読書感想文 「植物はなぜ動かないのか」 稲垣栄洋著

植物はなぜ動かないのか。

生命体という点では、植物は太陽の光でエネルギーを作り出せるので動く必要はないんですよね。動物は外部のエネルギーを取り込まないと生きていけないので、動いて捕食しないといけないんですけど。

で、植物は動かないし、動けないので、植物は草食動物に食べられるがままの弱くて受け身の生き方に思えます。ところが、「植物はなぜ動かないのか」(稲垣栄洋氏著)では、植物の生き抜く戦略に焦点を当てて意外な強さを明らかにしています。

今回は、読書感想文です。


ガウゼの法則


ナンバーワンじゃなくてもいい、オンリーワンという歌がありますね。

それについても触れられています。

“じつは、生物の世界では、ナンバー1しか生きられないというのが鉄則である。これが「ガウゼの法則」と呼ばれるものである。"(p124)


二種類のゾウリムシ(AとB)を使った実験では、十分な水とエサがあるにもかかわらず、最終的には一種類だけが生き残り、もう一種類のゾウリムシは駆逐されて滅んでしまうそうです。

で、興味深いのはここから。

同じ実験でも、棲む場所(水槽の上部と下部)や食べるエサが異なるゾウリムシ(AとC)なら、お互いに生き残ります。「棲み分け」ができるなら共存できる、ということですね。

棲み分けのことを「ニッチ」と呼びます。


植物のニッチ戦略


植物でも動物でも、生き物は戦うことが目的ではなく、生き抜くことが目的ですね。

なので、「棲み分け」で共存するという戦略を取ります。棲み分けができない場合は正面切っての生き残りの闘争になりますが、それはやむを得ない戦略です。

“他の生物と激しく競争しあって、自分の居場所を確保するよりも、他の生物と争わないように、ずらしながら、居場所を探した方がいい。"(p126)


生きていく上で争わないで済むなら、その方がいいですね。

棲み分けのニッチの領域では、その生き物がナンバー1となります。

植物では、自生する場所や時期をずらすことによって、それぞれの種が居場所を確保しているんですね。


強者の戦略と弱者の戦略


強者の戦略は「競争」(C:Competitive)

弱者の戦略は「ストレス耐性」と「攪乱適応」(S:Stress tolerance)と(R:Ruderal)

まとめてCSR戦略と言うそうです。

で、強い生き物は競争でライバルを撃破していく戦略を取ります。一方、正面切って戦うと勝ち目のない弱者は、ストレス耐性と攪乱適応を味方にするそうです。

攪乱適応とは、整備されたグラウンドでは勝ち目はない草野球チームでも、大雨でぬかるんだグラウンドならプロ野球チームに勝てるかもといったことです。

時代がどんどん変わっていき、ルールや慣習が変わっていく環境なら老舗企業をベンチャー企業が追い抜くのも可能でしょう。

強いものは変化を好まず、弱者は変化を好むんです。


ストレス耐性


たとえば乾燥した土地に生きるサボテンはストレス耐性の高い植物です。

でもね、と。

ただただ耐えればいいってものじゃないそうです。

ストレスを処理するには、「逃避」、「回避」、「耐性」があります。

状況が悪い時には球根などの形で土の中で休眠すればよく、実際、植物はそうやって乾燥や寒冷に耐えます。

“ストレスをまともに受ける必要はない。ただ、やり過ごせば良いだけなのだ。"(p171)


ここはグッとくる部分でした。

投資でもそうですよね。


植物的な生き方


最後にもう一つ引用。

“いやなことから逃げるのだって、生きる上では立派な戦略なのだ。"(p171)


逃げてばかりでは居場所を確保できないですから、逃げるときと立ち向かうときの判断は必要でしょうけどね。

ただ、逃げるのだってありだと思いますね。

過去記事:一度でも逃げたら、もう終わりだって・・・ そんなことないでしょ

逃げるのも選択肢、立ち向かうのも選択肢。

どちらも取れるようにしておきたいです。(^^;


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1日で読み終えてしまいました。おもしろかったです。

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2288:

「ニッチ」
懐かしいです^^

植物の戦略、動かないというのは大きいと思っています。
動くことで消費するエネルギーは恐ろしいほどです。
動かないことで、光合成という方法だけで、ほとんどのエネルギーをまかなえるのは、素晴らしい選択ですね。
動物型の方が先に生まれたのかもしれないけど
葉緑体という細胞内小器官を備えた生命が、選択的に生き残ったのは、大きなメリットがあったからなんでしょうね。

彼ら植物の感じる時間とは、動物の感じる時間とは全く異なる感覚なのかなぁ?
個体というものの認識も植物と動物では大きく異なりますから。面白いです^^

2016.06.20 12:01 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
2289:

うぇ~ん。妙に励まされて、一人で全米分、泣けそうです。「逃げる」選択肢を合理的とみながら、立ち向かったことがよかったのか?そんなことを考えた週末でした。大過なく生き残れたのだから良しとして、次の選択へ向けて前を見ることにします。

CSR戦略、勉強になりました!

2016.06.20 13:03 のろのろ #- URL[EDIT]
2290:

※2288:いろいろでセカンドライフさん
植物はすごいですよね。
太陽光と水と二酸化炭素で炭水化物を作れるのは素晴らしいですね。
植物の生態は本当に興味深いです。植物の感覚とか意識とか考えちゃいますね。

2016.06.20 20:36 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
2291:

※2289:のろのろさん
大過なく生き残れたなら、それはいい選択だったんだと思いますよ。
選択基準は合理性だけじゃないですからね。(^^)

2016.06.20 20:39 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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