個人とGPIFはどのくらいのリスクを取るのが適切なのか

前回記事「『ド素人でも年間利回り+5%を目指せる』という大いなる矛盾」を準備不足のままオープンさせてしまいました。今回はきちんと準備を整えてからの再開です。再開にあたりタイトルと本文を修正しています。

さて、本題。

山崎元氏の最近の著書とダイヤモンドオンラインの記事を参考にして、ド素人でも年間利回り+5%を目指せるのであれば、GPIFにも目指せるのではないか、という点を考えます。

今回のテーマは、個人とGPIFの運用についてです。

なお、山崎氏は個人とGPIFの運用についてそれぞれ示唆に富んだ評論をしています。今回はそれらを検討材料とさせていただきます。山崎氏の最近の著書は個人の運用についてですが、こちらは必要最小限の言及に留めます。GPIFの運用については、ダイヤモンドオンラインの記事を参考にします。


大事なポイントの整理


過去記事「GPIFのリスクは過大か」で、私は、個人よりもGPIFの方がリスク許容度が高くて大きなリスクが取れると述べました。

大事なポイントは、リスク許容度の高い主体の方が投資で高いリターンを狙えることです。

だから、一般的な個人投資家よりも、GPIFの方が高いリターンを狙える。

そうなります。

それなら、かりに運用で「ド素人でも年間利回り+5%を目指せる」のであれば、GPIFだってそれくらいは目指せるわけです。GPIFの方がリスク許容度が高いんですから。


個人投資家が年5%の利回りを目指す方法


山崎氏の著書によると、個人投資家が年5%の利回りを目指す方法はインデックスファンドへの投資です。

5%という数字は、機関投資家の人々が一般的に想定しているリスクプレミアムが5%だからという理由です。金利プラス5%ですね。

ともかく個人は株式(インデックスファンド)に投資することで、年5%を目指せるということです。

簡単ですね。インデックスファンドを買うだけです。

GPIFにもできます。


GPIFに株式は不要?


ところが、山崎氏はダイヤモンドオンラインで、GPIFが内外の株式だけで50%、さらに外国債券を15%ほど持つ状態は、「不適切だと考えている。」と述べてます。

「国と年金加入者の年金を通じたお金のやりとりに、無用な不確実性を持ち込むことが適当ではないから」というのが理由です。

その先を引用します。

公的年金運用に株式投資が「無用」だというのはなぜか。個人の運用なら、「リスクはあるがリターンが高いとして株式投資を勧めているのではないか」という反論がありそうだ。
 しかし、個々の国民は、株式のリターンがリスクに対して有利だと思えば、自分の意思で株式に投資することができる。


ここは考えるポイントになりますね。

個人が株式投資を行い、GPIFに株式投資は無用なのか。

私はむしろ、個人がそれぞれに、年金資産として株式運用する方が不確実性が高まると考えます。結果については100%自己責任ですからね。確定拠出型年金って、そういうことですよね。

一方、GPIFが確定給付型の年金を提供することで、国民ひとりひとりの年金給付の不確実性は緩和されます。GPIF(突きつめると国、納税者ですけど)がリスクを吸収するからです。

そういう点で、GPIFが株式のリスクを抱えることは是認されます。リスク許容度の大きさから言っても、個人よりはGPIFがリスクを負担できます。


ちょっと寄り道


山崎氏は「自分の意思で株式に投資することができる。」って気軽に言いますが・・・

全国民を対象にして、自分の意思で株式に投資することができる人って、どのくらいいるのでしょう。みんなよくわからないし不安だから、投資の本とかを買うわけですよね。なかには「読まない方がいいのに・・・」と思う本もありますけど。

自分は株式投資ができるからって、他の人ができるとは限らないですね。

時間が取れないとか、知識が不足しているとか、そもそもリスクを取りたくないとか、そういう数多くの国民がいるという現実を踏まえた上での福利厚生として、GPIFがあると思うんです。

そういう個人に代わってGPIFがリスクを負っている。

そう思うとGPIFに株式投資は無用だというのは、かなりの暴論じゃないでしょうか。

あ、もちろん、自分でできる人は自分で株式投資をすればいいんです。ただ、世の中は強い人だけじゃないってことです。


個人は5%、GPIFは4.57%


投資のリターンを考えましょう。

GPIFの目標利回りは「名目賃金上昇率+1.7%」です。

具体的な数値としては、GPIFの資料 によると、経済中位ケースの名目リターンとして4.57%とあります。

名目リターンが4.57%。想定リスクは12.8%。そのときのポートフォリオとして内外の株式の資産構成割合が50%という姿です。

一方で、個人が年間利回り+5%を目指せるというのは、インデックスファンドへの投資を通じてですから、その時のリスクは単純に見積もってもGPIFのポートフォリオよりは高いリスクですよね。


