。

・国内株式 15%
・外国株式(先進国)ヘッジ無し 5%
・外国株式(先進国)ヘッジ付き 10%
・金(ETF) 10%
・J-REIT 5%
・長期国債 20%
・ヘッジ付き外国債券 15%
・個人向け国債(変動10年) 20%


ポートフォリオ概観


このポートフォリオですが、株式・J-REITで35%、金10%、債券55%のバランス型ポートフォリオですね。

金10%というのを除けば、バランス型投信のリスク中庸型にありそうなポートフォリオです。ただ、リスクパリティ(山崎氏の記事中の言葉では「リスク同量」)の観点からこのポートフォリオを分析したところ、株式のリスクが相対的に大きいです。

資産配分ではやや債券が多いですが、リスク配分の点では株式への配分が多くなります。


このポートフォリオで


このポートフォリオでは、「経済下降」と「デフレーション」の局面では悲しい思いをするのではないかな・・・

というのが率直な思いです。

たとえば、株式が30%下落する局面を思い浮かべましょう。例をあげると日経平均が2万円から1万4千円になるような相場展開です。十分にあり得ますよね。

金の動きは除いて考えるとして、株式が30%下落する局面ではJ-REITも同等かそれ以上の下落が見込まれますね。ひとまず同等と想定しましょう。

株式とJ-REITで30%のマイナスリターンとします。

そのとき、その環境下でも負けないためには・・・

債券の部分(長期国債、ヘッジ付き外国債券、個人向け国債)でその負けに匹敵するプラスを取ればいいわけです。


ざっくり計算


株式とJ-REITの配分は35%、債券への配分は55%です。

債券のリターンがいくら必要かは

0.35*(-0.30) + 0.55*X =0

これを満たすXを求めればよくて、その答えは+19.1%です。

ん・・・

債券投資で19%のリターンを得るのは難しいでしょう。

なお、仮に金が株式と逆相関で30%のプラスリターンだとしても、債券は13.5%のプラスリターンが必要です。


思うこと


「全ての環境で負けないポートフォリオ」は気になりますね。その究極のポートフォリオを保有すればストレスなく投資ができそうです。

でも、実際としては難しいでしょうね。

もし、そういうポートフォリオがあるなら、誰にも伝えずに自分で運用して利益を出すはずです。

都合よくリターンを上げるのは無理。

リターンのあるところ、必ずリスクはあります。

その点は忘れないようにしたいですね。

追記:全ての環境で負けないポートフォリオ 続編 債券投資の考え方

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年率3%で運用できる金融商品?

ちょっと前の日経電子版に「『資産形成を早く始めろ』と言うのは正しいか?」という記事がありました。[外部記事]

そこでは「年率3%で運用できる金融商品に・・・」という表現で、若いころからの長期投資をすすめています。

今回は、複利効果について


計算上は合ってますが・・・


記事を引用します。

年率3%で運用できる金融商品に25歳から毎月2万円を65歳まで40年間投資をした時の残高は、税金や手数料を考慮しなければ1900万円弱に達します。


たしかに計算は合ってますね。

でも、この考えはちょっと危険です。

長期間の複利計算をすれば、大きな数字になります。


複利の計算


複利の計算の前提は、投資の成果(果実)を投資元本に組み込んで、常に同じリターンで運用できるというものです。果実が果実を生む状態です。

ところがリスク資産へ投資する場合、常に同じリターンで果実が果実を生む状態は起きません。リターンは変動しますね。

リターンが常に変動するリスク資産に投資するのに複利効果を持ち出すのは大いに疑問ですし、投資を勧めるときに複利効果を持ち出すのはちょっとどうかなーと思ってしまいます。

株式投資のリターンと、定期預金の複利効果とは分けて考えるべきですね。

定期預金で確定的に3%の利息が得られるなら、長ければ長いほど資産は増えます。しかし、株式投資で期待リターンが3%の場合、長ければ長いほど資産が増えるとは限りません。


思うこと


一般論として、私も資産形成は長期的に取り組むものだと思います。

若いうちから早めに考えた方がいいですし、実際、多くの人は若いころから財形貯蓄(財形預金)などの積み立て貯蓄をしていると思います。

少しずつ時間をかけて貯めていく。

これは望ましいことです。

ただ、その考え方をそのまま投資には持ち込まない方がいいと思います。早く始めて途中で力を抜くのもありですし、ゆっくり始めるのもありです。

資産形成。貯蓄。投資。

それぞれに類似点もあれば相違点もありますね。

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セゾン投信・中野社長の世代間格差を煽る記事に違和感

セゾン投信、中野晴啓社長の「20〜30代が50代よりもおカネを貯める方法」というインタビュー記事が東洋経済オンラインにありました。[外部記事]

