カテゴリ:投資や投機や貯蓄について の記事一覧

金融庁長官の思いを忖度したところ

前回の「NISAに関する素朴な疑問」の延長戦です。

今回は、日本証券アナリスト協会の講演を参考に、異色の官僚と称される森信親・金融庁長官の思いを忖度しようと思います。[参照]

金融庁長官の思いを忖度すると、積立NISAは、投資関連業界に「顧客本位」を促す一環としてとらえることができます。


トップダウンとボトムアップ


森長官はインベストメント・チェーンに関わる全ての金融事業者に、顧客本位の業務運営に関する原則を求めています。

金融庁がトップダウン的に業界の変革を進める感じです。

金融庁が業界にコントロールが効くのは監督権限を持っているからで、その点では業界に対してプレッシャーをかけていくのは効果的でしょう。

で、ちょっと天邪鬼なところのある私は次のようにも思うのです。

ボトムアップはどうなの?


投資家過保護


日本証券アナリスト協会の講演では、投信を購入する「投資家」の変革はそれほど言及していません。

私は、業界に変革を迫るのも大事ですが、それと同じように、個人投資家の自助努力をもっと、もっと求めるべきではないかなと思うのです。

投資家保護は大事ですが、投資家過保護になってはいけないですよね。金融庁がお膳立てしすぎると、個人投資家からのボトムアップによる業界変革は起きにくくなるのではないでしょうか。

個人投資家がもう少し、リスクとリターンの関係にシビアになれば、EB債のような仕組債や、CoCo債のようなデリバティブがからんだ複雑でリスクの分かりにくい商品が売れなくなると思うんです。

それに、個人投資家が最後は自分で決めるという自己決定の原則を強く意識していれば、ちゃんと目論見書も読むでしょうし、言われるままに投信を購入することも減るでしょう。リターンが高そうに思える投信でも、そのリターンを得るためにどんなリスクを取ってるのかも気になるはずです。

金融教育の分野ですね。


思うこと1


「顧客本位の業務運営」は、正論なのでそれに異を唱えるつもりはありません。

ただ、投資って原則自由だと思う私としては、業界に対して角を矯めて牛を殺すことなく、投資家に対して過保護になることもなく、バランスが大事なんだろうなと思います。

あ、高齢者は別です。

金融庁に望むこととして、「適合性原則」による検査をキッチリやって、問題のある事案には行政処分を下して欲しいです。高齢者にリスクの高い投信を売るのは適合性原則に反しますからね。判断力の鈍る高齢者は厚く保護すべきでしょう。


思うこと2


森長官が投げかけている問題は、直接的には業界に対してです。

でも、最終的には、サービスの需要者である私たち個人個人の問題でもあるんでしょうね。

私たち個人投資家も、実は試されているのかもしれません。

忖度のしすぎ、かもしれませんが。(^^;

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米国人の半分は株式投資(投信を含む)をしていない

米国家計の約半分は、株式投資(投資信託を含む)をしていないという調査があります。

日本証券経済研究所の「米国の個人株主実態調査」です。調査の時点は2005年。少し古いですがそれでも興味深い内容です。[出典]

今回は、投資の日米比較について


米国人は投資しているか?


米国ではみんな株式投資していて、金融リテラシーも高いイメージがありますね。

実際どうなのか。

さきほどの2005年の調査では、株式投資している世帯は50.3%でした。

ちなみに、1983年の調査では投資している比率は19.0%、1995年では40.4%です。80年代、90年代は投資をしている世帯の方が少数派でした。

私としては印象よりも意外と低いなぁーという思いです。

米国人 投資比率
画像出典:日本証券経済研究所)


米国人の金融資産は株式が多い?


米国人の家計では株式や投資信託の比率が多いと言われています。

一方、日本では預貯金が多いですね。この違いをもって、米国人は肉食の狩猟民、日本人は稲作主体の農耕民と対比され、リスク姿勢の違いが大きいように言われます。

実際どうなんでしょう。

興味深いのは日銀のレポートです。

日米投資家比較
出典:日本銀行)

たしかに株式・投資信託の比率はだいぶ違います。

ところが、この違いには4つの論点があるというのが日銀のレポートです。

1. 統計上の技術的な問題
2. 家計のバランスシート構造の問題
3. 確定拠出年金制度の問題
4. 金融リテラシーの問題


単純比較はできない


4つの論点のうち1と2をざっくり解釈するとこうなります。

日本と米国では「家計」の定義が異なるし、「金融資産」の計上の仕方も異なるということです。要は同じカテゴリーで同じような比較とはなっていないのですね。

それに社会構造の違いとして、米国では一握りの富裕層がストックオプションなどで株式をたくさん持っていて、全体として株式比率が高まっているという要因もあります。さらには、日本では家計の資産で不動産(住宅)の占める割合が大きいので、住宅ローンの返済に見合うように預貯金を高める傾向もあります。

