ネガティブバイアス抜きに「毎月分配型」投信を考えたところ

投信の専門家からは、毎月分配型投信のいい話はあまり聞きません。

どちらかと言うとネガティブな評価ですね。

今回は、複眼的に考えてみましょうという話です。


毎月分配型がダメな理由


毎月分配型投信のどこにダメ出しをするかは、評価する人の視点によって違いがあります。

コストが高いとか、課税のタイミングが早くなるとか、投資効率が悪いとかですね。私も毎月分配型は投資効率が悪いなーと思っていたのですが、考え方によっては悪くない面もあります。

なので、今回は投資効率に絞って考えてみます。


投資効率


毎月分配型投信のデメリットとして投資効率が悪いというのがあります。

分配金再投資との比較で考えると、一般的には、上昇相場なら分配金を再投資する方が最終的な受取額は大きくなるからです。

ただ・・・

時間的な価値も考慮して、具体例で考えてみましょう。


料理の材料


今回取り上げる投信ファンドは以下の2本です。

ニッセイ高金利国債券ファンド(スリーポイント)[毎月決算] 29311067
ニッセイ高金利国債券ファンド(スリーポイント)[1年決算] 2931108C

観測期間は、2008年12月22日から2015年11月24日まで。

まず、2008年12月22日から2015年11月24日までの基準価額の比較です。比較のため、2008年12月22日を10,000として再計算しています。

なお、以下の図は「分配落ち」の基準価額です。分配金再投資ではありません。

毎月分配型投信 小黒とら

1年決算は右肩上がり、毎月分配だと横這いですね。


さて、計算、その前に


では、投資利回りを具体的に計算していきましょう。

その前に、ちょっとした整理をしておきます。

いま100円を投資して、
1) 1年後に101円になる
2) 2年後に101円になる

この比較なら、1年後に101円になる方がいいですよね。単純な利回りで考えても1年なら年1%、2年かかれば年0.5%ですから。

同じ金額なら、早く受け取れる方がいい。

ですね。


次に、もう少し進んで考えてみましょう


次は、利払いのある債券と利払いのない債券の比較です。

いま100円を投資して、
A) 1年後に1円の利息、2年後に1円の利息と元本100円が償還される
B) 2年後に102円が償還される

どっちがいいですか?

Aか、Bか、どっちも同じか。

お得なのはAです。

利回り計算は、以下の式をrについて解くことで求めます。

A: 100 = 1/(1+r)^1+101/(1+r)^2
B: 100 = 102/(1+r)^2

Aは1.00%ですが、Bは0.995%となります。


さらに、もう少し進んで考えてみましょう


A‘) 毎年5円の利息と、10年後に100円が償還される
B’) 毎年の利息はゼロで、10年後に150円が償還される

これで計算すると・・・

Aは5%ですが、Bは4.138%となります。

B’の答えを確かめるには、100×(1+0.04138)^10 = 150 を確認すればOKです。

ポイントは、AもBも10年間で受け取れる総額は150円で一緒です。しかし、利息を毎年もらうか、最後に一括でもらうかによって利回りは異なるのです。

で、その差は期中に受け取る額の大きさと、最後の受け取りがどれだけ遠いかによります。


さて、ようやく比較


さて、ようやく本題です。

A:ニッセイ高金利国債券ファンド(スリーポイント)[毎月決算] 29311067
B:ニッセイ高金利国債券ファンド(スリーポイント)[1年決算] 2931108C

分配金は利息ではないし、元本は変動しますが、「キャッシュフローの受け取り」という点で、先ほどの考え方が使えます。

2008年12月22日に、それぞれのファンドに100万円投資し、2015年11月24日に売却したとします。

A:[毎月決算型] 分配金の総受取額:377,588円、売却額:1,193,971円
B:[1年決算型] 分配金の総受取額: 3,975円、売却額:1,636,355円

分配金と売却額の総額で比較すると
A:[毎月決算型] 1,571,559円
B:[1年決算型] 1,640,330円
なので、Bの1年決算の方が多くなっています。

でもね、と。

この数字は単なる総額です。「いつキャッシュフローを受け取ったのか」も考慮に入れて比較しないといけないですね。

で、受け取った日を考慮に入れて、まあちょっと丁寧に計算すると・・・

Aの利回り(年率):8.03%
Bの利回り(年率):7.43%

となって、毎月分配型のAの方に軍配が上がるのです。


まとめ、のようなもの


今回の考え方は、内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)です。

工場建設やプロジェクト投資などの投資採算性を測るときに使われる考え方ですし、金融の世界では、債券の最終利回りの計算が内部収益率と同じです

今回の例では、内部収益率で測った利回りは、「毎月分配型」の方が「1年決算型」より良かったという結果です。

投資して、1年後に回収できる1円と、100年後に回収できる1円では、当然に重みが違いますよね。そういう時間価値も考えると、「投下資本の回収が早いこと」は毎月分配型投信のメリットとして考えてもいいかもしれませんね。回収しているものが、利益なのか投下元本なのか・・・というところでの引っ掛かりはあるでしょうけど。(^^;

あ、あと、あくまで特定ファンドの特定の期間での事例ですから。

毎月分配型投信を積極的に推しているのではなく、「こういう考え方もありますよ」というのを提示したかっただけです。

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1448:

元本がいつまでに回収出来るかを考えるのは投資の基本ですし、商売やってりゃ当たり前の考え方なのですが、私が見た限り投信ブロガーさん達には経営者や独立して働いている人はほとんどいませんので、そのような考え方が理解されないのも仕方無いのかなぁ?とは思います。

元本さえ回収してしまえばその後の相場がどうなろうと残りは全て利益であり、利益の範囲内で運用すれば元本を減らすことは無いので安心感が全然違います。
想定している利回りを現時点でかなり上回っているのなら、元本分だけでも現金化しておけば気楽なんですけどね。

まぁでも、これは別に毎月分配に限った話では無いのですが、人間は欲の塊ですからね。目一杯の金額を複利で運用していればもっと増えていたのに!とか考えてしまうものです。笑










2015.12.12 19:14 ニャーゴ #- URL[EDIT]
1449:

こんにちは
毎日分配型はインデックスと良く比較されますが、合理的なインデックス型は中国古典でいえば孔子的な合理性、毎月分配型は老子的な善悪がない幅の広さに通じる気がします。
(それに少し愚行権が入っている感じですか?)
バランスと自分の年齢を考えれば悪い物でもありませんね。
定年後用のオプションが付いた毎月決済型の資産と思えば悪くはないかもです。いずれにせよ入口は大事なのですが・・・

2015.12.13 12:01 yazirobe777 #- URL[EDIT]
1450:

※1448:ニャーゴさん
投資資金の回収は大事な考えですよね。
投信ブロガーさんの多くは資産形成期にある人々でしょうから、回収よりは積み立てていくことを考えているからかなと思います。
回収のことを考えるのと、再投資のことを考えるのと、バランスが大切なのかなと思います。

2015.12.13 16:34 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1451:

※1449:yazirobe777さん
年齢によって違いはあると思いますね。
一般論ですが、若い人や現役世代なら無分配をドルコストで投資するのが合理的で、毎月分配は不合理でしょう。
逆に、リタイア世代なら毎月分配はありで、無分配のドルコストは不合理と言えます。
そういう投資家の事情を考慮したうえで、その人にとって毎月分配がいいのかどうかという話だろうと思いますね。
年を取ったら愚行に走るのもいいかなーなんて思ってます。

2015.12.13 16:39 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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