投信会社によるポジショントーク マイナス金利政策と資産形成

「マイナス金利政策は、私たちの資産形成にどう関わる?」という記事がありました。
[外部記事]

ん・・・

これは[PR]を付けた方がいいくらいの記事ですね。広告記事っぽい内容です。

今回は、ちょっと辛口で攻めてみます。


ちょっとその前に


資産運用の専門家であるフィデリティ投信の人が、働く女性向けに資産形成術を語るというスタイルです。

で、ぶっちゃけ思ったのは

これって、投信を売る側の典型的な営業トークじゃないかな・・・

ということです。

で、さらに言っちゃうと

この営業トークをそのまま信じるのは危険です。なので、今回はちょっと辛口で内容にツッコんでいきます。


信じない方がいいトーク


引用します。

“バブル崩壊後、日本はずっとデフレ状態が続いていましたが、マイナス金利の導入によって、日本はゆるやかなインフレに誘導されます。インフレになると物価が上昇しますから、それにともなってお金の相対的な価値は下がります。意外にこの影響が長期で効いてくる。たとえば毎年2%の物価上昇が続いたとすると、30年後には物価が約1.8倍になり、資産の実質的な価値は約4割も目減りしてしまうのです。”


「30年後には物価が約1.8倍になり、資産の実質的な価値は約4割も目減りしてしまうのです」なんて断言されるとビビりますね。

でもね、と。

こういう断言は禁じ手だと思うんですよ。

たしかに、毎年2%の物価上昇が30年続けば物価は1.8倍ですけど、その想定は現実的ですか、と。


インフレになりますか?


2013年4月、黒田日銀総裁が2年で物価目標を+2%にするという目標を掲げました。そのためにマネタリーベースを2倍にする異次元の金融緩和に踏み切ったわけです。いわゆる2・2・2ですね。

で、つい最近、黒田総裁は「2年程度での実現はできなかった」と認めています。[外部記事]

物価目標の+2%は、マネタリーベースを2倍にしても実現できなかった水準です。いまのタイミングでマイナス金利を導入したからといって、毎年2%の物価上昇が30年も続くとは考えにくいです。

インフレで資産が4割も目減りするというのは、

たちの悪い煽り

言葉は悪いですけど、私にはそう思えます。


長期投資で値動きの幅は平準化できない


さらに気になるポイントを引用します。

“『長期投資』は、投資する期間を長くすることで、値動きの幅を平準化することです。最後の『時間分散(積立)』は、投資を行うタイミングを分散する投資手法です。たとえば毎月、決まった金額を定期的に購入していくことで、平均購入価格をならすことができます。”


「投資する期間を長くすることで、値動きの幅を平準化することです」

え???

投資する期間が長くなれば、年あたりのリスク量は小さくなるけど、絶対的なリスク量は大きくなります。明日、明後日の株価水準よりも、1年後の方が上にも下にもバラけますし、10年後ならなおさらですよね。

ランダムウォークを前提にするならそうなりますし、実際、リスク資産はランダムウォークで近似できますから。

投資する期間を長くすることで、値動きの幅を平準化するって・・・

どういうロジックなのか私には理解できません。


投資を行うタイミングを分散すること


投資を行うタイミングを分散することで、「買い付けの単価」を平準化するなら話はわかります。

それなら理解できます。

私は自分ではやりませんが、ドルコスト平均法の投資は一理あると思っていますので。

「長期投資」と、「買付タイミングの分散」は、ハッキリと分けて説明しないと初心者の人は誤解すると思います。

で、私がいいたいのは次のことです。

1. 投資する期間を長くすることで、値動きの幅を平準化はできない。
2. 投資を行うタイミングを分散することで、買い付けの単価を平準化するなら理解できる。

で、「買い付け単価」を平準化できるのと、「値動きの幅」を平準化するのとは違う。

ということです。


これから投資を始める人へのアドバイス


引用します。

“最後に、これから投資を始める人へのアドバイスとして、高橋さんは「もし、投資に不安を感じるなら、解決策は長い時間をかけること」と言います。長期投資がリスクを減らしてくれるということはすでに学びました。そういう意味では、25歳で始めるほうが45歳から始めるよりも有利になるということですね。”


