インデックス運用のリターンは「市場平均」という誤解について

インデックス運用のリターンは「市場平均」だと思っている人は多いと思います。

厳密に平均になるとまでは思わなくても、だいたい安定して平均になると思っている人は多いですし、情報を発信する側の人でも、インデックス投資は大勝も大負けもしないで平均を求める運用だと解説する人もいます。

でもね、と。

今回は、インデックス運用のリターンは「市場平均」という誤解について


追記 2016.3.21


インデックス運用が最強である理由というコラムがあります。

インデックス投資はコスト調整前でほぼ真ん中になる。いいアクティブファンドを選ぶのは困難だし、コンスタントに勝てるアクティブファンドは存在しないだろうから、コスト調整後で考えるとインデックス投資が最強だという考え方です。

で、私が言おうとするのは、インデックス投資はベンチマーク(一般的には日本株の場合TOPIX)と同じようなリターンになり、それは「市場全体」の動きを模したものです。で、市場の「平均」というには母集団の中での平均ということになりますが、そのときの母集団は暗黙の裡にアクティブ投資を想定しています。

ポイントは、インデックス投資がアクティブ投資との比較において「平均」や「中位」になるとは言えないということです。

さらには、参照したコラムの「11人のファンドマネジャー・モデル」は非現実的な仮定が置かれています。それをベースに考えるのは視野が狭くなるのでお勧めできないなーという思いもあります。

インデックス投資はいい投資だと思います。だからこそアクティブと比較した余計な理由付けはいらないという思いです。この点は次回の記事で触れます。

以上、追記でした。


インデックス運用は「市場平均」?


インデックス運用は「市場平均」を狙う運用です

そう言うときの平均とは

1. リターンが平均
2. 順位が平均(中位)

の2つの意味での平均が考えられます。

なお、「保有銘柄ウェイトが市場平均」という意味も考えられます。でも、それはインデックスファンドの特性なので、狙うものではないですね。なのでここでは、リターンと順位に話を絞ります。


リターンが平均になるか


まず、リターンについて考えましょう。

数理的な検証としては、

インデックス運用のリターンは、アクティブ運用のリターンの平均に等しいか。

数式で表すと以下が成り立つかどうかです。

インデックス投資 小黒とら


具体例で見ていきましょう



以前の検証は多期間モデルなので複雑でした。今回は、より直感的に一期間モデルにします。売買は発生しません。

単純化のため株は3種類しかありません。発行済み株数は同じにします。

1. 大型株 発行済み株数12株、現在の株価100円
2. 中型株 発行済み株数12株、現在の株価80円
3. 小型株 発行済み株数12株、現在の株価60円

ビジュアル化するとこうなります。

インデックス投資 小黒とら


これを、インデックスファンド1つと、アクティブファンド3つを想定して、以下のように割ります。

インデックス投資 小黒とら


そして、各ファンドは以下のようなポートフォリオになります。

インデックス投資 小黒とら


「P」がPassiveでインデックスファンドの持ち株数です。市場ウェイトでの保有です。

「A大」は、大型株に偏重したアクティブポートフォリオ、「A中」は中型株、「A小」は小型株に偏重にしたポートフォリオです。

A大、A中、A小を平均したものはPのポートフォリオになります。

ここまで、いいですよね。

では、そのポートフォリオで1年間運用します。


1年後


1. 大型株1年前の株価100円 → 1年後の(現在の)株価60円
2. 中型株1年前の株価80円 → 1年後の(現在の)株価100円
3. 小型株1年前の株価60円 → 1年後の(現在の)株価120円

