格差社会 「1%の富裕層が世界の富の50%を保有」を別角度から

格差の拡大は世界共通の社会的な大問題です。

米国のオバマ大統領は20日の一般教書演説で、富裕層や金融機関への課税を強化する一方で、中間所得層は減税することを柱とした税制改革を提案することになっています。

富裕層や大企業にある富をとりあげて、中間層や低所得層に再配分するのは重要な政策の一つです。富裕層と貧困層に二極化している社会よりは、厚い中間層がいる国のほうが安定しますので、いきすぎた格差を是正することは必要な政策です。

格差社会のニュースとして「1%の富裕層が富の半分以上握る可能性」というのがありました。

今回はそれについて考えてみました。


経済問題?


世界の人口の1%の富裕層が世界の富の半分以上を握る可能性があると指摘したのは、オックスファムという国際NGOです。世界で貧富の格差が広がるのを防ぐために速やかに対策を取るべきだ、と提言しています。

貧困問題や格差の拡大の問題は、かなり複雑な問題です。

日本国内における貧困や格差の問題と、この世界の1%が・・・というのは単純には同じ問題としては語れません。関係ないわけではないのですが、同列に語れないというのが私の見方です。

世界の1%の富裕層が富の半分以上握るというのはセンセーショナルなことなので、一握りのスーパーリッチが優雅に地中海クルーズを楽しんでいて、お金が有り余っている・・・というようになりがちです。

でも、ちょっと別の視点から、社会問題(人口問題)として格差問題をみてみましょう。


貧困国の人口増加


貧困層の人口が増えればどうなるか。少数のリッチと多数の貧困者が、少数のリッチとより多くの貧困者という社会構成になります。

先進国の人口があまり増えないなかで、途上国や貧困国の人口が増えれば、相対的にみて格差は拡大します。

以下の図は国連の資料から取ったもので、1人あたりGDPと人口増加率(推計値)の関係をみたものです。

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オマーン、カタール、クウェートは、例外的に1人あたりGDPも高く人口増加率も高い区ですが、それ以外の国ではおおむね、1人あたりGDPが高い国は人口増加率が低く、1人あたりGDPが小さい国は人口増加率が高いという傾向がみられます。


所得の少ない国の人口が増えるとどうなるか


所得の少ない国の人口が増えるとどうなるかについて、国連の以下の統計を使って試算しました。

(1) 2012年の1人あたりGDP
(2) 2010年から2015年の人口増加率 (推計値)
(3) 2010年の人口

試算の前提は、1人当たりGDPは変化しないとして、国連の推計値の通りに人口が増加したらどうなるかです。(この前提の是非について、今回は目をつぶってください)

1. G7の日本、米国、英国、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア
2. それ以外のおよそ200国

この2クループに分けました。結果は以下です。

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貧困国で人口が増えることによって、世界全体で富の配分をみたときに、アンバランスが拡大するのです。少数のリッチと多数の貧困者というバランスが、少数のリッチとより多くの貧困者という構成になるからです。

国際社会における格差拡大は、南北問題という先進資本国と発展途上国の経済格差であり、その背景には人口問題があるというのが私の見方です。

ですから、この「世界の1%が・・・」というのを、そのまま日本の格差問題には結び付けられないと思っています。

日本の格差問題は、先進国内での富の偏在の問題ですから。主に政府の所得の再配分機能の問題です。大企業と労働者、シニア層と若年層などの偏りの問題だとみています。

ともかく、世界の問題と日本の国内問題は、少し分けて見た方がいいのかなと思っています。

 

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