インフレとGDPと労働力の関係

今回は、インフレよりはデフレを懸念しましょうという話です。

世の中にはハイパーインフレを煽る人がいます。日本の借金が大きすぎて、このままではもたない。いずれは財政が破綻する。日本の財政が破綻したら国債は紙くずとなって円は暴落して、通貨の価値がなくなるのでハイパーインフレがやってくる。こういう説です。

インフレになったとき、個人の金融資産をどうしたらいいのか。

パーソナルファイナンスで悩むところです。そこで今回はインフレについて書きます。

今回は通常のインフレについてです。ハイパーインフレはまた別の時に書こうと思いますが、ハイパーインフレは起きないというのが私の意見です。国全体でみれば資産超過だからです。[参考:国の借金1177兆円で、国がつぶれる?]
それに、過去に起きたハイパーインフレは供給力が大きく損なわれたことが原因だからです。

物価に関する考え方は金融リテラシーの中でも大切なのですが、なんとなくわかりづらいものです。


物価は売りたい人と買いたい人の力関係


物価の決定要因は複雑ですし、経済学の授業のような話はつまらないのでやめます。

ポイントとしては、モノの値段は、売りたい人と買いたい人の力関係で決まるということです。高度成長期はモノが足りない世の中でしたが、バブルが終わってからはモノがあふれている世の中です。

正確にいうと、バブル後というよりは「冷戦の終結後」というべきですね。

冷戦が終結したのがいつかについては、1989年のベルリンの壁崩壊、米ソのマルタ会談をもって、冷戦の終結とすることが多いようです。

ともかく冷戦が終わってからは、グローバルに世界経済が市場化していったのです。それまで国内で作っていたものでも、物流を含めて世界中の中で最も安いところから材料を仕入れて、最も安く作れるところで作り、高く多く売れるところで売るようになりました。

グローバルな体制ができたとことで、低コストでものを大量に作って、大量に供給することが可能になったのです。もちろん、IT技術の進歩もそれに拍車をかけました。

供給力は大きく増えたのです。

一方で、日本だけではないのですが、ほとんどの先進国は少子高齢化の悩みを抱えています。先進国は成熟した社会なのでそれほど需要は増えません。

供給力は大きく増えたのに、需要はそれほどは増えないという状況です。

モノがあっても買いたい人が少ないという状況なので物価は上がりません。先進国は低インフレですし、日本の場合はデフレでした。


日本の場合


日本の場合は成熟社会だから、もう十分にモノは持っているので需要が盛り上がらないのです。

それに加えて購買力の低下もあります。

少し前の記事で「就業者数(労働力)とGDPの関係」をみました。1990年代から労働投入量が頭打ちになっていることでGDPも頭打ちになっていることを紹介しました。

今回は、物価指数(CPI総合)を、労働力とGDPの点からみてみます。

まず労働力(就業者数)です。

インフレ 投資家オンライ

就業者数の推移とCPIの推移が似ていることがわかります。低インフレと就業者数の頭打ちには相関関係があります。変化率でみても高い相関を示します。


次にGDPです。

インフレ 投資家オンライ

GDPとCPIの推移も同様です。

1990年代からは、冷戦の終結でグローバルなサプライチェーンができたことで、世界的に供給量が増えました。IT技術の発展や中国の台頭もあります。

1990年代からは、日本では就業者数が頭打ちとなる時期に重なりました。就業者数が頭打ちになれば、マクロでみて購買力もおおむね頭打ちとなります。

需給のギャップが日本では特に大きかったのでデフレとなっていたのです。


日銀の目標


日銀の目標インフレ率は、年2%です。コア指数でみるのか、総合指数でみるのかは、今回は置いておきます。

インフレ 投資家オンライ

縦軸(Y軸)はCPI総合の上昇率、横軸(X軸)はGDP成長率です。ともに1980年から2013年までの年間の変化率です。

CPI上昇率、つまりインフレ率を被説明変数、GDP成長率を説明変数として単回帰分析すると

Y = 0.31x という関係になります。(係数のt値は7.09で有意)

インフレ率2%は、GDP成長率6.3%に相当します。

逆に考えると、GDPが高い成長のときでないと、高いインフレ率にはならないのです。そして、GDPの成長率は、就業者の数と関係があるのです。


まとめ


1990年代から冷戦の終結、グローバルなサプライチェーンの構築、IT技術の発展、中国の台頭などにより、安価で大量にモノが供給できるようになりました。

それに加えて、日本では1990年代から就業者数の頭打ちを迎えて、マクロ的にも需要の頭打ちが見られます。

そのため日本ではデフレ気味でした。

インフレ率とGDP成長率は高い相関性があります。

この先、日本ではそれほど高い経済成長は見込めないでしょう。その点では、長期的にインフレで苦しむという状況にはなりにくいとみています。

私はインフレをこのように見ていますので、この先の10年を見込んだ場合は、インフレの高まりよりはデフレへの逆戻りの方がリスクとしては高いとみています。

 

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