インデックスファンドの落とし穴 2

インデックスファンドの落とし穴の続きです。長いので2つのエントリーに分けました。

いきなりこちらに来た人は前回記事「インデックス投信の落とし穴」を先にご覧ください。

今回はインデックスファンドの考え方の続きです。


さて、何が起きるか


CAPMの世界では、みんなが同じ予想、みんなが同じ行動様式で、市場が完全で情報効率的であるという前提です。

それで最終的に何が起きるかです。

それは・・・

みんなが同じポートフォリオを持つ

という結論になります。

私にとっては、この結論は驚きでした。投資理論を学んだ時、へ?と思ったものです。

みんなが持つことになるポートフォリオは、世の中にあるすべてのリスク資産を、その時価ウェイトで縮小コピーしたものです。それを投資金額に応じて持つことになります。

お金が少ない人は金太郎飴を1切れ、お金持ちは金太郎飴を10本といった感じです。

そして、ここが重要なのですが、みんなが最終的に持つことになるポートフォリオが、CAPMの「市場ポートフォリオ」なのです。

みんなが同じ期待で、情報効率な市場が成り立つくらいの完ぺきな投資家なら、そりゃ、最終的には、みんなが同じものを同じウェイトで持つようになるよね・・・

だって、それがシャープレシオ最大のポートフォリオだから。

と思えるようになったのは、CAPMを知ってしばらくしてからでした。


市場ポートフォリオと市場のインデックス


CAPMの市場ポートフォリオは、あくまで概念上の存在です。

実際のところ、その市場ポートフォリオの縮小コピーを作ることはできません。だから、市場ポートフォリオに対するパッシブ運用というのは存在しないわけです。

では、どうするか。

日本ならTOPIXを市場ポートフォリオの「代替」とみなして、TOPIXにトラックする運用としてインデックス運用があり、TOPIXに対するパッシブ運用を行っています。

ここで少し整理すると
理論上、CAPMの市場ポートフォリオはシャープレシオが最大です。だから、誰も、それ以上のシャープレシオは恒常的には叩き出せません。

しかし、TOPIXにしても、米国のS&P500にしても、その他のいかなる指数についても、その指数を構成するポートフォリオは、理論的にも、実証的にも、シャープレシオが最大であると示されたものではありません。

TOPIXなどは、リスク・リターンのバランスとして最適なポートフォリオとは限らないのです。だからスマートベータが出てきてるのでしょう。


つまり、何が言いたいか


ここまで延々と述べてきましたが、ポイントはシンプルです。

インデックスファンドのポートフォリオが、事前の概念でも事後の概念でも、シャープレシオが最大になるポートフォリオとは限らないということです。

TOPIXでもなんでも、最適なポートフォリオでない可能性が高いのです。だから、「インデックス投信が必ずしも優れているわけではない」というのが私の考えなのです。

インデックス投信にケチをつけるつもりはありません。実際、下手なアクティブ投信よりは、手堅いインデックス投信の方がいいですから。

ただ、インデックス投資を上回るアクティブ投信が存在する余地はあるのです。インデックス投信がシャープレシオが最大となるポートフォリオとは限らないからです。

インデックス運用を推奨する人の中は、インデックスファンドが最適なポートフォリオだからアクティブファンドは勝てないと思っている人がいるので、それには要注意です。

ということで、今回はインデックス投信の落とし穴についてでした。

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307:

もう面倒くさいから金太郎飴下さい!と言いたくなりますが、売ってないんですね。インデックス投資も大変だ。

2015.05.18 19:03 さいもん #- URL[EDIT]
308:

※307:さいもんさん
金太郎飴があればそれがいいんですけどね・・・

2015.05.19 09:59 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
310:

市場を完璧に反映させたインデックスファンドは無いから、真のインデックスファンドではなくて、疑似インデックス。
あるいは、インデックスという名のアクティブファンドと言ってもいいのかな。

仕方が無いので、信託報酬の安いアクティブファンドと思って、インデックスファンドでも買っておきますか^^



2015.05.19 17:59 いろいろでセカンドライフ #- URL[EDIT]
312:

※310:いろいろでセカンドライフさん
そうですね。市場ポートフォリオに対しては、どんなインデックスファンドもアクティブになりますね。
信託報酬の安いアクティブファンドという考え方はいいですね。発想が柔軟ですねー。

2015.05.19 19:35 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
313:

インデックスに連動させていれば真のインデックスファンドであり、無いのは「真のマーケットポートフォリオ」でしょう。

インデックスにもバリューインデックスやセクターインデックスや単純株価平均などいろいろなものがあり、インデックス≠マーケットポートフォリオです。

2015.05.20 07:08 吊られた男 #zdvXpt9s URL[EDIT]
315:

※313:吊られた男さん
「インデックス≠マーケットポートフォリオ」には同意します。前回212のエントリーにいただいたコメント「インデックス投資≒マーケットポートフォリオ」は議論の余地ありですね。ノットイコールとニアリーイコールでは、全く別ですから。

インデックスファンドの優位性を推す人は多いですし、その論法もさまざまです。CAPMのようなMPTに基づく論法もあれば、山崎元氏の11人のファンドマネージャーを想定した負けない戦略論のような論法もあります。おそらく吊られた男さんの考えは、山崎元氏の論法に近いと思います。(違っていたらすみません)

