年金の予定利率と給付額の関係、それと私的な資産形成について

不安を煽るつもりはありませんが、年金の財政は年々厳しくなる一方です。

国民年金の保険料は段階的に引き上げですし、給付水準もどうなるか不透明です。

今回は、年金を数理的に考えてみました。


世代間格差はシニア世代の方が有利


年金の世代間格差はシニア世代は有利で、現役世代は不利です。

それは・・・

予定利率が違うんですから。

年金数理の話をすると複雑になるので深くは入りませんが、イメージとしては次の感じです。


シニア世代の方が有利


昔は定期預金でも5%とか6%とかの時代がありました。

そのとき1,000万円を拠出して、年5%の複利で10年運用できたら

1,000万円×1.05^10 ≒ 1,629万円です。

20年間で基金を取り崩すと、その間の運用利回りをゼロとしても、

1,629万円÷20年÷12か月 ≒ 毎月67,800円


若い世代の方が不利な理由


一方、これから年金を作っていく若い世代は定期預金で5%とか6%は無理ですね。せいぜい0.5%としましょうか。

1,000万円を拠出して、年0.5%の複利で10年運用できたら

1,000万円×1.005^10 ≒ 1,050万円です。

20年間で基金を取り崩すと、その間の運用利回りをゼロとしても、

1,050万円÷20年÷12か月 ≒ 毎月43,700円


世代間比較とは


世代間比較で年金格差を取り上げる場合

先ほど計算した、シニア世代の毎月67,800円と、若い世代の43,700円を比較しているようなものです。(本当はもう少し複雑ですが・・・)

時代も、インフレ率も、成長率も違うのに、世代間で年金額を比較して若者に絶望感や無力感を植え付けるのはどうかなーと思いますね。


ちょっとした数理計算


毎月32,000円を35年(420か月)拠出すると仮定します。

毎月の32,000円は国民年金の保険料水準と税金の負担割合から決めました。国民年金は賦課方式ですが、今回はそこは気にしないことにします。あくまで考え方の整理ですから。

1. 拠出額: 月額32,000円×420か月 = 1,344万円
2. 運用利率:5.5%、5%、4%、3%、2%の6種類
3. 取崩期間:25年、30年の2種類

この組み合わせで試算しました。

運用中の利率は、全期間にわたって同じ利率を適用します。年金の取り崩しに入ってからは、安全に運用するとして運用リターンはゼロとします。


試算結果


画像クリックで大きくなります。

510_pension.png

拠出元本1,344万円に対して、

運用利率5%なら、出来上がりの金額は3,562万円
→25年取り崩し想定なら、毎月118,700円
→30年取り崩し想定なら、毎月98,900円

運用利率3%なら、出来上がりの金額は2,359万円
→25年取り崩し想定なら、毎月78,600円
→30年取り崩し想定なら、毎月65,500円

運用の利率が低くなって、取崩の期間が長くなると、毎月の金額が減ります。

年金の財政が厳しくなるというのはこういうことですね。本来なら人口動態も加味すべきですが、今回は人口動態には触れません。(複雑になりすぎるので)


まとめ、のようなもの


年金問題は複雑です。

今回は、運用のリターンと受給期間(平均余命)の関係で見てみました。

運用のリターンが低下し、平均余命が長期化すれば、順当に考えれば毎月の年金受給額は減るということです。

年金問題はこれに世代間格差が入ったり、少子高齢化の不安と国民年金の賦課方式への懸念が入ったりと、心配事には事欠きません。ただ、経済の変化を考えると、世代間格差を煽るのは非生産的な気がします。

でね、と。

公的な年金をベースにしつつ、運用のリターンが低下している世界で、どうやって老後に備えた資産を作っていくか。それが大事になってきますね。

私の場合、長期投資は確定給付型の公的年金で実践しています。だからこそ、私的な部分では長期投資とは違う戦略を取って「戦略の分散」をしています。

戦略の分散については、いつか書こうと思ってます。

いったんこのへんで。

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1902:

今の年金の最大の問題点は今現役世代が払ってるお金が自分のための積み立てじゃなくて
現在の老齢世代の年金に使われてることじゃないでしょうか。
現役世代の多くが年金を積み立てていると勘違いしているかも知れませんが、
制度上はそうなっていないので、
運用のリターンも将来のためより今の給付のために
短期(もしくは単年度)で利益を出す運用が求められるのではないでしょうか。
それが本来我々が希望する年金の仕組みと運用とは違っていたとしても。

2016.03.15 08:48 塩蔵 #- URL[EDIT]
1903:

※1902:塩蔵さん
そうですね。賦課方式に対する問題意識はありますね。現役世代の年金積み立ては実際にお金が積み立てられているのではなく、ある意味では「ポイント制度」ですからね。
年金の運用のリターンはどうねんでしょうね。長期でとゆったり構えていられないのかもしれませんね。

2016.03.15 20:42 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1919:

年金に関しては、経済成長・金利・少子化・長寿命化がことごとく給付額の削減要因となっていますね。
「賦課方式」でも「積み立て方式」でもどちらにしても。
考えようによっては、高度経済成長や高金利、多子、短命、などということは不安定要因であり、不幸なことなのでしょうけど、頭で理解できても、実際に給付額減額や受給年齢の繰り下げとなると、反射的に反対してしまうのでしょうね。
ある程度の減額・受給繰下げは近い将来逃れるすべは無いでしょう。
まぁ、確定給付を歌ってみても、原資が無いことにはどうしようもないのですものね。
税金で補償しろと言っても、稼げる人(税金納める人)がいなければ、絵に描いた餅ですよね^^

2016.03.18 16:13 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
1921:

※1919:いろいろでセカンドライフさん
年金は経済成長・金利・少子化・長寿命化の4つが全部そろって、麻雀の「大四喜」になってますね。(^^;
国内でどうやって富を生んで、どうお金を回していくかは切実な問題ですね。ただ人口減少は気になるところですが、日本という国は世界の中で競争力は維持できると思うんです。なんとかなる気がしますねー(それほど根拠があるわけではありませんが・・・)

2016.03.18 21:07 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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