とします。

大型株とかの名称は便宜的に付けただけなので、1年後に立場が逆転していることは気にしないでください。重要なのは大きなピクチャーでの考え方です。

さて、結果。画像クリックで大きくなります。

インデックス投資 小黒とら


結果


インデックスファンドのリターン:16.7% ・・・①

アクティブ大のリターン:-5.1%
アクティブ中のリターン:19.4%
アクティブ小のリターン:39.4%

アクティブ運用のリターンの平均:17.9% ・・・②

①と②は同じではないですね。1%以上の差があります。


数理的に考えると


数理的に考えると、アクティブファンドのリターンの単純平均が、インデックスファンドのリターンと同じになると言うことはできません。

数式が成り立たないことの反証は一つで十分ですね。

なお、新規上場や上場廃止がなく、参加者間で取引がないと仮定する一期間モデルならば、アクティブファンドの金額による「加重平均」でリターンを計算すれば、それはインデックスファンドのリターンと等しくなる場合があります。しかし、その場合は、集計対象のインデックスファンドとアクティブファンド「だけで」すべての株式が保有されているという強い前提が必要になります。

そういう前提は現実的ではありませんね。

結論としては、
一般的なケースではリターンの点でインデックス運用が平均になるとは言えません。

では、順位はどうなのか?

それは次回ですが、予告編としてちょっとお知らせすると

次回はインデックス投資が6ファンド中の5番目になる例を示します。

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1928:

私が思うにインデックス投資ってのは、(インデックス投資にもいろいろあるので一概には言えませんが)分散しているので倒産・破綻リスクが無いってことと、今までそのような運用をしていればそれなりのリターンがあったのだから、これからもそれが続くことに賭けるっていうことだけで十分だと思うんですよね。
他人に勝つための投資法じゃないと言いながら、「ほとんどのアクティブ投資家はインデックスに負ける」などと、結局他人を出し抜こうとしてるんじゃないの?っていうような矛盾したことを言い出すから訳分からなくなるんじゃないでしょうか?
根拠の無い余計な理屈くっつける必要は無いのになぁ…

2016.03.20 20:35 ニャーゴ #- URL[EDIT]
1929:

※1928:ニャーゴさん
そうなんですよね。インデックス投資の特性だけで十分だと思うんです。アクティブと比較して優位性を主張しよとするから矛盾が生じるんですよね。「根拠の無い余計な理屈」は私も気になるところで、次回その点にも触れるつもりです。

2016.03.20 21:06 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1930:小黒さん、こんばんは

日経225銘柄で、ここ5ヶ月位で計算してみたら、
110勝115敗、平均-4.98%
日経平均株価はその間、-5.63%
となりました。計算間違っている可能性大ですが・・・
手入力なので疲れました・・・
期間やインデックスの種類やその他の条件等によっても
違ってくるでしょうから何とも言えませんが、
この結果だけを見ると、そこそこ平均的かな??と
いう気が私はしてしまいました。
(間違っていたらご指摘お願い致します)
期間が約5ヶ月なのは、去年の10月あたりに銘柄入れ
替えがあったような気がしたのでそこからにしようと。
逆の発想をすれば、サルにダーツを投げさせて銘柄を選らん
で買っても日経平均株価並みのパフォーマンスになるのかな
と思いました。(無作為であっても銘柄を絞ってしまった
場合、結果はもちろん運に左右されてしまうのでしょうが)
私の運用成績は日経平均株価を下回っています(笑)
(まず、サルを買って来ないと・・・(笑))
長文失礼しました。

2016.03.21 00:16 負け組凍死家 #- URL[EDIT]
1931:勉強中

興味深いタイトルにひかれて記事を読ませていただきました。不躾で恐縮ですが素朴に疑問が湧いたので質問させて下さい。

インデックス運用のリターンは市場平均か?という問いに対して、インデックス運用のリターンと、アクティブ運用のリターンのΣ、しかも、個々のアクティブファンドのリターン率の平均と比較されたのは何か背景や理由があるのでしょうか?

