山崎元氏の「楽ラップ」評価をもとに ラップ口座を考えました

山崎元氏が楽天証券の「楽ラップ」の評価を書いています。[外部記事]

残念ながらキレ味がありません。

普段ラップ口座を批判しているのは「経済評論家」としての山崎元氏で、今回、楽ラップを評価しているのは「楽天証券の利害関係者」としての山崎元氏だからかもしれません。

今回は、ちょっと辛口にラップ口座について考えます。


そもそもラップ口座とは


ラップ口座が、バランスファンドと根本的に違うことがあります。

それは、

ラップ口座には「投資顧問契約(投資一任契約)」が付随していることです。

投資一任契約とは、ざっくりとこんな感じです。

投資家が、
1. 証券会社(あるいは信託銀行)に投資判断を任せる。
2. 判断を任せるだけでなく、実際に取引ができるよう売買する権限も委任する。
という内容です。

任せるから、判断も取引もやってね、という契約です。

本来のラップ口座は、億単位のお金のある富裕層向けの個別性の強いサービスなんです。ラップ口座の最低受入額が引き下がって見えにくくなっていますが・・・

ラップ口座は、投資一任契約にもとづいて「投資判断も売買も、金融機関がやる」ことが最大の特徴です。

そういうサービスだということを押さえておきましょう。

投資家がバランスファンドに投資する場合、「投資判断も売買も、投資家が」やります。

その違いも押さえておきたいですね。


山崎氏の楽ラップ評価


山崎氏は既存のラップ運用に問題があるとし、楽ラップは、問題はあるものの相対的に優れていると評価しています。

私は、いや、そのりくつは・・・ かなり苦しいと思います。

山崎氏は楽天証券の利害関係者ですから、そういう立場での評価なのかなという気がします。

具体的に見ていきましょう。


既存ラップの問題点


既存のラップ口座について、山崎氏は問題点を3つ挙げています。

1点目と2点目は手数料についてなので、ひとまず置いておきます。

議論したいポイントは3点目。「他人任せへの批判」についてです。引用します。

“どれだけリスクを取るかも含めて、他人に「お任せ」で運用しようとすることの根本的な無理。(3-A)他人が自分にとって適切なリスクを判断することがそ もそも難しく、(3-B)他人なりサービスなりが信頼できるものであることを自分が判断できると考えることの無理、(3−C)運用の中身が把握しにくい 「ブラックボックス」になりがちな事、などの解決しにくい無理がある。”


さて、この点についてです。

他人に「お任せ」で運用しようとすることを「根本的な無理」とするなら、既存の対面販売型のラップ商品に限らず、楽ラップでも同じ問題を抱えているはずです。

ここ、大事です、ね。

さて、続けましょう。


山崎氏による楽ラップの評価


山崎元氏による楽ラップの評価を引用します。

“筆者の結論を述べると「最終的には楽ラップも含めて合理的な投資家にラップ運用は要らない。だが、楽ラップは他のラップ運用やバランスファンドと比較して、相対的に優れている」というものだ。
特に運用の方法について学びたい投資家は、資金の一部を楽ラップに投資して、資産配分の方法や、リスクが高まった場合の対処法などの運用の振る舞い方について研究対象としてもいいのではないかというくらいに考えている。”


さらに、「楽ラップの運用は、以下のような特徴を持つ、年金基金のような機関投資家の運用に近いオーソドックスなものだ。」として、「年金運用分野で実績がある」マーサー・ジャパンが資産配分を決めていて・・・と続きます。

あの・・・、かなり矛盾しています。


論点整理


「他人任せへの批判」について論点を絞りましょう。繰り返しの点もあります。

1. ラップ口座の商品性を根本から否定。

ラップとは、そもそも富裕層向けのパーソナルなサービスです。投資判断と売買をそっくりそのままお任せするのがラップです。お任せすることを批判するのは、ラップの商品性や投資一任契約への全否定になります。

その点を批判するなら、対面型のラップでも楽ラップでも同じことです。


2. 判断は無理と言いつつ、楽ラップは優れていると判断できることの矛盾。

山崎氏は、「他人なりサービスなりが信頼できるものであることを自分が判断できると考えることの無理」と言っています。

そうであるなら、山崎氏が楽ラップを「相対的優れている」と判断できることと矛盾しませんか、と。

運用の方法について学びたい投資家は、楽ラップを研究対象にすればいいとまで言っているのですが、楽ラップの特徴として、

1. マーサー・ジャパンによる資産配分
2. 為替リスク「ヘッジ付き」のものも含む
3. トータルの手数料コストが年率1%未満
4. ステート・ストリートの「TVT」

とあります。

このうち、運用の方法を学ぶとしたら、コストは関係ないですね。となると、1,2,4が優れていると主張する要因だと思います。

でもね、と。

やはり、それって「他人なりサービスなりが信頼できるものであることを自分が判断できると考えることの無理」と矛盾するんですよね。

山崎氏なら判断できるのかもしれませんが、そうであるなら、無理と言い切れる話ではありませんね。

ともかく、この点の矛盾が解消されない限り、私の中では消化しきれないんですよねー。


手数料について


楽ラップの手数料は1%を下回っているので、その点に限っては相対的に優れているとは言えます。

でもね、と。

1%という水準は山崎氏が設定している主観的な基準に過ぎないんです。2%なら高コストで1%なら許容できるというのは、山崎氏がそう言っているだけのことですね。

基準を0.5%に置けば楽ラップも高コストなサービスになります。

高いか低いかは、誰がどこに基準を置くかで動くものです。

だったら基準は自分で決めたいですね。


正直、ちょっと残念


その他にも矛盾点があります。正直、ちょっと残念です。

楽ラップも他のラップと同じで、投資する必要はない、投資してはいけない、とスッパリ斬ってくれた方がわかりやすいんですけどね。

立場で持論が歪んだのかな。そんな印象を受けます。

ん・・・

ただ、ビジネスの世界だから立場を踏まえたトークはありだと思います。

やはり、投資家に必要なのは健全な懐疑心、ですね。(^^)

過去記事:
私は、楽ラップは利用しないな・・・ (無料診断の感想)
ラップ口座の手数料について

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2488:

私が投資を始めた頃のメイン銀行では、1億円からという条件がありました。今、ラップ口座の敷居が低くなって誰でも可能になった反面、小さい額の運用をお任せするにラップがそもそも適しているのかという疑問も。

ラップ口座なんて、1億円どころか10億や20億円ある人が証券会社や銀行に任せるための口座では?と思うところも。額が小さく始めた人がラップに何を期待しているんですかね?VTとかバランスファンドに入れておけばと思います。

2016.08.07 23:30 煙々 #- URL[EDIT]
2490:

※2488:煙々さん
本来のラップの特性が崩れてきてますね。
小さい額の運用にラップが適しているのかは疑問です。いまのラップは中途半端ですから。
ラップを利用するよりバランスファンドの方がいいと思います。

2016.08.08 21:23 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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