ん・・・

長い時間をかけても解決しない事は世の中にたくさんあります。

私なら、これから投資を始める人には違うアドバイスをします。

投資を始める人へのアドバイス

1. 世界経済のしくみ、マクロ経済を勉強しましょう。(Economics)
 そうすれば、(ハイパー)インフレや円の暴落、国債の暴落説に煽られなくて済みます。

2. 債券、株式、ポートフォリオの価格理論を勉強しましょう。(Finance)
 そうすれば、理論の限界がわかって、いい感じで理論と実践のバランスが取れるようになるでしょう。また、金融機関のセールストークも鵜呑みにしないで自分で判断できるようになります。

3. 最初は小さなステップで経験しましょう
 リスク許容度は意外に小さいものです。少しずつ慣れていくのが良いです。

ま、そんな感じです。(^^;

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2296:

こんばんは

なかなかきびしいですね。
長い時間をかけても解決しない事は世の中にたくさんあります。
とか・・・考えさせられます。

アドバイスはとても有益かと思います。
でも1→2→3進めていくのはむずかしいかな・・・
自分は3から始めて上手く行かなくて1と2へというルートです(笑)でも、最近の初心者や若者はしっかりしているのできっちりこなしていけるのと思います。

2016.06.23 22:43 yazirobe777 #- URL[EDIT]
2297:

いつも楽しく見ています。
件の投信は、フィデリティ退職・投資教育研究所という会社も作って煽り営業してますね。

若い人には今すぐに投資しないとインフレで目減りしますよと煽り、リタイアの人には運用しないと蓄えをすぐに使い潰しちゃいますよと煽ってます。私はこの手の煽りに食傷気味です。

2016.06.24 09:51 F投信 #G0inhXWw URL[EDIT]
2298:

おお、この日経ウーマンでは「投資理論の三つの基本」次のようなものなんですね
『資産分散』:これは確かにある程度納得できるかな
『長期投資』:う~~ん、これ何言ってるかよくわかりませんでした、年数たつごとに資産額の振れ幅は大きくなるからなぁ。対数正規分布(これにしたがうかどうかはわからんけど)見れば怖くはなります。
『時間分散(積立)』:これも、意見が分かれそうですね。
ブラックスワンは必ず起こるから、それが利用できればなぁ。という意味での時間分散とか長期投資にはとても興味あるけど。

三つの基本で「振れ幅を飼い慣らしていく」ことが資産運用のポイントです。
なんて言われちゃうと
う~~ん、凄い自信だなぁ^^;
振れ幅は大きくなるものと思っている私には無理かなぁ。

2016.06.25 10:48 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
2299:

※2296:yazirobe777さん
厳しめの辛口記事でした。(^^;
長い時間をかけても解決しない事は言葉足らずだったかもしれません。もちろん、長い時間をかけたからこそ解決する事もたくさんあると思ってます。
1→2→3は難しいかもしれませんね。そこまでエネルギーをかけられない、かけたくない人の方が多いでしょうから。

2016.06.25 14:20 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
2300:

※2297:F投信さん
コメントありがとうございます。
若い人には若い人向けに、リタイア世代にはリタイア世代向けに、どちらの世代に向けても投資しないと大変なことになるという煽りですね。
そういう不安を煽って投資に導くのは釈然としませんね。

2016.06.25 14:23 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
2301:

※2298:いろいろでセカンドライフさん
日経ウーマンの記事はかなり違和感ありです。私の知り合いがセミナーに参加して、そんな情報を仕入れてきたらコンコンと諭したくなるくらいです。(^^;
飼いならせるもんなら飼いならしてみぃ、と言いたくなります。自然(災害)と相場に対しては謙虚でありたいです。(飼いならせないですから、噛み付かれないように・・・)

2016.06.25 14:29 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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