期待値は2,000万円なのに、2,000万円を超える確率は33.9%

前回「複利を味方にしましょうって言うけれど・・・ できるんですか?」の続きです。

前回、年5%で30年間の運用を取り上げました。

毎月24,000円を投資して、30年間の累積元本は864万円。それで期待値は2,000万円になります。

でもね、と。

2,000万円以上になる確率は34%くらいなんです。50%じゃありません。

今回は期待値と達成確率の誤算について


上昇の確率と下落の確率


ちょっとした問題です。

ある株式があって、その株は、1年後に10%上昇するか、10%下落するかのどちらかしか起きないとします。

1. 上昇、下落のリターンは対数収益率(連続複利)
2. 現値は100円
3. 期待リターンはゼロ(1年後の期待値は100円)

さて、このとき、上昇する確率と下落する確率は、それぞれ何パーセントでしょう。

50%じゃないですよ。


答えは・・・


上昇する確率は、47.5%
下落する確率は、52.5%

ん?

ポイントは対数収益率です。

上昇:100×exp(0.10) = 110.517
下落:100×exp(-0.10) = 90.484

対数収益率の場合、上昇したときは110.517円、下落したときは90.484円になります。

上昇と下落が50%で平等なら、期待値は100.50になってしまいます。

だから、ね。

期待値が100(期待リターンがゼロ)となるように、確率を計算します。

それが上昇確率47.5%と下落確率52.5%です。


ちょっとした雑学


下落確率の方が大きくなります。

これはオプションを計算するブラック・ショールズ式にも取り入れられています。

r - 1/2σ^2 ってところです。

で、もうちょっと脱線すると、この部分は確率論の「伊藤のレンマ」と呼ばれる部分で、数学者の伊藤清氏の功績です。


本題に戻ります


本題に戻りましょう。

先ほどの例では、上昇より下落の方が確率が高くなりました。

それは先ほどの例に限ったことでなく、対数収益率を前提にすると期待値のまわりで下落の方が確率が高くなるのです。

だから前回の「複利を味方にしましょうって言うけれど・・・ できるんですか?」の例でいくと、期待値は2,000万円なんですけど、それが達成できる確率は50%じゃないってことです。


まとめ、のようなもの


株価の対数収益率が正規分布に従うという前提でのお話です。

あまり理論を前面に出して、頭でっかちになってもしょうがないのですが・・・

期待値を手に入れるのは意外に大変ですよ、というお話でした。(^^;

ブログ村:よろしければ一押しをお願いします。
にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
 
1188:

「下落の方が確率が高くなるのです」って?
なぜ?文系の私にはさっぱりわかりません!
とりあえず、利益を手にするのは意外に大変って
ことですね

2015.10.25 22:00 ともみ #- URL[EDIT]
1191:

※1188:ともみさん
そうです。利益を手にするのは意外に大変ってことです。ホントに大変です。(^^;
下落の方が確率が高いのは、対数収益率が正規分布するという仮定を置いているからそうなるんです。あくまで理論の上では・・・というお話です。

2015.10.25 23:11 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
1193:

こんばんは

期待値が予想できるならこの場合・・・
運用で2000万円になる見込みです。(期待値は33.9%です。)
と記載すれば親切ですね。
人によっては高確率でなると思いかねません。
台風予想も予想円に入る確率は70%ぐらいとか書いてありますね。

2015.10.26 18:19 yazirobe777 #- URL[EDIT]
1196:

※1193:yazirobe777さん
確率で考えるといいですよね。ウェブ記事では紙面の都合もあるんでしょうけど、提供される情報が偏っている気がします。

2015.10.26 20:34 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

管理者にだけ表示を許可する