約9割は投資配分比率で決まる だからファンドラップ え?

広告記事に噛みつくのは大人げないのですが・・・

ちょっと気になる記事があったので取り上げます。「拡大するラップ型投信、3年で残高4倍増となった「のむラップ・ファンド」の魅力」というものです。[外部記事]

今回は辛口で攻めてみます。(^^;


ネイティブアド・ネイティブ広告


ネイディブアド(ネイティブ広告)と呼ばれる手法があります。

一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会のサイトから引用します。[出典]

"ネイティブ広告は、その形式や機能が、媒体社やプラットフォーマーが提供する記事・コンテンツと一体感があるという特徴から、ユーザー(消費者)に受け入れられやすい広告体験を提供するものと期待される一方、掲載方法や内容によっては、消費者が騙されたと感じやすいという課題が指摘されています。"


冒頭にリンクした記事は、客観的で中立的な記事っぽく見えますが、実際のところPR記事なんですよね。ネイティブアドです。野村証券グループのPR記事にモーニングスターの社長も参加しているという形態です。

ちなみに、広告媒体のサーチナと、モーニングスターはこういう関係です。[リンク]

PR自体は悪いことじゃないんですけど、パッと見、広告とはわかりにくいですね。


記事の中身で、んー、となった部分


ネイティブアドの是非はひとまず置いて、記事の中身に移りましょう。

記事から引用します。

"モーニングスターの朝倉氏は、「資産運用の成否の約9割は投資配分比率で決まると言われています。当ファンドの投資比率配分の決定には、野村證券の専門家からの助言が活用されていますね」と、野村證券の投資助言が安定して高い運用成果につながっているとみている。"


資産運用の成否の約9割は投資配分比率で決まる。

これって誤解があると思うんです。

もともとはブリンソンの論文なんですが、この論文では、実際のポートフォリオのリターンの変動のうち、基本ポートフォリオのリターンの変動で93.6%が説明できるとしています。

基本ポートフォリオのリターンは、基本資産配分に各資産のインデックスリターンをかけたもので、銘柄選びや、売買タイミングの効果のないものです。

それで93.6%が説明できる。

だから、銘柄選択や売買タイミングよりも、資産配分が重要だ!

だから、野村證券の専門家からの助言を活用する、のむラップだ!

となるのですが・・・

どうでしょう。ちょっと考えていきましょう。


約9割は投資配分比率で決まる?


基本の投資配分比率で9割が説明できるのは、その時々の(たとえば四半期ごとの)変動のことです。最終的なリターンのことではありません。

どういうことか具体的に見ていきましょう。

組み入れ資産は、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の4つ。

基本ポートフォリオは4資産の均等配分とします。各資産のインデックスファンドを組み入れます。

これに対して仮想のアルファ・ポートフォリオを考えます。思考実験です。

銘柄選択でもタイミングの効果でもいいのですが、アクティブなリターンとして毎月1%、コンスタントに基本ポートフォリオのリターンを上回るとします。

過去5年のバックテストは以下になります。

資産配分 小黒とら

青線と赤線の差は、毎月1%の超過収益によるものです。毎月1%は、年12%なので、このアクティブなリターンはものすごいことです。あくまで思考実験ですから・・・

で、青線のアルファ・ポートフォリオは、基本の資産配分でどのくらい説明できるでしょう?

ちょっと想像してみてください。


答えは意外?


答えは、100%です。

青線の変動は、赤線の変動で100%説明できます。

百聞は一見にしかずで、以下の図です。

資産配分 小黒とら

横軸は基本ポートフォリオの四半期リターン、縦軸はアルファ・ポートフォリオの四半期リターンです。

アルファ・ポートフォリオの四半期リターンをY
基本ポートフォリオの四半期リターンをXとすると、

Y = X + 0.03

という関係式で100%説明できます。

0.03というのは、毎月1%上回る(=四半期で3%=0.03)を意味しています。

上の関係式は、アルファ・ポートフォリオの四半期リターンは、基本ポートフォリオの四半期リターンに3%を加えたもの。それで100%説明できるということです。


まとめ、のようなもの


ポイントを整理します。

アセットアロケーションが9割というのは、実際のポートフォリオと基本ポートフォリオの多期間のリターンを関係式で表し、それがどのくらいの説明力があるかを見たときに、9割あったということです。

余計わかりにくいですかね・・・(^^;

たとえば、リスク資産に多めに配分して、おおむね基本ポートフォリオの1.2倍の変動をするポートフォリオを作ると

Y = 1.2X

という関係になりますし、先ほどみたように、毎月1%の超過収益を取れば、四半期では、

Y = 1x + 0.03

という関係になります。

この関係式がどのくらい安定しているか(=説明力があるか)がブリンソンの示した数字ということです。だから、「資産運用の成否」と「投資配分」を結び付けて説明するのは、まあミスリードだなと。

ともかく、基本の配分比率で9割が説明できるから・・・というのは、ちょっと注意して話を聞いた方がいいです。

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1571:管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016.01.09 21:23 # [EDIT]
1573:

こんばんは

何かラップ口座というとグレードが高い上客向けのイメージがありますが手数料を考えると躊躇しますね。
高級感を演出しているような気がします。
高級車が割高なようにこの手の商品も割高だと思います。
自分で材料を買って料理したほうが良さそうです。

2016.01.09 23:47 yazirobe777 #- URL[EDIT]
1574:

>資産運用の成否の約9割は投資配分比率で決まる。
『だからラップファンドを買おう』というのはヘンですね。
そう思うなら自作すればよいわけですし。。

>資産運用の成否の約9割は投資配分比率で決まる。
『だから長期保有が良い』。というのもあちこちで見かけますが、これもヘンですね。
日本株インデックスは長期保有しても報われないでしょう。
米国株インデックスなら、ある程度それで合っていると思いますが。

2016.01.10 09:35 Tansney Gohn #- URL[EDIT]
1576:

※1571のコメントをくださった方へ
コメントありがとうございます。
拝読しました。(^^;

2016.01.10 20:13 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1577:

※1573:yazirobe777さん
手数料は高いですよね。
ラップは、手数料ほどのベネフィットはない気がしますね。
自分で料理した方が楽しいですよね。

2016.01.10 20:19 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1578:

※1574:Tansney Gohnさん
そうなんですよね。あのPR記事は、9割というブリンソンの結果を変な方向に使ってるんですよね。
投信の評価機関を自称するモーニングスターの代表者が、ああいう言い方をするのはいただけないなーって思います。

2016.01.10 20:23 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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