投資に失敗する強気 過度な成長期待

前回記事「投資に失敗する強気」の続きです。

図らずも連載物になってます。

今回は、強気相場での成長期待の織り込みについて


とら焼き製造会社と総合和菓子メーカー


総合和菓子メーカーのW社が、とら焼き製造会社のT社を買収する例を前回出しました。

とら焼き製造のT社のブランド力、特許、ノウハウなどの「のれん代」を1500億円として買収価格を1700億円とした例です。

前回はブランド力などの1500億円の根拠をぼやかしました。今回はその点を考えます。


T社の利益


いま世界ではとら焼きブームが起きています。

特にアジアでは和菓子が空前のブームです。なかでもとら焼きは大人気で売り上げは倍々ゲームで伸びています。

そこで総合和菓子メーカーのW社はT社に目を付けたわけです。

W社はこう考えました

T社の来年の利益は20億円。
来年を含めて今後10年は毎年20%のペースで増えていくだろう。
しかし、11年目からは安定成長で年2%と見ておこう。

で、T社を買収する案件はもちろんリスクもあるから、この買収での投資リターンは年6%欲しい。

さて、この条件での企業価値は・・・

1820億円になります。


W社の思惑


1820億円の計算はインカムアプローチ(DCF法)を使いました。

将来の利益を予想して、要求リターンの6%で割り戻して求めます。それ以上の説明は今回は省きます。

ともかく、将来の利益を見積もって1800億円くらい。なので、T社のブランド力などの「のれん代」を1500億円として評価した企業価値1700億円と整合的です。

実際のM&Aはインカムアプローチと、のれん代の評価積み上げ方式、類似会社の買収事例などを比較して、エンピツを舐めて寄せていくんでしょうけど。

ともかく、T社の企業価値を1700億円としましょう。


利益成長が激減


さて、T社の利益です。

買収してすぐに世界景気の減速でアジアの消費が激減したとします。

当初期待していた利益成長の年20%は絶望的です。まあそれでもこの先10年は10%の利益成長は見込めそうです。11年目からは従来予想通り2%の成長で変わりません。

要求リターンの年6%は変わらないとして

10年間の利益成長が20%→10%になったT社の企業価値を再評価しましょう。

さて、いくらになるか。


T社の再評価


T社の企業価値を再評価すると

895億円です。

企業価値は50.8%ダウンです。


株式投資でも同じこと


高い成長率を前提にして高い株価となっている銘柄がります。成長株にありがちですね。

そうでなくても、市場全体が織り込んでいる利益成長率が高くて、市場全体の株価が高くなっていることもあります。バブル期などはそうですね。

で、利益成長に対する市場の評価が変われば、たとえプラスの成長でも株価は下がることがあります。

悩ましいのは、市場の評価がどう変わるかは的確につかめませんし、利益成長だけでなく割引率の変化も的確にはつかめないことですね。


それでも


的確にはつかめないのですが、それでもざっくりとした考え方です。

景気減速や企業業績の悪化を示すニュースが増えて、投資家が企業の利益成長に慎重になる。

そうすると株価は下がりやすいです。

逆に、企業の業績がこの先しばらく上向きそうだ、成長が加速しそうだというニュースが増えて投資家の期待が上向きに変化する。

そうすると株価は上がりやすいですね。

私は、ここ数年はわりと強気の投資家が増えて、利益成長も比較的楽観だった。その上でいまの株価だろうという見方です。なので、しばらくは慎重に見た方がいいかなという思いです。

今日明日の話というよりは、数年の期間を想定しての見方です。

あ、

数十年という期間を想定した見方でもありません。(^^;

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