カバードコールの基礎知識

投資信託のなかでも、3階建て、4階建てと呼ばれるカバードコールを使った毎月分配型投信が人気です。

「カバードコール型に資金流入 金融派生商品で収益上乗せ期待」という記事がありました。[外部記事]

今回はカバードコール戦略について


ちょっとした誤解?


日経のタイトル「金融派生商品で収益上乗せ期待」にちょっと引っかかりました。

収益上乗せ期待・・・

あと、限定記事の中身に触れるのは気が引けるのですが、本文には「商品が複雑化することで収益の源泉が増えるというメリットがある半面、損失やコストの発生が増えるというデメリットもある。」ともありました。

損失(やコスト)の発生が増える・・・

世の中には、カバードコール戦略に否定的な人が多いと思います。その感覚は妥当だとは思いますが・・・

でもね、と

どこがどう問題なのか、どうして否定的なのか、ちょっと整理してみませんか?


オプション取引でぼったくられるケース


オプション取引には、定型的な金融商品として上場市場で取引されるものと、業者間で相対で取引されるものがあります。上場モノであれば価格の透明性が高いですし、相対でもプレーンなオプションは基本的にはプロ同士なら最良執行でやっているはずです。

ぼったくられている、抜かれているという懸念が生じるのは、非定型のエキゾチックオプションで、実質的なオプションの取引がプロとアマという関係の時です。具体的には、プロが組成した仕組債を個人投資家が買う場合です。仕組債の中身は複数の金融オプションの合成です。

仕組債を買うという行為は、プロを相手にオプション取引の相手方になるということです。この場合は、ぼったくりを気にした方がいいです。

過去記事「ノックイン型「仕組債」の価値評価 どれだけ抜かれているのか


普通のオプション取引


さて、カバードコールに話を戻します。

上場オプションや最良執行でオプションを組み入れている場合は、ひとまず、ぼったくられているとか抜かれているとかは考えないことにします。オプション・プレミアムを適切な値段で取引しているとしましょう。(この前提に引っかかる人がいるかもしれませんが、すみません、読み進めてください)

オプション・プレミアムの値段が適切であれば・・・

オプション取引の期待リターンはどうなるでしょう?


オプション取引の期待リターン


コールを売るにしても買うにしても、オプション取引で期待できるリターンは、リスクフリーレートです。

つまり、安全利子率。

オプション取引による期待リターンは安全利子率だから、オプション取引による「収益上乗せ期待」は、期待値ベースでは存在しません。

ただ、株式のコールを売って、株式が上昇しなければ、「結果として」、収益の上乗せが実現することはありますけど。

損失の発生も同様です。期待値ベースでは存在しません。

ただ、株式のコールを売って、株式が上昇してしまえば、「結果として」、権利の被行使による損失が実現することはあります。

整理すると
オプション単体の期待値はリスクフリーレート。収益の上乗せも、損失の発生も、どっちも見合うようになってます。


経済的には


オプション取引の期待値はリスクフリーレートなのに、なぜオプション取引をするのでしょう。

本来なら、オプション取引は相場観にもとづくものです。

原資産の方向性やボラティリティの上昇や低下を見込んで、収益狙いやリスクヘッジのためにオプションがあるのです。

また、オプションを売るならボラティリティの高いときに売るべきで、ボラティリティが低いときにオプションを売ると不利になります。

だから、機械的にオプションを売るカバードコール戦略は、経済合理性から考えると無意味です。私は、有利、不利に関係なく、オプションを機械的に売っちゃうという点に否定的です。


投資家の立場に立つなら


カバードコールについては、まあ、高い分配金を出すためのオプション取引だから、とか、投信のコストが高いから、という点で批判する人がいますが・・・

それはそれでいいんですが、投資家の視点に立つならば、

「相場で不利な時でも、機械的にオプションを売る仕組みだ。だから問題だ」

ということを前面に出してもいいんじゃないかなー、と思います。

というわけで、本文はここまでです。


おまけ (本来なら別の記事にすべきこと)


え?

言いたいことは理解できるけど、相場が不利かどうかは誰にもわからないだろ、ですって?

う~ん・・・

そういう考え方もいいと思います。大枠では無難な考え方ですから。

でもね、と。

将来はわからない、予測できない、将来は不確かだ。でも、コストはハッキリしている。で、この投信はコストが高い。だからダメ。

というフレームワークでなんでも斬っちゃうと、許容できるものがかなり狭い範囲に限定されちゃいませんか?

それじゃつまんないだろうなーと思うのです。

(コストをどの程度優先すべきかについて、あらためて書くかもしれません)

ともかく、今回の本題は、オプション取引の期待リターンはリスクフリーレートですよ、ってことでした。(^^;

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