大企業の法人税について

ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という言葉があります。

ノブレス・オブリージュとは、高貴なものの責務という意味です。高貴なものとは社会の特権階級である貴族のことを指し、貴族がその高い地位を保てるのは、いざ戦争となったときに前線に立って領民を守るという責務を果たすからという考えです。

富と地位に恵まれた貴族には、それに応じた責務があるということですね。

ノブレス・オブリージュを経済界に当てはめて考えると、大企業は経済界における貴族みたいなものと考えていいでしょう。そこで今回は、大企業がノブレスとしての責務を果たしているか、ということをテーマにします。


企業の責務とは?


企業の責務はいくつかあるのですが、ひとつには納税があげられます。企業も社会の構成員ですから、納税は大切な社会貢献といえます。

さて、以前紹介した「税金を払わない巨大企業」という本や、ビジネスジャーナルのウェブでも、大企業は法人税が優遇されているという指摘があります。

実際、どうなの?

ということで、データに当たりました。使ったデータは「法人企業統計」です。金融保険業を除く全産業を集計対象にしました。


経常利益・特別利益・法人税等の状況


経常利益・特別利益・法人税等の推移を見ていきます。まず、全体の状況です。

税金を払わない巨大企業 投資家オンライン


これを規模別にみていきます。まずは資本金10億円以上の大企業です。

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経常利益や税引前当期利益の水準と、法人税等の水準を見比べてください。


次に資本金1億円から10億円の企業です。

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さらに続いて、資本金1千万から1億円の企業です。

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いまいちピンと来ませんね。


税負担率のトレンド


法人税の負担がどうなっているのかを見てみましょう。

まず、法人税等の額÷経常利益です。

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これをみると、税負担は右肩下がりです。特に資本金が10億円以上の大企業の負担率が低いことがわかります。

経常利益ではなく、特別損失、特別利益を考慮した税引前当期純利益を用いた場合は以下になります。

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結論


データを見たところ、次のことが言えます。

1. 大企業ほど税の負担が低い
2. 年々低くなっている

法人企業統計のデータを見る限りでは、大企業にノブレス・オブリージュを求めてもいいのではと感じますね。

一方で、上場している大企業ほど株主のプレッシャーが強いでしょうから、税金の負担はできるだけ圧縮したいはずです。コーポレートガバナンスが強まれば強まるほど、避税の圧力も強まる気がします。

株主や経営陣が利益の最大化を図るのはミクロ的には正しいのですが、マクロ的にはうまく回らないです。合成の誤謬です。

 
19:フタットタックス

企業の規模別に税負担を考えることは、課税の累進性についての議論だと思っています。(これがノブレス・オブリージュというとちょっと違う気もしますが。。。)

寄与度で考えれば 課税前の所得差→給与所得差→企業規模の差 となり、大企業への税率を高くすることは課税の累進性を高めることになります。
つまりご指摘の通りこの点では現状は逆累進性があります。

この逆累進性を生んでいるのは連結決算と研究費への控除ですから、この2点をどう考えるのかがポイントでしょう。

私はどうせなら決算が楽なようにフラットタックスにしてしまえば良いと思っていますが。

2015.01.11 07:45 よね #- URL[EDIT]
20:

※19:よねさん
フラットタックスもそうですが、控除のあり方も含めて税の簡素化の検討は必要な気がします。

あとは企業の社会的責任として、納税をどう考えるかですね。投資家の視点では「利益の」大きな企業がいいのですが、いち日本人としては「納税額の」大きな企業を称賛したいです。

2015.01.11 13:00 小黒とら #- URL[EDIT]

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