日銀の「補完措置」について考えたこと

金曜日の日経平均は高値と安値の差が887円もあって、いやーよく動いたって感じですね。

グーッと上がって、ドンと下がって、まさに乱高下でした。

で、今回は、金曜日の日銀の補完措置についてです。


金曜日の市場


今回の乱高下は、市場参加者が早とちりで右往左往した面もありそうですね。日銀が悪いのでもなく、市場が間違っているのでもなく、そういうトリッキーな動きになるのが市場の特性だと思います。

市場参加者のほとんどは、日銀が何かアクションを起こすとは思っていなかったでしょう。現状維持で波乱なしという見方だったところに・・・

ん?なに?

ETFの3000億円?

え、よくわかんない。けど、黒田マジックだろう、とにかく買い。

で、ガーっと買われて、その後、冷静になったところで引いたといった感じでしょうか。


日銀の補完措置


今回の日銀の補完措置を考えます。

1. 買い取り対象の国債の年限長期化

買える国債の対象を広げる意味でしょう。テクニカルな要因ですね。もちろん、イールドカーブをさらに潰すという効果はあるので緩和の強化と言えなくもないです。


2. ETF3,000億円の枠を増加

これが市場の誤解を招いたのかなと思います。
まず、ETF3,000億円の枠を増加するタイミングですが、これは来年の4月からです。それで、来年(2016年)の4月から何が起きるかというと・・・

日銀は、「日本銀行による金融機関保有株式の買入れ」というのを実施していました。日銀のHPによると、日銀は、買い入れた株式について、2016年3月末までは原則として売却を行わず、2021年9月末までに処分する予定としています。

2016年3月末までは原則として売却を行わずというのは、裏を返すと、2016年の4月からは売り始めるということですね。2026年3月末までに売り切ることを目指して。[資料]

で、日銀がいくら売るのかというと、その額1兆3490億円です。[資料]

日銀は2016年の4月から保有株式を処分していく予定なので、そのインパクトを抑えるための今回の買い入れ枠の増加でしょう。追加緩和というよりは、影響を相殺するための措置ですね。


3. 不動産投資信託(J-REIT)

銘柄別の買い入れ限度額を引き上げたのは、実態に合わせた微調整ですね。


日銀のスタンスから何を読み取るか


私は、よほどのことがない限り、追加緩和はないだろうと思ってます。

会合後の記者会見で黒田総裁は、今回の決定自体は追加の金融緩和ではなく、「補完するための措置」と強調しています。

日銀としては十分に緩和していると考えているのではないかなと思います。

日銀のマンデート(付託された権能)は物価の安定だけじゃないですから。金融システムの安定も日銀のお仕事です。

ちなみに、金融システムの安定と関係のある用語で、「マクロプルーデンス政策」という考え方があります。マクロプルーデンスに興味のある方は次のリンク先が興味深いです。

日本銀行ワーキングペーパー:マクロプルーデンス政策手段は、焦点を絞り得る政策なのか?

日銀の本音としては、金融の量的緩和によってマネーサプライが増えるのはデフレ脱却では望ましいけど、特定の業種(不動産業)に融資が偏るのはマクロプルーデンス的にはマズイ、といったところでしょう。


まとめ、のようなもの


日銀は、カネ回りを良くしてマイルドなインフレを目指していますが、一方で、不動産絡みでカネ回りが良くなりすぎるのを警戒し始めてます。

難しいかじ取りですね。

それに加えて、日銀は来年4月からは10年かけて保有株式を売っていかないといけません。今回の補完措置は、来年4月からの株式売却を相殺するためのETF枠なんでしょうね。

実態としては、ニュートラルな措置でしょう。

日銀としては、企業利益の労働者への分配や設備投資の活発化で、民間の力で経済の温度を高めて欲しいというのが本音でしょうね。

家計は、少子高齢化で消費は弱くて
企業は、バランスシートの健全化で内部留保の蓄積に余念がなく
銀行は、ビジネスを見た融資が苦手で、伸ばせるのは不動産担保融資になりがちで
政府は、これ以上バランスシートを膨らませるわけにもいかず

中央銀行のバランスシートを膨らませることでここまで来ましたが・・・

企業と銀行の行動様式がなかなか変わらないので、金融政策による下支え効果も限定的なのかな・・・

なんて思ったりしてます。

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1485:

ETFの増額規模3000億円について、「拡大」という文字を
認識したアルゴが走ったという噂ですね^^;

アルゴ中心の回転取引が多くなってからは、
「もし〇〇だったら、○○だけ購入しろ。あるいは売却しろ」という命令を入れていることもあり、
文字だけで判断する場合もあるので怖いですね・・・

追加緩和に渋っている日銀委員のいい分は、
現状だと、企業は、毎度のことですが、
先行き不透明を理由に内部留保を増やして、設備投資に回さないので、
緩和マネーの大部分が不動産融資中心に回っている懸念と、
これ以上の円安は、電機、自動車等大企業にとってはプラスですが
大部分の中小企業にとっての輸入原材料高の悪影響を考慮しているんでしょうね。

2015.12.21 20:07 freeflyfisher #- URL[EDIT]
1486:

※1485:freeflyfisherさん
アルゴ取引ですね。
いろんな参加者がいて面白いですね。ちょっと怖い面もありますけど。
お金が上手く回ってない感じがするのですが、そこはもう日銀の範疇を越えちゃってるんだろうなと思ってます。

2015.12.22 17:26 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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