投資に失敗する強気

東芝 日本郵政 キリンHD 海外企業の買収による巨額損失に思うこと」の続きです。

今回は、買収や投資に失敗する強気について


とら焼き製造会社


かなり単純化した貸借対照表です。

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この企業の企業価値を求めましょう。話を単純化するために、企業価値とはその企業の純資産価値(総資産から負債を引いた額)とします。

この企業は、とら焼きを製造しているT社とします。

T社には現預金で100億円、とら焼き工場として400億円の資産があります。一方、銀行から運転資金として300億円の借入れがあります。

T社の純資産額 = 企業価値は、(100+400)- 300 = 200億円です。


総合和菓子メーカー


さて、T社とは別の企業で、総合和菓子メーカーのW社があります。

W社は自社のラインナップにとら焼きを入れたい。しかし、W社にはとら焼きを作る工場はありませんし、作るためのノウハウもありません。また、T社のとら焼きは市場に浸透していて今からW社が新たにとら焼き市場に入っていくも大変です。

和菓子メーカーのW社は、とら焼きのT社を丸ごと手に入れちゃうのが手っ取り早いと考えました。

で、実際に買おうとしたとき、先ほどの企業価値200億円では買えません。


被買収側の企業価値


ここで登場するのが、企業が持っている目に見えない資産です。

T社では、とら焼きを作るノウハウです。製造に関する特許も持っています。しかも市場シェアも高く、T社のとら焼きにはブランド力もあります。

となると、買収するW社は買収対象のT社のブランド力、特許、ノウハウなども資産価値として評価しないと取引が成功しませんね。

ブランド力、特許、ノウハウを考慮に入れるとこうなります。

858_MandA_02.png

こうなるとT社の企業価値は1700億円に跳ね上がります。


どうやって見積もる?


ブランド力が500億円、特許の価値が500億円、ノウハウが500億円をどうやって決めるか。

そこには複雑な要素が絡むでしょう。

特に買収が競合しているとき、どうしても買いたいと思えば、ブランド価値や特許の価値を高く見積もって買収額を高くすることになります。

買収(M&A)では「勝者の呪い」(Winner's curse)という言葉もありますね。


失敗のメカニズム


T社の企業価値を高く見積もったものの・・・

世界的な景気低迷で思ったほどとら焼きの消費量が増えないとか、成長を見込んだアジア各国のとら焼きブームが一過性で終わってしまったとか。

そうなると、

ブランド力が500億円、特許の価値が500億円、ノウハウが500億円って、うわっ、この見積もり高すぎ!となりますね。

再評価したところ、ブランド、特許、ノウハウの3つ合わせて500億円となったら1000億円が吹っ飛ぶことになります。

減損処理です。


M&Aが活発


さて、ここで興味深いグラフがあります。M&Aの金額です。単位は億円。

1_number.png
出典:MARR Online)

2011年以降、企業の合併・買収(M&A)が増えています。

景気回復期に伴い → 企業買収が活発化 → 景気のピークアウト → 高値で買収してしまった案件の減損処理

という流れの後半に差し掛かっているのかもしれません。

M&Aが活発なときは企業価値を高く評価しがちです。株式投資が活発なときにバリュエーションが割高になるのに似ていますね。


思うこと


M&Aが増えた数年後、減損処理が増える。

そんな気がしています。

企業の減損処理が増えると株価には良くないですね。

去年から株価は高値圏かなと思っていたのですが、このところは企業業績の不透明さも強まっている気がします。

のんびり様子見が吉かもしれませんね。

続編:投資に失敗する強気 過度な成長期待

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3245:負ののれん

日本にはM&Aで負ののれんを計上できるような
割安な会社が結構あります
何も割高な海外の会社に目を向けなくても
そう思ってしまうのは私だけでしょうかw

2017.04.22 18:14 消費しないピノキオ #0bEIyvWM URL[EDIT]
3247:

※3245:消費しないピノキオさん
割安な日本の企業はありますね。
海外の会社は成長性があると思って割高を正当化してしまうのかもしれませんね。(^^;

2017.04.23 19:14 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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