補足説明 ニッセイアセットの外国株式インデックスの乖離

このところ話題にしているニッセイアセットの外国株式インデックスの乖離について、いくつかご質問をいただきました。

ご質問に答える形で補足説明します。


乖離の原因は


1. ファンドに大きな資金が入る(出るも同様)
2. 一次のTTMで外貨を手当てして、二次公示のTTMが建つ

この2つの要因が重なると乖離が大きくなります。

ニッセイAMの説明文を切り出します。 [参考リンク]
・マザーファンドに大きな資金流入が見込まれた
・TTMが日中に変更された

資金の要因とTTMの要因の2つが重なったことが分かります。


急激な資金流入はあったのか


<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの資金動向です。

ニッセイ外国株式インデックス

これを見ると大きな資金移動はありません。

でもね、と。

ニッセイ外国株式インデックスファンドの家族構成を見てみましょう。マザーファンドの決算情報が得られた2015年11月20日時点です。

ニッセイ外国株式インデックス

DCは数百万円規模ですが、図では便宜的に1億円としました。

マザーファンド:50,880百万円
一般向け:19,030百万円
DC:4百万円

この関係から、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と「DCニッセイ外国株式インデックス」以外に、少なくとも1つ以上のファンドがあることが分かります。

機関投資家向けの私募ファンドでしょうか。それが残りの318億円分あるはずです。

で、機関投資家向けファンドに、数十億円規模の入金があった可能性があります。

ファミリーファンド形式の場合、あるファンドの資金移動の影響はマザーファンドを通じて他のファンドにも影響します。


ニッセイAMはミスをしたのか


ニッセイAMはミスを起こしたのかは気になるところでしょう。

私は「ミスは起こしていない」と思います。

やるべきでないことをやった(誤発注)、やるべきことをやらなかった(発注失念)、などの過失はなかったと考えています。

もし、発注失念や誤発注等、過失があって顧客に損失が発生したとします。それにも関わらず、適切な対応を取らないと金融庁の検査で指摘されます。

業態は違いますが、三菱東京UFJ銀行は金融庁から行政処分を下されています。
[参考リンク]

資産運用業であれば、金融庁の監督指針は以下です。[参考リンク]

VI. 監督上の評価項目と諸手続(投資運用業)
VI-2-2-3 弊害防止措置・忠実義務
(3)権利者への忠実義務

運用財産の運用において事務ミス等の自己の過失により権利者に損害を与え、その損害について権利者に損害賠償を行わない場合、忠実義務違反に該当する可能性があることに留意する。


事務ミスを放っておくことは、受益者に対する忠実義務違反に該当する可能性があります。

事務ミスなどの過失によってファンドが損失を被った場合、その分を埋め合わせるのは、「損失補填」ではありません。「損害賠償」です。

今回の件がニッセイAMの過失ならば、ニッセイAMは損害賠償をしなくてはいけないのです。しかし、損害賠償をしていない。それは、ニッセイAMに過失がないからですね。

過失がないのにファンドに補填すると、禁止行為である「損失補填」になってしまいます。

なので私は、ニッセイAMに過失は無かったと思っています。


他の運用会社にも起こりうるか


今回の件はニッセイAMに特有の事ではないと思います。

ニッセイAMにしか起きないことではなく、条件が合えばどんな運用会社にも起こりうることです。

条件とは、
1. ファンドに大きな資金移動がある
2. TTMが建て直しになる(二次公示が建つ)
の2つが揃うときです。

2.については、TTMで為替を取るのはどの運用会社でもやっているでしょう。それが最もインパクトの低い取引ですから。

1.は運用会社によって異なりますね。

今回はニッセイが運悪く重なってしまったのでしょう。前回記事で検証したように、これまでは二次相場が建ってもニッセイAMはうまく切り抜けてきました。


大きな資金流入を避けられるか


現実的には難しいのではないでしょうか。

明日、米国の大統領選挙があるとか、EU離脱の国民投票があるとか、日銀の政策決定会合があるから、TTMが見直しになる可能性があるので・・・

大きな設定は受けない。

とはならないでしょう。

TTMが建て直しになると予測するのは困難です。

そうなるとオープン型投信の原則である、いつでもいくらでも自由に設定・解約ができる運行をするのは妥当で、今回のニッセイAMが通常の運行をしていたことは非難に当たらないと考えます。


まとめ、のようなもの


Q1. 急激な資金流入はあったのか
A1. あったと思います。あったのは機関投資家向けのファンドだと思います。

Q2. ニッセイAMはミスをしたのか
A2. ミスをしていないと思います。

Q3. 他の運用会社にも起こりうるか
A3. 起こりうると考えます。

Q4. 大きな資金流入を避けられるか
A4. 難しいでしょう。TTMが建て直しになることを予測するのは困難です。

Q5. ニッセイAMに落ち度はあるか
A5. あるとは思いません(おそらくないでしょう)

そんな感じです。

インデックスファンドとしてトラッキングエラーが大きいのは良くないです。だから今回の件が望ましいか望ましくないかで言うと、望ましくないです。でも投信の仕組み上、資金フローの影響を受けるのはやむを得ない面もありますね。

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2761:

急激な資金流入があったのはなぜなんでしょうか。
一般向けには信託報酬の引き下げがありましたが、機関投資家向けにもそういったものがあったのでしょうか。

2016.11.19 23:34 招き猫の右手 #- URL[EDIT]
2763:

※2761:招き猫の右手さん
急激な資金流入の理由はよくわからないです。ただ、機関投資家ならアセットアロケーションの変更とか(たとえば新興国株式から先進国株式へのシフト)でも数十億規模の資金異動はありうると思います。今回はたまたまタイミングが重なっちゃったのかなと想像しています。

2016.11.20 23:18 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
2903:本当の問題は別のところにある

大きな資金を動かした「機関投資家」とはどこだろうか?

そのヒントはマザーファンドの注意書きにある。

マザーファンドの多くの出資割合をニッセイアセットマネジメントの親会社である日本生命本体が占めている。

利益相反?

2017.01.07 05:03 パイプの人(´Д`)y─┛~~ #- URL[EDIT]
2906:

※2903:パイプの人(´Д`)y─┛~~さん
コメントありがとうございます。
大きな資金の機関投資家は日本生命の可能性はありますね。
ただ、親会社は子会社のファンドのトラッキングエラーの拡大は望まないでしょうし、日本生命のレピュテーションリスクも大きいですから、狙ったものではないと思うんです。
実際のところはよく分からないですけどね。(^^)

2017.01.07 21:17 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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