無限と天才数学者 数学の自由さと窮屈な思考法

「『無限』に魅入られた天才数学者たち」という本を読みました。

著者はアミール・D・アクゼル氏。統計学の博士号を持つサイエンスライターです。

訳者は青木薫氏。京都大学で理学博士を取得し、理論物理学を専門とする人です。

今回は、読書感想文と、そこから派生して思うことについて


読み物として面白いです


数学の専門知識は不要です。

ハヤカワの文庫本で「<数理を愉しむ>シリーズ」という分野です。難しい内容をかみ砕いて書いてあって、数式はほとんど出てきません。

で、面白かったのは無限にもレベルがあるという考え方です。

1、2、3・・・と数えていくとき、上限にキリがないという離散的な無限があります。それだけでなく、たとえば0から1の間を無限に分割できるという連続的な無限もあります。

そういう話を、古くは古代ギリシャのピュタゴラス(ピタゴラス)学派から、プラトン、エウクレイデス(ユークリッド)から、ガリレオとか、いろいろ経て、ゲオルグ・カントールにつなげていきます。

カントールは集合論で無限に真正面から立ち向かった人です。

その結果、精神を病んでしまいましたが・・・


分からなくてもいいんです


深いなーと思えるのは、無限にも種類があって大小関係があるという考え方です。

無限の大小関係って・・・

訳わかりません・・・ (>_<)

読んでいてもよく分かんないですけど、それでも面白い。知的好奇心が刺激されます。書いてあることの3割でも半分でも、理解できたらそれでいいですし、逆に、理解できないからこそ面白いのかもしれません。

なんだかよく分からないけど、数学者ってぶっ飛んでるなー

って思いを強くします。


ゲーテルの不完全性定理


カントールの話の後に、ゲーテルの不完全性定理の話が続きます。

考えてしまうのは次の一文。

「与えられた系の内部にいたのでは捉えられない概念や性質が存在し、それらを理解するためには、より高いレベルに移らなければならない」

なるほど。

より高いレベルに移る、か・・・


上には上がある


ただ、本には、カントールがより高いレベルの上にはさらに上があることを示しているのだから、人間にはどうしても理解できないものがあると書かれています。

どうしても理解できないことがある。

理解できなくてもいいじゃないか。人間だもの。

と、私は思うのです。

理解できることが増えるように高いレベルを目指すという「向上心」と、上には上があって自分が到達できるレベルには限度があるという「諦観」のバランスが大事かなと思います。


ちょと宗教っぽい話


著者は、西洋人なので一神教の文化です。

人間には越えられない無限の、その先に、著者は神の存在を置いています。そういう一神教的な思想が本のベースにあります。

一神教的な考えにアレルギーがある人にはお勧めできない本ですが、数学だけでなく文化論としても楽しめるという気持ちで読むなら一冊で二度おいしいと思える本です。


カントールとピタゴラス派


カントールは、「数学の本質は、その自由性にある」としています。

本を読むと数学者の発想の広さに凄味を感じます。まさに自由です。

一方で、無理数を認めなかったピタゴラス派の事も思います。

本の前半部分ではピタゴラス派が無理数を認めなかったことに触れつつ、しかし、結局は無理数から無限へと数学が発展していく様子が書かれています。

で、ピタゴラス派が無理数を認めなかったのは、それまでに築き上げた理論体系に矛盾するからです。

それまでに築き上げた理論や考え方が現実に合っていない。矛盾が生じている。普通なら理論を見直せばいいのですが、そうなるとこれまでに言ってきたことを変えなければいけないので・・・

現実の方を認めない!

となるのかな。

それって、窮屈な思考法ですね。


私もそういう思考法に陥りがちですけど、「過ちを改むるに憚ることなかれ」を忘れないようにしようと、思いを新たにしました。


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というわけで、いろいろと考えることができる本です。

「無限」に魅入られた天才数学者たち (〈数理を愉しむ〉シリーズ)

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1350:

無限とか連続ということで、デデキントの切断、とか、上界や下界、閉区間・開区間なんてことを思い出しました。
それぞれの定義に関しての知識は、すでにあいまいになっています。
何度読んでも、面白いんだけど、頭が痛くなります^^
無限の大小も、楽しい話だけど、自分の頭だけで考えようとすると、いつもわけがわからなくなりますww
まぁ、自分の頭の限界を知るのに便利なんですけど。


2015.11.23 18:00 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
1352:

※1350:いろいろでセカンドライフさん
数学の話は面白いけど頭が痛くなりますね。宇宙や量子物理学の話もそうです。
頭の働きは有限なのか無限なのか、ときどき分からなくなりますね。

2015.11.24 20:03 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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