フルヘッジ外債投資の考え方 為替と債券について

フルヘッジ外債をした場合の期待リターンはどう考えたらいいでしょうか、という質問をいただきました。

今回はフルヘッジ外債について順を追って考えていきましょう。


前提条件の整理


用語を具体的なものに置きかえます。

外国通貨は、米ドルとします。
短期金利は、1年物金利。(日本0%、米国0.5%)
長期金利は、10年国債の最終利回りとします。(日本1%、米国5%)
運用期間は、1年で、1年の為替フォワードを組むことで為替リスクをヘッジします。
運用対象は、米国の10年国債とします。

なお、米国の国債利回りは順イールドを想定し、1年0.5%と10年5%の関係から、9年物国債の最終利回りを4.5%と仮定します。また、イールドカーブの形状は1年を通して変化しないとします。

1年後、運用期間が終わったときの9年債利回りは4.5%です。

なんで、わざわざこういう仮定を置くかというと・・・

米国債の所有期間利回りに影響するからです。後ほど出てきます。

仮定を整理したところで、為替ヘッジの話に移りましょう。


為替ヘッジの話


いま1ドル=120円とします。

1年後のフォワード価格は、1年物の金利差を反映して119.40円に決まります。

さて、ここから少し込み入ってきます。

1. 直物為替レートで、円売り・ドル買いを実行
いま、直物が1ドル=120円なので、120万円を売って、1万ドルに替えます。

2. それと同時に、1年後にドルを売って・円に戻す場合のフォワードを組む
1年後、ドルを円に戻さないといけないので、その時のレートをいま決めます。それが、1年後のフォワード価格である119.40円です。

とりあえず、米国債券の投資の儲けを見込んで、10,800ドルでドル売り・円買いの予約を入れましょう。なぜ10,800ドルなのかは、後ほど判明します。

で、いま手元にあるのは、1の取引で手にした10,000ドルのキャッシュです。

ここまでで、為替の取引はひとまず終わりです。次に債券の投資に移りましょう。


債券の投資


いま手元にある10,000ドルで、米国債10年物を買いましょう。最終利回りは5%です。

米国10年債の最終利回りは5%なので、額面100、クーポン5ドルの債券としましょう。債券の単価は100ドルです。

いま、単価100ドルで、クーポン5ドルの10年債を買いました。

さて、1年間、その債券に投資した場合の所有期間利回りはどうなるでしょう。

まずクーポンの5ドル(5%)はインカム収入で取れますね。

でも、それだけではありません。

1年後、当初投資した債券は、残存9年の債券になります。で、1年後の9年債利回りは4.5%と仮定しました。

そうすると、1年後の債券価格は、103.63ドルになります。順イールドでのローリング効果、ショルダー効果です。その債券を売れば3.63ドル(3.63%)のキャピタルゲインがあるわけです。

というわけで、1年間のトータルリターンは、インカムの5%とキャピタルの3.63%で、8.63%になります。

10,000ドルの投資に対して、1年後の出来上がりは10,863.44ドルです。(もちろん仮定通りに行ったらですけど)

それを見越して、為替のヘッジ取引を10,800ドルにしたわけです。


さて、清算


投資の終わった1年後です。

債券投資の出来上がりは、10,863.44ドルでした。

で、1年前の為替ヘッジ取引で、10,800ドルを119.40円で売っていました。となると、いま手元にある10,863.44ドルのうち、10,800ドルは119.40円で円に替えます。

残り63.44ドルは、ヘッジでカバーしきれていない分なので、直物の為替レートで円転します。円高に振れて115円だとしましょう。63.44ドルを115円で円に替えます。

そうすると・・・

10,800×119.40+63.44×115.00=1,296,816円です。

当初の120万円に対しては、8.07%のリターンです。


まとめ、のようなもの


ざっくり言うとこんな感じです。

フルヘッジ外債

このうち①は直物為替取引、③はフォワード為替取引(と、カバーしきれない一部は直物取引)です。

②は債券運用で、1年かけて運用します。

で、円ベースとドルベースのリターン差が0.57%ほどあるのですが、それはヘッジコスト0.5%です。(ピッタンコ0.5%になるわけではありません)

というわけで、期待リターンは

円ベースで8.07%です。それは、ドルベースの債券リターンから、為替ヘッジコストを控除したものになります。


おまけ、のようなもの


日本の場合はイールドカーブがつぶれているので、長期債券に投資するメリットが薄れてますね。

為替のヘッジコストが安くて、長短スプレッドが大きくてイールドカーブが立っている国があれば、フルヘッジ外債も検討の余地ありでしょう。

ちょっと長めで、込み入った内容でした。

最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。(^^)

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765:

>円高に振れて115円だとしましょう。

これは10年金利の差(日本1%と米国5%)の4%相当分、円高になるということでしょうか。

2015.08.05 20:42 #- URL[EDIT]
766:

※765:-さん
いいえ。そういう意味ではありません。
たまたま115円としただけで、120円でも125円でもかまわないです。115円に特に意味はありません。分かりにくい説明ですみません。

追加で説明します。

金利差と為替ヘッジの関係について
1. 金利差は、為替ヘッジのコストに反映されます。
2. それは為替ヘッジを行う期間に相当する金利差です。
3. 例では1年物金利の差、0.5%がヘッジコストです。
4. 10年物金利の差は、為替のヘッジコストには影響しません。

また、10年金利の差である4%と、直物為替の動きには直接の関係はありません。

2015.08.05 21:08 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
767:

こんばんは
為替ヘッジは良く聞くのですが深く考えたことがありませんでした。
円安傾向が続くと考えればノーヘッジで良いのですが、
先は分からないので組み合わせも考慮した方が良いのでしょうね。

2015.08.05 23:36 yazirobe777 #- URL[EDIT]
768:

※767:yazirobe777さん
そうですね。円安に賭けるなら為替はヘッジしないのがいいですし、為替のリスクは取りたくないけど外国債券の方が長短スプレッドが大きくて魅力的ならヘッジ付き外債と、組み合わせて考えるのがいいでしょうね。

2015.08.06 19:53 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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