「カウンターデモクラシー」という聞きなれない言葉

安全保障関連法案が成立しました。

法案の成立を受けて新聞社が論評したり、テレビでは与野党の議員をそろえてミニ討論を流したりしています。

今回は、民主主義を考えます。


カウンターデモクラシー


朝からテレビを見たり、ウェブ記事を読んだりしてダラダラしているのですが、そこで

ん?

と思う記事を見かけました。

「安保法賛否・デモの報道…新聞各紙、二極化する論調」という記事です。[外部記事]

そこで気になったのは、国会前のデモに対する論調についてです。

記事を引用します。(改行は私が入れました)

最大規模となった8月30日の国会周辺での反対デモ。朝日、毎日は翌31日付朝刊で1面2番手の扱いを含め3ページにわたり掲載。

朝日の長ゼネラルエディターは「カウンターデモクラシーの萌芽(ほうが)の動きとして注目すべき事象と判断した。しかし、「反対」だけに焦点をあてるのではなく、人々を街頭へと突き動かしたものはなにか、を考えるという視点から記事の構成を考え、紙面扱いを判断した」とした。


ここで私がひっかかったのは、「カウンターデモクラシー」という言葉です。


議会制民主主義は万能ではない?


「カウンターデモクラシー」とは聞きなれない言葉ですね。

調べたところ、ピエール・ロザンヴァロン(Pierre Rosanvallon)という人が唱えている概念のようです。ロザンヴァロン氏はフランス人の政治学者、社会学者、民主主義研究者で、朝日新聞がインタビュー記事を載せてます。[外部記事]

そこでロザンヴァロン氏は議会制民主主義の問題点を指摘してます。

国民を代表する議員が、国民の意見を正しく反映した議決を行っているのか、ポピュリズムに走ったりしていないか、少数派の意見はどうなんだ・・・と、古くからある議会制民主主義の弱点をあげています。

それはそれでいいのですが、ん・・・と思のが

「危機の代表制民主主義を、選挙以外の方法で支えなければ。」

というところです。

危機の?

選挙以外の方法?


政治は議会で起きてるんじゃない!?


最近気になるのが、野党の人々が使うロジックです。

強引に審議を打ち切っちゃダメです。
国会の外の声に耳を傾けてくださいよ。

と、まあこんな感じ。

国会前のデモの中心人物も、安倍首相に対して国会前のデモを見に来て欲しいと呼びかけてます。

う~ん・・・

国民の声は国会にあるんじゃない、デモの現場にあるんだ!

とでも言わんばかりのロジックです。

でもね、と。

デモの参加者って、どう贔屓目に見ても少数でしょう。

メディアが大きく取り上げるので声は大きいのですが、重要なのは声の大きさではなく、民意がどこにあるかですよね。

で、民意は、問題はあるにせよ選挙を通して議員に付託しているわけです。

少数の意見を、声が大きいからと言ってどのくらい取り入れるべきなのでしょう。


民意は?


国民の声の中心的な部分は、いまの世の中、集団的自衛権は必要、あるいは容認という考えでしょう。

必要あるいは容認の中には、「積極的な賛成」から「消極的な容認」まで幅広に含んでです。

だけど、身に迫った危機を感じているわけでもないので、まだもうちょっと議論してからでもいいんじゃない・・・ということで、今国会での成立には反対の人が多かったんだろうと思います。

必要だろうけど、いまじゃなくてもいい。

というのが、おおよその民意じゃないでしょうか。


カウンターデモクラシーの危険性


民意の最大公約数は、「必要だろうけど、いまじゃなくてもいい」というところにあるとします。

だとしたら、

政権与党は、可能な範囲で情報を開示して、「いま必要だ」ということを国民に納得させればよく、

法案に反対する党は、「必要でない」ということを国民に納得させればいいんだと思います。

で、必要でないなら、法案がなくても「現状のままでも日本の国防は大丈夫」ということも国民に納得させればいい。

そういう議論を行って、国民の理解を深めることが国会議員の仕事でしょう。

討論で理解を深め、妥協点を探り、なるべく多くの合意を得て、物事を決めて、先に進む。

そういった仕事を放棄している国会議員がいるのが残念です。

主権者としてひとこと、

国会議員の先生、ちゃんと働いて下さい。

日本国民のために。


まとめ、のようなもの


議会制民主主義は万能ではないでしょうし、ベストでもないと思っています。

でもね、と。

だからと言って、

国会外に国民の声があるのだから、その民意を政治に反映させよう

というカウンターデモクラシーの考え方は、下手をすると議会制民主主義の否定につながるんじゃないかと懸念してます。

多くの人の思いが反映されるのではなく、声の大きな意見が反映されやすくなるという点で。

仲間内の集まりとか、町内会やPTAとか、マンションの管理組合、会社・・・

声の大きい人に振り回されて困ったこと、ありませんか?

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974:

記事の趣旨に同意です。

カウンターデモクラシーなる言葉は初めて知りましたが、
極めて危険な発想だと思います。
極端な少数派に国全体の舵取りを左右されかねない。

私はどちらかと言えばリベラルだと自認していますけど、
今回の野党の対応には不満が大きいです。
(与党に賛成しているわけでもないですが)

2015.09.20 20:32 mushoku2006 #/EliecKQ URL[EDIT]
975:

こんばんは
安全保障関連が難解なのは細部にこだわりすぎて大枠を議論しないことだと思います。簡単にいえば同盟関係国を助けるか否かというところを決めれば良いのでは?(ケースケースを議論するとおそらく終わらないかと・・・) 実際同盟国が攻撃を受けて時支援しないで、いざ自国も危機の時に助けを求めるのはナンセンスでしょうね・・・(なぜ日英同盟が破棄されてか考えた方が良いかと思います。)


2015.09.20 21:06 yazirobe777 #- URL[EDIT]
976:

こんばんは。
声の大きい人に振り回されるのは、
ビッグボイスデモクラシー
ですね(笑)。
あと、誰の発言かが重視される場合もありますね。
新入りだと無視されるけど古参や実力者だと聞き入れられるとか。さしずめ
スペシフィックボイスデモクラシー
でしょうか(笑)。

2015.09.20 21:47 塩蔵 #- URL[EDIT]
977:

※974:mushoku2006さん
カウンターデモクラシーは結構あぶない考え方ですよね。声の大きな過激な人たちの影響力が増すのはいい事だとは思えませんね。野党は頑張る方向性を間違ってる気がします。

2015.09.20 22:57 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
978:

※975:yazirobe777さん
そうですね。憲法違反かどうかという入り口論かと思えば、細部にこだわった議論になったりで、どうもちぐはぐでした。
仰るようにポイントは同盟関係国を助けるか否かですね。そこに絞って立場を明確にした方が分かりやすかったと思います。

2015.09.20 23:02 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
979:

※976:塩蔵さん
声の大きい人に振り回されるビッグボイスデモクラシーは、身近にはありますけど、国は多数の人の英知を集めた普通のデモクラシーで運営して欲しいですね。(笑)
特定の人の意見が通るというのもありますね。声の大きな人、ごり押しの人、何らかの力を持った特定の人、などの影響力を抑えるための知恵が民主主義であり、多数決なんだと思います。

2015.09.20 23:08 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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