日米で単純には比較できないですね。


金融リテラシー


米国人は投資の知識が豊富かどうかは気になりますね。

同じく日銀のレポートから

849_us_investore_03.png
出典:日本銀行)

これを見ると、米国人と日本人のリテラシーは大差ないですね。

日銀レポートは

「米国消費者の金融リテラシーも、全体としてみると決して高いとはいえないことがわかる」

としています。


思うこと


米国人は株式投資している人も多く、株式への投資比率も高いように思えますが、実際には米国人でも約半分の家計は株式投資をしていないとの調査がありました。

株式投資比率は、日米では統計上の違いもありますし、不動産の要素も大きいですね。

金融リテラシーは日米で大差ないと思います。

で、結局のところ何が言いたいか。

それは、「米国人は積極的に株式投資をしている。日本人ももっと投資すべきだ」とは単純に考えない方がいいんでしょうね、ということです。

自分(と家族)にとって、どのくらいのリスクをどのように取るのがいいのか。

その答えは人それぞれの状況で違いますね。(^^)

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投信のリターンと損益の関係 ドルコスト平均法の場合

以前の記事「アクティブファンドをドルコスト平均法で積立投資すると」の続編です。

このときはインデックスか、アクティブかといった違いよりも、いつからいつまで投資するかの違いの方が大きいという話しでした。

今回は、投信のパフォーマンスと損益の関係について考えます。


どっちがいいですか?


まずビジュアル。

小黒とら

青線はDIAMのTOPIXインデックスファンド、青線はさわかみファンドです。

2006年末から2016年末までの10年間です。

パッと見ると、パフォーマンスの良かった「さわかみファンド」に投資していた方が良さそうですね。


パフォーマンスと損益(一括の場合)


2006年末の基準価額を100とすると、2016年末は

DIAMのTOPIX:107.44
さわかみファンド:118.53

2006年末に100万円で一括投資していたら、それぞれ107万円と118万円になっていた計算です。

さわかみファンドの方が高い利益です。

ところが、毎月1万円の積立投資だと話は違います。


パフォーマンスと損益(ドルコストの場合)


10年間のドルコストで投資元本は120万円です。損益はこうなります。

DIAMのTOPIX:187.19万円
さわかみファンド:184.59万円

今度はDIAMのTOPIXインデックスの方が利益が大きくなります。

あ、

この違いは、インデックスとアクティブは関係ありません。

投資期間中に購入コストを下げるチャンスがどのくらいあったかの違いです。低迷している深さが深かった、低迷の期間が長かったなどの要因です。

今回の比較ではTOPIXインデックスの方が下落が深かったのです。


もう一つ比較


もう一つ別のグラフです。

小黒とら

青線はDIAMのTOPIXインデックスファンド、緑線は仮想ファンドです。

ドルコスト平均法の投資結果は

DIAMのTOPIX:187.19万円
仮想ファンド:202.47万円

仮想ファンドの方が10年間のパフォーマンスは低いのですが、損益は大きくなっています。


まとめ、のようなもの


積立投資の場合、過去10年のような2点間の基準価額で測ったパフォーマンスと、投資で得られる損益額の関係は要注意です。高いパフォーマンスのファンドに投資していれば、高い利益が得られるとは限らないです。

積立投資の損益は、経路依存なんです。


思うこと


インデックスファンドのリターンは平均とか、アクティブはインデックスに平均的には負けるとかありますね。

でもね、と。

それって基本的には2点間のパフォーマンス比較なんですよね。

ドルコスト平均法で積立投資する場合、損益は経路依存なので、2点間のリターンで測って平均とか、平均的には負けにくいとか、そういうのはあまり関係ないのかなと思います。

投信のリターンはリターンとして、それとは別に、投資の損益は購入の平均単価と売値(あるいは評価額)との関係ですね。

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アクティブファンドをドルコスト平均法で積立投資すると 比較検討

今回は、インデックスファンドでもアクティブファンドでも、どっちでもいいんじゃないというお話しです。

はい。

結論から言ってみました。

半分だけ、ですけど。(^^;


アクティブファンドを3つ選定


モーニングスターのサイトを使って日本株のアクティブファンドを3つ選定しました。

10年以上の運用歴があるアクティブファンドで純資産が大きいもの3つです。なお、トヨタ関連株ファンドはちょっと特殊なので除きました。

選定したのは以下の3つです。
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド
2. さわかみファンド
3. ニッセイ 日本株ファンド