悩みどころ


個人向けにはインデックスファンドで年間利回り+5%を目指せるとする一方、GPIFには株式は無用だというのは、私にはうまく理解できないロジックです。

インデックスファンドに投資するだけで、年間利回り+5%を目指せる。

目指せるのは目指せますけど・・・ リスクをどう考えたらいいんでしょう。

GPIFにリスクは重要だけど、個人はリスクを考えなくていい、なんてことはないでしょうし・・・

初冬の夜長、もうちょっと考えてみます。

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1304:

そもそもGPIFの運用はパッシブ運用じゃないですよね。ある時期にガラッと比率を変えるし相場に絶大な影響があるからかなりのギャンブルです。

これは私見で全くの想像ですけど、山崎さんはご自分の相場観で見てGPIFが積極運用したら失敗すると思っているのではないですか?そう考えると納得が行きます。

もともと山崎氏は自分ではアクティブ運用したいタイプなのにパッシブ運用を奨めているから矛盾点が出てくるのではないかと、最近思ってます。

2015.11.14 21:33 さいもん #- URL[EDIT]
1305:

※1304:さいもんさん
そうですね。GPIFの運用はパッシブ運用じゃないですね。あれだけ巨大なポートフォリオになると、まさに世界経済の成長に賭ける長期投資しか選択肢はないと思います。

山崎氏のGPIFに対する思いはそうかもしれませんね。

自分ではアクティブ運用したいタイプなのにパッシブ運用を奨めているから矛盾点が出てくるというのは興味深い指摘です。なるほどそれはありそうですね。

2015.11.14 21:51 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1306:矛盾点は無い

B層向けの本で言っていることと、公的年金という権威を批判することは左巻きのポピュリズムで一貫しているので矛盾しません。

物事をあまり考えたくないし考えられないB層は、インデックスに投資すれば後は何も考えなくて良い、手数料が安いことが一番良いという単純な話は非常に受け入れやすいです。公的年金を批判するのはB層の留飲を下げるからです。左巻きの人はルサンチマンを刺激するとB層が喜ぶ事をよく知ってます。具体的なことはよくわからないけど感覚的にこれが良いと飛びつくB層は、矛盾しているとは気がつきません。経済評論家の思うツボです。

B層に難しい事を言っても理解できません。そっとしておくのがいいでしょう。

2015.11.15 11:33 反B層 #WdBHVZbg URL[EDIT]
1307:

※1306:反B層さん
コメントありがとうございます。
なるほど。そういう点での矛盾していないというご意見は、興味深いですね。
B層のことはよく分からないのですが、わざわざ私のブログを読んでくれる方は、物事を考える人でしょうね。

2015.11.15 19:35 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1308:

こんばんは

GPIFに運用については政治的に決められてしまい、比率も公開していますのでうまく運用するのは難しいと思います。
逆張りに徹するしかないのかな。谷を越えれば山が来るって感じです。

冗談半分で運用をうまくするなら・・・
M氏をスカウトして運用リーダーに迎えてK田電気のような企業をつぎつぎ買い占めて利益を上げる。
これで年10%は行けそう。(もちろん実現する可能性は100%ぐらいありませんけど・・・)

運用に関しては賛否両論はあるので意見もそれぞれ正解などわかりませんが
政策的に株式を増やすなら、株価=企業収益なので上がる政策をとり続ける。
そして想定内のインフレが進めば年金不安は和らぐでしょう。
逆なら年金不安は解消しないでしょうね。

Y氏に関してはアクティブ運用したいタイプなのにパッシブ運用を進める矛盾は心理学的にも納得です。。
あと少しSPの気もありそうな気もします。(悪い意味ではありません・・・)


2015.11.15 21:28 yazirobe777 #- URL[EDIT]
1311:

※1308:yazirobe777さん
GPIFがアクティビストのような投資をするのは面白そうですね。GPIFの資金力があればいろんなことができそうです。(^^)

マイルドなインフレが実現してほしいと思います。デフレマインドは息苦しいですからね。

Y氏に関しては矛盾をどう理解したらいいのかは興味深いところです。アクティブ運用にアンビバレントな感情を持っているのかなーと思います。

2015.11.15 22:33 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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