ん・・・

今回は辛口です。

セゾン投信や中野晴啓社長ファンの方には申し訳ありませんが、批判的な内容になりますのであらかじめご承知おき下さい。


東洋経済オンラインの記事


「20〜30代が50代よりもおカネを貯める方法」と題する記事は、鈴木雅光氏(JOYnt代表)の署名記事です。なので記事自体を書いたのは鈴木雅光氏ですね。

ただ、冒頭に「セゾン投信の中野晴啓社長が、20代、30代向けにアドバイスする。」とありますし、セゾン投信のサイトには「東洋経済オンラインに社長中野のインタビュー記事が掲載されました。」とありますので、記事は鈴木氏の見解ではなく、セゾン投信の中野晴啓社長の見解と思って差し支えないでしょう。


なにが残念か


世代間格差を煽っているのが残念です。

50代は働きに見合わない過分な高収入を得続け、日本企業が築いてきた「20世紀の偉大な遺産」が食い潰されていく。そして、そのシワ寄せが今の20代、30代に及ぶ。


いや・・・煽ってますね。

こういう煽り方って、いたずらに一方的な恨みを醸成するだけですよね。


ストーリーの整理


今回取り上げた記事のストーリーを私なりに解釈すると

1. 20代、30代の諸君! 50代以降の老害には腹が立つだろ?あいつら仕事の割には高い給料を取って、そのシワ寄せはすべて君たちに来てるんだぜ。

2. あいつらのこと憎いだろ。だったら投資だよ。投資!

3. 50代以降は投資のリスクなんて取らないビビリだから、預金に置いておくしかないんだ。でも、君らは投資ができるよね。

4. あいつらが預貯金で、君らが株式投資しているとするだろ。そのときインフレが起きたらどうなる?

5. そうだよ、君らが勝つんだよ!

という筋立てです。

世代間の反目を煽りすぎ、あと、インフレの夢を煽りすぎですね。


インフレを煽りますか?


アベノミクスで日本銀行の黒田総裁が異次元の金融緩和に踏み切りました。しかし、インフレ2%は実現できていないですね。

それだけ今の日本でインフレを起こすのは難しいです。

なぜか?

922_inflation_risk.png

上の図、青い線は消費者物価指数の指数値です。70年から90年代までは、モノやサービスの値段は右肩上がりでした。

その動きと呼応するように、オレンジの線、就業者数も増えていました。

マクロ的に見て、就業者数が増えると総所得も増えます。所得が増えると消費も増えますね。消費が増えれば物価も上がります。

ところが90年以降は様相が変わります。物価も就業者数も水平の動きです。

日本のマクロ経済を考えたとき、所得や消費が拡大し、物価が上昇する(インフレになる)筋書きは書きにくいですね。インフレは、モノやサービスに対する需要と供給の関数です。需要は所得と消費と深く結びついています。

金融緩和や政府の思惑でインフレが起こせるわけではありません。


冷静に考えると


記事には「国はおそらくインフレを加速させ、財政再建を進めようとするだろう。」とありますが、現実には難しいでしょうね。

政府がインフレを起こせるなら、とっくの昔に財政再建は実現していたはずです。いまだに財政再建が進んでいないということは、政府はそう簡単に物価をコントロールできないということです。

なので、

20代、30代が世界中に分散投資をする一方、50代以上の現金・預金をたくさん持っている人がこのまま動かずにいてくれれば、あと10年もしたら世代間格差は縮小するだろう。


この見方は都合が良すぎると思いますね。


煽りは不誠実


「世代間格差を嘆く前に、まずは行動を起こしてみてはどうだろうか。」

引用記事にあった最後を締めくくるメッセージです。

世代間格差を嘆く前に、って・・・

嘆くように煽っているのは誰なの?

マッチポンプだなーと感じてしまいます。


思うこと


煽って投資に仕向けるのは顧客本位の理念に反する気がします。ビジネスの推進と顧客本位は難しいバランスの上に成り立つと思いますが、今回の記事はビジネスに寄り過ぎと感じました。


投資は、リターンを期待してリスクを取る行為ですね。いまの株価が割安で、この先の経済は改善していくと思うときに投資するのがいいと思いますし、ドルコスト平均法でコンスタントに投資していくのもありです。

思うのは、タイミングを取る投資でもドルコストでも、前向きな気持ちで投資したいということです。 (^^)

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