タイトルからの予想でインデックス運用のリターンと市場全体の平均リターンには違いがある!という内容かと思ってしまいました。

例えば上記の単純化されたモデルで考えると、一年前と現在のリターンはインデックスファンドも市場全体も+16.7%で同じになりますよね。

自分の知識不足かもしれませんが、投資の世界ではインデックス運用のリターン=個々のアクティブ運用のリターンの平均という考えが存在しており、今回の記事は、あえて、それに対する問題提起を、みたいな理由があるのかな??と気になりました。大前提が分かっておらず、空気の読めない質問だったら申し訳ありません。

2016.03.21 02:44 はじめまして! #- URL[EDIT]
1932:

そういえば、こんな記事もありました。
ブルームバーグ
P・リンチ氏の時代彷彿-米国株の相関性低下でアクティブ運用に好機
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3QZ2O6K511B01.html

2016.03.21 07:13 Tansney Gohn #SNAM66t2 URL[EDIT]
1933:

※1930:負け組凍死家さん
計算お疲れさまです。
データを集めて計算するのは思ったより大変だったりしますよね。でも、自分でデータを集めて、自分で計算して、その結果を考えるのはいい事だと思います。(^^)

2016.03.21 07:26 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1934:

※1931:はじめまして!さん
コメントありがとうございます。
議論の前提がわかりにくかったですね。
インデックス運用のリターン=個々のアクティブ運用のリターンの平均(順位では真ん中)という考えが存在しています。
明確にそう思っているか、漠然とそう思っているかは人それぞれですが、インデックス運用なら他の人(≒アクティブ運用者)と比較して「平均」「真ん中」だから安心という考えがあります。
で、私としてはその考えは、理論的な帰結(=事実)ではなく、信念の世界の事(=意見)という認識です。なので、インデックス投資の「平均」や「真ん中」は事実ではなく意見ではないのでしょうかという問題提起です。

2016.03.21 07:42 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1935:

※1932:Tansney Gohnさん
情報ありがとうございます。
アクティブが勝ちやすい状況と勝ちにくい状況ってありそうですね。ポイントは相関性とミスプライスなのかなーと思ったりします。

2016.03.21 07:45 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1938:

とても面白いです。
これ%で出してるから三つのアクティブファンドの平均の%とインデックスファンドの%とのズレが出るんですかね。
実際のファンドの価値(所有する株の株価の合計値)なら、インデックスファンドの価値は三つのアクティブファンドの価値の平均値になるのかな。

面白い考えかた、ありがとうございます。
勉強になります。



2016.03.21 11:11 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
1939:勉強になります

こんにちは(*^-^*)

とても興味深い記事ですね!本当に面白いです。

小黒さんにお願いがあるのですが、この記事の単純モデルを使った考察の延長を私のブログでもやらせていただけないでしょうか?

少し違った視点で数理的に考察したいと思います。
よろしくお願いします<m(__)m>

2016.03.21 11:56 りあるむえ #- URL[EDIT]
1943:

※1938:いろいろでセカンドライフさん
そうです。%で出してるからズレます。
ファンドの価値の平均で考えるとインデックスファンドの価値は三つのアクティブファンドの価値の平均値になります。(全ての株が集計対象のファンドだけで保有されている場合)
実際のファンドで集計すると、価値の平均で見ても合わなくなります。(集計されない株の影響を受けるため)

2016.03.21 15:51 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1944:

※1939:りあるむえさん
考察の延長、ぜひお願いします。
私の見方が偏っていたり重要な点が落ちていたりするかもしれませんので考察の延長は大歓迎です。

2016.03.21 15:56 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1946:ありがとうございます

>小黒さん

ありがとうございます。
小黒さんのそういった思想がとても好きです!(^^)!

自分も他人の否定が目的ではなく、別の視点からみるとどうなるか?考えたいです!

本日中に記事をアップする予定です。お暇があればご覧ください<m(__)m>

2016.03.21 16:02 りあるむえ #- URL[EDIT]
1947:

※1946:りあるむえさん
楽しみにしてます。(^^)

2016.03.21 16:30 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1948:

>小黒さん

記事をアップしました。お暇があればご覧ください<m(__)m>

2016.03.21 17:03 りあるむえ #- URL[EDIT]
1949:

※1948:りあるむえさん
記事を拝見しました。
「インデックス投資を否定しているわけではないはず」と書いていただけてうれしいです。その通りです。(^^)
りあるむえさんの検証はいい視点ですね。補足がありますのでメールします。

2016.03.21 17:34 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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