続編 「税金を払わない巨大企業」について

前回の記事「ソフトバンクは法人税を5百万円しか払っていない」について、言葉足らずだったかもしれません。追加で書きます。

書評でも指摘されているのですが、持ち株会社の形態を取っている場合の持ち株会社の納税額は、少なくなるのは当然です。法人税を5百万円しか払っていないソフトバンクも持ち株会社です。

「ソフトバンクは法人税を5百万円しか払っていない」というのは事実としては正しいのですが、ミスリードする表現でした。その点について、本に数値データが載っているケースで説明します。

実効税負担率の低いNo1は法人税を3百万しか払っていない「三井住友FG」です。
ですが、持ち株会社の傘下の事業会社である「三井住友銀行」は、2000億円ほどの法人税を納めています。三井住友銀行の実効税負担率は31.5%です。


この本の本質的な部分は1


本の帯にソフトバンクとユニクロの納税額が出ています。私はあまり考えずに本の帯の内容を使って記事のタイトルを決めたのですが、よく考えたらミスリードを招きかねないタイトルでした。軽率でした。

さて、この本の本質的な部分ですが、それはソフトバンクやユニクロ(ファーストリテイリング)といった個別企業の納税額がどうということよりも、大企業を優遇する法人税の仕組みを説明している点です。

例をあげるとタックスヘイブンや、タックスシェルターの利用、法人税率の低い国に子会社を作っての利益・配当の操作などです。

本の筆者である富岡氏が指摘している点で、私が重要だと思うのはp91の「資本金階級別法人税平均実効負担率」の表とグラフです。資本金が100億円を超える企業の負担率が低いことが示されています。

この本のポイントは、グローバルな節税(避税)対策を取れる大企業に対しては、課税当局は税の捕捉があまりできないということです。グローバルなスキームに対する個別国の法整備の不備が問題です。


この本の本質的な部分は2


「税金を払わない巨大企業」という本は、グローバルな時代の法人税制の遅れを指摘した本です。

直接税(法人税や個人所得税)の捕捉がしにくくなり、その分、間接税(一般消費税)に課税の主眼が置かれることについて、富岡氏は問題だといっています。

直接税で応能負担が望ましいのか、消費税で応益負担が望ましいのかは論争が分かれるところでしょう。私は両者のバランスが必要だと思っていますし、なにより、負担できる人(法人・個人とも)がきちんと負担することが大事だと思っています。

応能負担の捕捉率が低く、消費税に過度な負担がかかると富の偏在に拍車がかかります。富が偏在すると、富の少ない人の消費は抑制的になりますので、それは経済強者(大企業や富裕層)にとっても長い目で見ればマイナスですね。

 

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