これに対し、比較用のTOPIXのインデックスファンドとして
4. DIAM 国内株式インデックスF


パフォーマンス比較


この4ファンドの過去1年、3年、5年、10年のトータルリターンです。

インデックスファンド 小黒とら

TOPIXインデックスファンドに対する相対リターンにするとこうなります。

インデックスファンド 小黒とら

ファンドによって勝ったり負けたりですね。


アクティブファンドを積立投資したら


アクティブファンドをドルコスト平均法で積立投資したらどうなるか。

先ほどのアクティブ3ファンドとインデックス1ファンドで比較します。毎月1万円。120ヶ月なので投資資金は120万円です。

ケース1
2002年末から2012年末の10年間

ケース2
2006年末から2016年末の10年間

各ファンドの動きはこんな感じです。

インデックスファンド 小黒とら


2002年から2012年の10年間


インデックスファンド 小黒とら

どのファンドに投資しても元本割れですね。
左から、108.0、 107.3、 110.7、 110.3万円です。


2006年から2016年の10年間


インデックスファンド 小黒とら

どのファンドに投資しても儲かってます。
左から、187.2、 183.0、 184.6、 186.1万円です。


今回の比較で分かったこと


TOPIXのインデックスファンドに投資するか、アクティブファンド(フィデリティ、さわかみ、ニッセイ)に投資するか。

その選択の違いよりも

2002年から10年投資するか、2006年から10年投資するか。

その違いの方がはるかに大きいです。


大事なことなのでもう一度言います


「インデックスかアクティブか」の違いより、「いつからいつまで投資するか」の違いの方が大きいわけです。

少なくとも今回選んだファンドではそういう結果です。

私の結論としては、

インデックスファンドでもアクティブファンドでも、どっちでもいいんじゃない。
それより、いつからいつまで投資するかの方が影響は大きいよね。

です。

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トンチン年金「終身型」(個人年金保険)の損得勘定

前回記事に引き続き、第一生命保険の「とんちん年金『ながいき物語』」を取り上げます。

前回はトンチン性年金の「10年受取型」について損得勘定を計算しました。年金の受け取りまでに亡くなる確率を考えると、私は10年受取型にそれほどの魅力を感じませんでした。

今回は、どんなに長生きしても一定の年金を支払う仕組みの「終身型」の損得勘定です。


商品の概要


終身受取型はこうなっています。

トンチン年金 小黒とら

生きている限りずーっと受け取れるのが魅力です。

さて、この年金の損得勘定です。


何歳まで生きれば有利か


①のケース(男性50歳)では、10年受取型は毎年77.02万円の受け取りでした。[前回記事]

終身型では毎年37.86万円です。

10年型:77.02万円×10年 = 770万円
終身型:37.86万円×N年 = 770万円

年金総受取額が見合うのはN=20.3年です。

つまり91歳(21年分)以上になれば10年型より有利です。


そこまで生き延びる確率


厚生労働省の生命表を元に計算しました。

50歳男性が、終身型で有利になる91歳(①のケース)まで生きる確率は、

21.8%です。

意外に低いですね。


心理と経済


保険会社はうまく設定しているなーと感じます。

長生きリスクに備えるトンチン年金ですから、多くの人は「死ぬまで受け取れる」終身年金での受け取りを選択するのではないでしょうか。

でもね、と。

10年確定型より有利な年齢まで生きられるのは2割くらいの人です。

経済的には10年型の方が期待値は高いです。

心理的には終身型ですけどね。(^^;


ほかのケースでは


残りのケースも試算しました。

10年型より終身型が有利になるまで生き残れるのは、だいたい15%~20%です。画像クリックで拡大します。

トンチン年金 小黒とら

返還率が見合う年齢が遠いです。


終身年金


終身型で安心と思えますが、実際はそれほど得ではないです。

ん・・・

なんとなく「食べ放題」の戦略に似ているのかな。

食べ放題はお得感ありますね。いくら食べても一律の値段ですから、たくさん食べれば食べるほどお得です。

でも、意外に食べられないですよね。

お店の側は、採算割れするお客さんが少しは出るかもしれないけど、全体としてはちゃんと利益が取れるように値段と料理を設定しています。当たり前ですけどね。

保険も同じですよね。

全体としては保険会社に利益が出るように、掛け金と支払い条件を設定しています。


思うこと


食べ放題が好きな人もいれば、終身型の年金に魅力を感じる人もいます。

食べ放題はたくさんの種類を楽しめて楽しいですし、終身年金には安心感という心理的な支えがあります。経済性だけじゃないですよね。

楽しさや安心感にどれだけの価値を見出すか。

最後はそこなんでしょうね。(^^)

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