「投信の7割、市場平均に負ける」は、ミスリードでは?

今日の日経ウェブ記事に「真相深層 投信の7割、市場平均に負ける /緩和マネーが経験則覆す 食品・銀行株…新たな連動」という記事がありました。[外部記事]

カギ付きの記事なのであまり詳細には触れませんが・・・

今回は「アクティブ投信vsインデックス投信」を、ちょっと角度を変えてやってみます。


さて、日経の記事


さて、今回の日経の記事ですが、カギの付いていない部分を引用すると

市場の「常識」が崩れつつある。日経平均株価は2万円台に駆け上がったのに、投資のプロであるファンドマネジャーは運用成績を伸ばせていない。7割の投資信託で運用成績が市場平均を下回るという異常事態だ。


とあります。

さて、どうでしょう。

なんだ、プロだって勝てないんだ。しかも7割も。ダメじゃん。異常事態、はぁ?なにそれ?

と思いますよね。

カギ付きの部分にあった内容ですが、日本株を投資対象とする公募投信580本(インデックス型を除く)で集計した結果、TOPIXの値動きを上回ったのは170本にすぎないという結果です。

170/580 = 29.3%

7割はTOPIXに負けているということです。

なお、引用文には「運用成績が市場平均を下回る」とありましたが、私はより正確な表現として、TOPIXに負けている(TOPIXのリターンを下回る)という表現を使います 。


アクティブファンドに投資したところで


さて、7割はTOPIXに負けているという結果をどう考えたらいいでしょうか。

アクティブファンドに投資したところで7割はTOPIXを下回るのだから、アクティブファンドに投資するのは賢い選択とはいえない。

インデックスファンドの方がいい。

そう思いませんか。

では、インデックスファンドはどうでしょう。


比較検討


日経の記事は、アクティブファンド580本のうち、TOPIXを上回ったのは170本だと書かれています。

まず、それを調べました。

データはモーニングスターのサイトから取りました。

ファンド検索の機能で「国内株式型」に属する投信で、インデックスファンドは除き、DCファンドとSMA専用は含めました。

集計対象は、612本ありました。日経記事と同じくらいですね。そのうち、2015年5月末を基点に過去1年のトータルリターンを集計します。

その結果、TOPIX(配当込み)の41.92%を上回ったのは、180本ありました。

180/612 = 29.4%

日経の記事とほぼ同じ結果です。勝ったのは3割、負けたのは7割です。

さて、ここまでは日経の追試です。

次からがインデックスファンドです。


インデックスファンドの勝率は


同じ集計をインデックスファンドでやりました。

集計対象は59本です。上場投信、ETFは除いています。日経平均のインデックスファンドも対象外です。TOPIXのインデックスファンドだけを対象にしました。

TOPIX(配当込み)の41.92%を上回ったのは、59本のうち、0本です。

勝率ゼロです。

59ファンドの単純平均リターンは、41.26%(最大41.75%、最小40.73%)でした。


まとめ、のようなもの


アクティブ投信で、TOPIXを上回ったのは3割
インデックス投信で、TOPIXを上回ったのは0

この比率を見ると、アクティブ投信は健闘していると言えませんか?

仮に、TOPIXのリターンが市場平均だとして、そうすると・・・

「すべてのインデックスファンドが、市場平均に負けた」

ってことですね。

実際のファンドと指数を比較するのは、それだけファンドにとって不利ってことです。

もちろん、そういうハンディキャップを負っても勝つのがアクティブ投信だ!という考え方もありです。ただ、取引コストや信託報酬やキャッシュドラッグの影響のあるファンドと、そういったものの影響のない指数との比較は、アクティブ、インデックス問わず、頭の片隅に入れておいてもいいのかなと思います。

ちなみに、TOPIXのインデックスファンドは、モーニングスターでは「国内大型ブレンド」というカテゴリーです。そのカテゴリーで集計すると以下のようになりました。

TOPIX(配当込み)指数:41.92%
TOPIX連動インデックスファンド:平均41.26%(最大41.75%、最小40.73%)
カテゴリーのアクティブファンド:平均41.60%(最大76.39%、最小3.36%)

日経の記事に話を戻すと、7割という数字をことさら気にしなくてもいいでしょうというのが結論です。「異常事態」という表現は筆が走りすぎです。

今回もちょっと長めでした。(^^;

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603:

勝った負けたの数字だけで比べるからミスリードになるんでしょうね。

インデックスファンドなどの指数にトラックするものの場合は、トラッキングエラーを除くと手数料分だけ指数に負けますが分布で考えると指数の少し下あたりにかたまっているはずです。

それに対してアクティブファンドの場合は、指数の上下に広く分布していると思います。

2015.07.04 17:52 Tansney Gohn #SNAM66t2 URL[EDIT]
605:

※603:Tansney Gohnさん
おっしゃるような分布になってます。
勝った負けたの数字だけで比べるからミスリードになるという指摘も、その通りだと思います。

2015.07.04 21:05 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
607:

インデックス派にしろアクティブ派にしろ、投資信託を実際に保有し運用している投資家は今回の日経の記事を眉唾で見ていると思いますが、私が知っている日本株のみで運用している人たちの多くは結構ミスリードされています。
投資信託を買うと絶対に損をするぐらいに思っている人も少なくありません。
全くの理解不足なだけで、それで特にこちらに実害がある訳ではありませんが、自分の不得意な分野についてもっともらしく書かれていると、人は簡単に信じ込んでしまうものなんだなぁ…と感じています。

2015.07.04 22:10 ニャーゴ #- URL[EDIT]
610:

※607:ニャーゴさん
投資信託のメリット、デメリットや、アクティブとインデックスの比較が、歪められて伝わってると感じるときがあります。
「自分の不得意な分野についてもっともらしく書かれていると、人は簡単に信じ込んでしまう」というのは同感です。

2015.07.05 13:33 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
613:

発信するほうからすれば、自分の都合のよいことばかり言いますから。検証、お疲れさまでした。

私としては、勝ち負けなんてどうでもいいと思っています。
自分が良いと思う手法を検討し、それを決めればいいとも。
そして、儲からない投資は、投資の意味が薄いとも。

FPも金融機関も、自分のメリットとなる意見しか発信しませんからね。特にシミュレーションなんて、都合のよい時期でやれば、自分の意図した結果なぞ簡単にできますし。

今回の記事は、非常に参考になりました。

2015.07.05 18:05 煙々 #- URL[EDIT]
614:

※613:煙々さん
そうですね。自分がいいと思う手法を確立するのが大事ですね。それに「儲からない投資は、投資の意味が薄い」に同感です。
FPや金融機関の発信する情報を吟味できる目が必要ですね。

2015.07.05 20:00 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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