なぜ貯蓄するのですか?

今回は「みんなが貯蓄についてどう考えているか」についてです。

パーソナルファイナンスの最大の関心事は、個人や家計の金融資産と負債をどう管理していくかです。その際、多くの人がどう考えているのかを知ることは参考になります。

私の年代なら普通はどのくらいの貯金があるか、とか、他の人は老後に備えてどのくらい貯めるのか、というのも他の人を基準にして自分の考えを決めようとすることの表れですね。

今回は、どれくらい・・・という貯蓄の額ではなく、なぜ貯蓄をするのか、何のために金融資産を保有するのかを取り上げます。


家計の金融行動に関する世論調査


これから貼っていく図表のデータは、2014年の「家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)のサイトにあるエクセルファイルを加工したものです。

アンケートにおける「金融資産」とは、預貯金などの金融商品のことで不動産は含みません。

興味深いのは「あなたのご家庭では、どのような目的で金融資産を保有していますか。」という質問への回答です。

金融資産のほとんどは預貯金ですから、上の質問は、「何のために貯蓄しているのですか」とほぼ同義です。

回答は複数選択制で
1. 病気や不時の災害のときに備えるため。
2. こどもの教育資金にあてるため。
3. こどもの結婚資金にあてるため。
4. 住宅(土地を含む)の取得または増改築などの資金にあてるため。
5. 老後の生活資金にあてるため。
6. 耐久消費財(自動車、家具、家電等)の購入資金にあてるため。
7. 旅行、レジャーの資金にあてるため。
8. 納税資金にあてるため。
9. 遺産として子孫に残してやりたいから。
10. とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心なため。
11. その他

11もあると、多くてわかりにくいので、5項目に再集計します。
「不測の備え」(1,10)
「老後の備え」(5)
「子供のため」(2,3)
「住宅購入のため」(4)
「消費のため」(6,7)


時系列の傾向は少子高齢化を反映


貯蓄の一番の目的は「不測の備え」です。病気やけが、失業といった何かあった時のために取っておくというお金です。不動の一位なのですが、面白いのはコンスタントに右肩下がりなことです。

家計の金融行動に関する世論調査 投資家オンライン


それに対して、右肩上がりの項目があります。それは「老後の備え」です。老後の生活費のためという回答が増えるのに反して、「子供のため」という回答は減っていきます。

家計の金融行動に関する世論調査 投資家オンライン

ここまでの結果を考えると、不測の事態に備えてという回答が減っているのは、既にリタイアした人が増えて、働けないことがリスクではない悠々自適な人が多いからかなと想像できます。

また、老後の生活費のためという回答が伸びているのに対して、子供のためという回答が減っているのは、社会保障に対する不安感と少子化(子供のいない世帯の増加)の表れでしょう。1990年代から回答数が逆転しているのが時代の流れを感じさせます。

1960年代の人は、「老後をそれほど心配せず、子供のために貯蓄していた」ということですね。そういう時代がいいなあと思うのは懐古主義すぎるでしょうか。


消費不況も見て取れます


少子高齢化の他にも興味深い傾向がわかります。

家計の金融行動に関する世論調査 投資家オンライン

将来に住宅を買おうとして貯蓄する割合が減って、耐久消費財の購入や旅行などに使うために貯蓄する割合が増えています。これも1990年から逆転しています。

これは私の推測なのですが、耐久消費財のために貯蓄しているというのは、いまは買う当てがないけれど、将来いいものが出てきたら買うかもしれないといった感覚で貯蓄しているのではないかと思われます。

昔なら、明確に買いたいものがあるから(たとえば自動車)、それを買うために貯めていくという行動だったのが、いまは、買いたいものが出てきたら、とか、行きたい旅行先があれば、そのとき使うといったように、支出先が不明確なままの準備資金になっている気がします。

住宅については、一人っ子であれば親の家を継げますし、兄弟が少なければ親の援助も大きく受けられるでしょう。それに、アンケートに答える人々の中に、これから家を買おうとする世代が少なくなっていることもあるかもしれません。


まとめ、のようなもの


なぜ貯蓄をするのかのアンケート結果は興味深いものです。
老後の生活資金という回答がコンスタントに増えています。
少しこじつけかもしれませんが、アンケートの時系列推移からは、少子高齢化、消費の低迷が見える気がします。

老後をそれほど心配せず、子供のために貯蓄する、そういう1960年代、70年代の日本っていいと思うのです。

最後は懐古主義になってしまいました。

 
13:グラフの縦軸

こんにちは。
興味深いデータですが、グラフの縦軸の単位はなんですか?

2015.01.06 20:34 にゃんこ #- URL[EDIT]
14:

※13:にゃんこさん
コメントありがとうございます。

縦軸は得票率(%)です。たとえば、不足に備えてのグラフでは、2014年で、「1.病気や不時の災害への備え」を選んだ人は100人中64.0人。「10.とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心なため」を選んだ人は100人中21.1人。あわせて85.1となります。

3つまでの複数選択が可能なアンケートなので、2つを合わせた数が100を超えることもあります。

2015.01.06 20:49 小黒とら #- URL[EDIT]

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