MSCI長期投資(完結編) 実質リターンの低下傾向について

連日、長期投資のリターンが低下傾向にあることを検証しています。

過去記事「長期投資でMSCIは年率8%のリターン、しかし注意すべき点もあります」に吊られた男さんから実質リターンのコメントをいただきました。

今回は、長期投資の実質リターンについて


名目リターンと実質リターン


投資の成果を名目で把握するか、実質で把握するかは投資家の考え方によると思います。

購買力を考慮した実質ベースで投資のリターンを把握したいという人もいるでしょう。実質と名目の関係は次のようになります。

実質リターン = 名目リターン – 物価上昇率(インフレ率)


やってみました


今回、物価指数はGDPデフレーターを使います。

名目GDPと実質GDPの関係としてGDPデフレーターがありますので、同じGDPデフレーターを使って名目株式リターンから実質株式リターンを計算します。

各国のGDPデフレーターの出典


まずGDP成長率


先進国のGDP成長率です。
長期投資 実質リターン 小黒とら


次に新興国のGDP成長率です。
長期投資 実質リターン 小黒とら

緑色で示した実質GDP成長率はどちらも低下傾向ですね。

ちなみに先進国と新興国の成長率は、MSCIのDM(Developed Markets)とEM(Emerging Markets)の構成国を単純平均したものです。(データ欠落国を除く)


株式リターン


MSCIワールド(配当込み・円換算)の名目リターンと実質リターンです。

長期投資 実質リターン 小黒とら

10年間の投資リターン(年率)を月次でローリングさせた図です。

関心は日本国内での購買力を維持できるかどうかなので、日本のGDPデフレーターで実質化しました。

結果は名目でも実質でも同じ傾向です。


まとめ、のようなもの


今回はGDP成長率と株式のリターンを実質化して検証しました。

結果としては、経済成長も投資リターンも減速傾向です。

グローバルなマクロ経済の構造変化をとらえると、やはり世界は低インフレ、低成長に向かっていると感じます。

インフレが高まりにくい背景としては、世界に莫大な供給力があることが大きいかなと思います。低成長の裏には人や資本や情報が低コストで移動できるようになって、付加価値が取りにくくなっていることがあるのだろうと思います。

ともかく、世界経済は変化しているということです。

現実が変化しているのだから、考え方もそれに合わせて調整してもいいでしょうね。

意図せず数回にわたる連載になってしまいました。この話題はいったん今回で締めますね。(^^)/

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1884:

名目よりだいぶマイルドになりましたね。

あとは外れ値を処理するかでまた回帰分析の結果が変わってきそうですね。
先進国の成長率は後ろの方にあるリーマン・ショックが外れ値っぽくもあり傾きを右下がりにしてますし、新興国は70年代、90年代の2点が随分と直線と離れていて外れ値にも見えます。

2016.03.10 21:36 吊られた男 #zdvXpt9s URL[EDIT]
1885:

http://www.tsurao.com/archives/2014-10-25-1820263

あとは上記で紹介したクレディ・スイスのグラフを見ると80年台は1900年からの100年以上の歴史の中で最も株価の上昇が大きかった黄金時代です。それが起点の少し後にあり、100年に一度とも言われる(実質ではそこまでひどくないが)リーマン・ショックが終点の近くでデータをカットすると少し偏ったデータになるようにも思えたり。

2016.03.10 22:01 吊られた男 #zdvXpt9s URL[EDIT]
1886:

※1884:吊られた男さん
外れ値として処理すると恣意性が入りますね。そのまま素直に現実のデータを読み取ればいいと思いますよ。回帰分析の結果を変える必要はありませんから。
回帰分析の結果(先進国実質GDP):
y = -0.085%x + 5.130%(R² = 31.543%)
係数のt値は-4.40なので十分に有意です。
計測期間において先進国では毎年-0.085%、実質GDPが減速しているのはデータから読み取れることです。
新興国でも実質GDPの減速は統計的に有意です。

2016.03.10 22:32 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1887:

※1885:吊られた男さん
クレディ・スイスのグラフは始点を固定した累積グラフですね。
そのグラフを見ていろいろ考えるのもありだと思います。

2016.03.10 22:41 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1888:

長期投資に懐疑的な人と、長期投資を基本とする人でデータの扱い方に最初から差があるという事ですかね。

長期といっても永遠に近い長期か、これから30年の話かで全然違ってきますし、これから30年の話だと完全に予想屋の範疇ですし。

完全に公平中立なデータの扱い方って無理だと思います。

2016.03.11 08:22 さいもん #- URL[EDIT]
1889:

※1888:さいもんさん
そうですね。長期投資というときの「長期」のとらえ方によっても違いは出てきそうですね。
データについては扱い方もそうですし、出た結果の解釈の仕方でも差がありそうです。差があるのは自然なことだと思います。

2016.03.11 22:26 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1891:

小黒さん、こんばんは。

吊られた男さんは、インデックス投資の大御所さんで
様々なソースや過去のデータを熟考、尊重され、
未来予測よりも過去の事実に基づいて考えられるタイプで、
小黒さんは、過去のデータから未来を予測するタイプで、
お二人ともともに優秀な方なのに考え方に違いが出てくる
というところが面白いなあと思って見ています。
私はボンクラ直感型ですが(笑)、私の直感予想では
どちらかと言えば、小黒さん寄りの考えです。
アクティブ運用派なのでバイアスがかかっています(笑)
20~30年後、楽しみですね!
考え方に差があっても未来の事実はひとつですからね、
吊られた男さんが正解に近いか、小黒さんが正解に
近いか、結果が待ち遠しいです。
あっ!数学的な考察の部分については小黒さん寄りです
が、マクロ経済の短中期的な予想については小黒さんと
違います。優秀な頭脳お二人を差し置いて、私の直感が
一番近ければいいなあなんて(笑)

2016.03.11 23:41 負け組凍死家です #- URL[EDIT]
1893:

※1891:負け組凍死家ですさん
吊られた男さんと私とでは考え方のポイントの置き方は違いそうですね。予想の当たり外れはあるにしても、20~30年後の世界がどうなっているかは楽しみです。
直感型の人は、直感の裏に膨大な蓄積があることが多いので、データ分析による予想よりいい結果を残すかもしれませんね。

2016.03.12 12:52 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1915:

こんにちは(*^-^*)

本当にどの記事も面白くて勉強なります。常にデータを分析して考察される小黒さんの姿勢もすばらしいです!

2016.03.17 11:20 りあるむえ #- URL[EDIT]
1917:

※1915:りあるむえさん
ありがとうございます。照れてしまいます。(^^)
できるだけ自分で分析したい性分なんです。

2016.03.17 20:46 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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