山崎元氏の論法はCAPMも効率的な市場仮説も、極端な仮説に基づくと言っているのですが、実は、山崎氏の11人の平均値の論法も、同じように極端な前提(仮説)に基づく論なのです。(おわかりだとは思いますが、念のため)
山崎氏の論は、前提が正しければ結論も正しいと言えるのですが、前提が正しいか、現実的な前提かは、批判的な目で検証を加える必要があります。

つまり、インデックスファンドの優位性は、どのような論法を取るにしても、それは誰もが納得できる「理論的な帰結」ではなく、検証不可能な仮説に基づく「信念」だということです。

長くなりましたが・・・

2015.05.20 12:59 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
327:

全く別ではなく厳密な定義の話と考えています。CAPMの世界でも出てきますが真のマーケットポートフォリオを「代替マーケットポートフォリオ」としてのインデックスファンドという話です。(代替なのでノットイコールでありニアリーイコール)

>おそらく吊られた男さんの考えは、山崎元氏の論法に近いと思います。

マルキール氏やボーグル氏の帰納法的な論法が私の考えに近いです。


>どのような論法を取るにしても、それは誰もが納得できる「理論的な帰結」ではなく、
>検証不可能な仮説に基づく「信念」だということです。

インデックスファンドに関する論者として代表的なのは、マルキール氏、エリス氏、ボーグル氏の3氏ですが彼らの主張はどうでしょうか。
彼らの主張が支持されてのインデックス投資の広がりました。それに対する他の学者やアクティブ側からの反論も山のようにあり、またそれへの反論などもあり・・・と世界的に偉い学者からトレーダーから含めて長年多数議論されてきています。
Goolge検索で「filetype:pdf index Investment」のように調べたりすると多くの論文等が出てきて非常に有用な実証研究がされています。また、インデックス投資の大御所たちが否定しているようなテクニカル分析等についても同じようにtechnical analysisなどで置き換えて検索すると多数研究が見つかります。
山崎氏や他の方も何かを言ってるとは思いますが、世界的なインデックス投資の議論の中では端っこの端っこです。インデックスファンドやインデックス投資の有効性云々の話をするならその議論に着目しないといけないんじゃないか、と思ったり。

2015.05.21 23:37 吊られた男 #zdvXpt9s URL[EDIT]
330:

ニアリーイコールはノットイコールに含まれますので、その意味では「全く別」というのは誤解を与えやすい表現でした。すみません。ポイントは、CAPMのマーケットポートフォリオは概念の世界でしか存在しないということです。その上で、「代替マーケットポートフォリオ」としてのインデックスファンドをどう考えるかです。

インデックスファンドは、どのくらいマーケットポートフォリオを代替しているのか?

実りある議論のためには、まず
1. インデックスファンドは、マーケットポートフォリオではない(≠)
2. インデックスファンドは、マーケットポートフォリオではないが、ほぼマーケットポートフォリオである(≒)
の、どちらの立場なのかを明確にしないといけないですね。

私は、1です。

学術論文で議論が百出しても、いまだに結論が出ない一つの理由は、議論の土台の共有が難しいからです。

限定的な事象を集めてきて、一般化した結論を導く際の弱点です。

集める事象によって結論が動くので、長年多数議論されているわけです。だから、私は、インデックスファンドの優位性は、誰もが納得できる「理論的な帰結」ではないと述べているのです。

帰納的アプローチの場合、
数学的帰納法なら、結論は議論の余地はありません。しかし、株式市場を対象にした場合、数学的帰納法は使えません。株式市場の分析は、たくさんの可能性がある事象の、一部しか網羅していない「不完全帰納法」にならざるを得ないのですが、その場合は、帰納的な事象の取り方によって結論が異なってきます。そこが問題です。

マルキール氏、エリス氏、ボーグル氏の3氏ですが、彼らのアプローチも不完全帰納法です。

当然のことながら、結論を受け入れるときは、限定的な事象を集めたうえでの結論になっている、ということを忘れてはいけませんね。

「インデックスファンドやインデックス投資の有効性云々の話をするならその議論に着目しないといけない」というご指摘は、結論もそうですし、分析に使用したデータセット、仮説検定の枠組みも含めたうえでの、議論ということでしょうね。

2015.05.22 10:47 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
331:

現実を観測する以上、誰もが納得する論理的な回答は難しいですね。
重力の存在などもすべては観測された自然科学から得られた仮説ですし……
個人的には実在世界の現象で誰もが納得できて論理的に完璧に正しいというものは存在し得ない(ポパーの反証主義的立場に近い)と思っていますので、現時点では最も確からしい仮説でそれなりに筋が通っているものが科学や常識になるのかな、と思ってます。

2015.05.23 07:42 吊られた男 #zdvXpt9s URL[EDIT]
332:

※331:吊られた男さん
そうですね。哲学的な領域に入ってきてますね。(^^)
私としては、「最も確からしい仮説でそれなりに筋が通っているもの」のなかで、「仮説が実験や観測データで常に確かめられるもの」が、科学たりえると考えています。

ちなみに、現時点では、私はインデックスファンドは、優位性があるともないとも言えないと思っています。だから、科学や理論の領域ではなく、信念の領域だととらえています。

信念を持ってインデックス投資することは、信念なくアクティブ投資するよりいいとも思っています。

2015.05.23 10:33 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
333:管理人のみ閲覧できます

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2015.05.23 18:30 # [EDIT]
334:

※333のコメントをくださった方へ
情報提供ありがとうございます。承知しました。

2015.05.23 19:53 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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