この時期「尖閣喪失」(大石英司作)を読み直してみました

このところ中国の海洋進出が活発化しています。そこで、このタイミングで大石英司さんの「尖閣喪失」を読み直しました。

2013年の文庫本です。最初に読んだ時は結末に、ん・・・と思ったのですが、あらためて読み直してやはり、ん・・・でした。

今回は、読書感想文です。


2013年と2016年


最初に読んだ時の感想は、

ん・・・、そういう可能性もあるのかな。なんだか意気消沈だな・・・

で、あらためて読み直して

ん・・・、そういう可能性もあるのかもしれないけど、現実的にはどうなのかな・・・

感想が変わったのは、この3年間で国内および国際情勢が大きく変化したことと、3年の間に得た知識によるものでしょう。


ネタバレは不本意なのですが・・・


ネタバレは不本意なのですが、話を進める都合上、重要な部分に触れることになります。今回の読書感想文は結構ネタバレしちゃいます。

で、ネタバレの話をしますと・・・

タイトルにあるように尖閣諸島(魚釣島)を喪失します。

問題は、その経緯です。

日本の領海に中国が入ってきて魚釣島に上陸します。当然、その動きは日本も察知していて、できる限りの対応はするのですが、そこでは日本の法律の縛りが強すぎるんですね。

中国の軍人が武器を携えて侵攻してきたのではなく、中国の漁民(非軍人の扱い)が緊急避難で魚釣島に上陸するときには、日本は防衛出動で排除できないわけです。


防衛出動を検討


小説では、魚釣島に中国の漁民が上陸した後で、日本は防衛出動を検討します。

防衛出動は、外部からの武力攻撃もしくはそれが切迫している場合に自衛隊に対して発動されるもので、命令を下せるのは内閣総理大臣です。防衛大臣ではありません。それだけに重たい決断です。

防衛出動にもとづく場合、自衛隊には「武力の行使」が認められます。

ただ、過去に防衛出動が行われたことはありません。自衛隊が武力を行使するのは、国の意思としての事実上の交戦ですからね。(海上保安庁などの警察組織の「武器の使用」とは意味合いが異なります)

で、小説では日本は交戦を覚悟して、防衛出動の発動で米国と協議をすることになります。


米国の対応


私が、ん・・・と思ったのは米国の対応です。

小説では、米国の判断がかなり経済重視なんです。中国との経済関係を重視して、日中の交戦勃発にタッチしない姿勢を取ります。むしろ日本にストップをかける役回りです。

そこなんですよね、私が、ん・・・と感じたのは。

そりゃ、小さな無人島一つに米国が出ていくのは割に合わないでしょうけど、それってどうなのかなと思います。

中国のカードは、米国とのFTAの締結とTPP加盟で飴を用意し、米国債を投げ売るといってムチを振りかざすものです。一方で日本は、それに見合うだけの経済カードを持っていないという設定です。そのため米国は日本に与せず、日本と距離を置くことになります。

つまり、日米安保にもとづく米国の出動はない、と。

で、日本単独での魚釣島の奪還はあきらめることになり、島を喪失することになります。


比較衡量


実は、小説の中の比較衡量だけじゃなくて、もっと違う要素もあるんじゃないかなと。

つまり、日本は米国の支援を得られなくても、単独で防衛出動して島を奪還するという選択肢です。このとき、米国が最後まで日米安保を履行しないのであれば、日本の信頼を失うことになります。

それだけでなく、環太平洋諸国の信頼も失います。

そしてその地域における中国の影響度が増すことになります。フィリピン、ベトナムと紛争のある海洋地域は完全に中国の影響下に収まるでしょう。ASEAN諸国が、日本を放置する米国なら、ASEAN諸国の紛争地でも影響力を行使しないだろうと感じたら、中国の進出に対して弱腰になるでしょう。

シーレーンの防衛にも当然影響します。

日本が尖閣を失うというのは、太平洋諸国において象徴的な出来事になると思うんですよね。小説にあった、米中FTAの締結、中国のTPP加盟、米国債の投げ売りといったものとの比較考量で、日本が尖閣を失うという出来事は、本当はもっと重たいのではないかと思うのです。

最初に読んだ時はそこまで思わなかったですけどね。


アフィリエイトです


だいぶネタバレしちゃった後ですが、ご紹介します。

尖閣喪失 (中公文庫)

新品価格
¥741から



にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
 
2276:

生活より憲法が上だと思っている人たちの
安保法案廃止のためだけの選挙協力をする政党が騒いでいますが、
本来、憲法は国民の生活を守るための手段だと思いますね・・・

主権のあるまともな国は、憲法は、
生活をより良くするために自分たちでより良い方向へ
改正して行っていると思います。

今の法律では本当に何もできないと思いますね^^;
普通の主権国家なら他国の軍艦が領海侵犯したなら
撃沈してもいいレベルだと思います。

あんなザル法的な安保法案の解釈変更でも
あれだけ騒ぐ人たちなので、
どうしようもないのですけどねw

本来、国民の生活は、安全保障が成り立っている上で話せることのはずなんですけどね・・・

2016.06.17 21:53 freeflyfisher #- URL[EDIT]
2277:

この数年でずいぶん変わりましたね。

「米国債を投げ売り」
個人的には、悪手であり、交渉の決め手には全くならないと思っています。逆に、脅しですから、逆鱗に触れますね。
中国にはチキンレースはできないでしょうから。

中国は現状、国際社会で己の行動がどこまで許されるのか様子を見ているのでしょうか。
経済状態が良い時は良いんですけど、これからどうなるのか。
国内引き締めのため、過激にならなければよいのですが。

2016.06.18 13:37 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
2278:

※2276:freeflyfisherさん
安全保障は縁の下の力持ちですね。普段は意識されませんが、国が安全を確保しているから経済活動もうまくいくんですよね。

2016.06.18 22:31 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
2279:

※2277:いろいろでセカンドライフさん
そうですね。私も実際のところ、米国債の投げ売りはカードにならないだろうなーと思ってます。
中国の経済も心配ですね。社会不安の高まりや軍部の暴走が起きなければいいなと思います。

2016.06.18 22:39 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

管理者にだけ表示を許可する