日本は常に景気が悪い 日本のマクロ経済について

今回は日本のマクロ経済と株価の関係についてです。

80年代のバブルが終わって、90年からは常に景気は悪いと言われています。失われた10年とか、失われた20年とか称されるように「日本の景気は常に悪い」というのが定番になっています。

日経平均株価は数年前は10,000円を下回っていたのですが、いまやアベノミクスやクロダノミクスの恩恵で20,000円に迫ろうかとしています。そのような状況にもかかわらず、景気がいいという声は、少なくとも新聞やテレビのメディアでは聞こえてきません。

円高になれば円高不況といい、デフレは経済を縮小させるといい、円安になればなったで輸入インフレで物価高を懸念し、デフレ脱却のためのリフレ策はハイパーインフレを招く劇薬だといいます。

新聞やテレビは、常に悲観バイアスがあるようです。おそらくそのバイアスは、高度成長期やバブル経済への郷愁から来ているのかもしれません。

いまの日本は、名目でプラス1%の成長ができれば良しとしないと、いつまでたっても不況、不況といい続けることになります。


日本のGDPの構造的な変化


日本の経済は90年から大きく構造変化しています。当時の大蔵省の総量規制がバブル経済の終焉の引き金を引きましたが、遅かれ早かれ日本の高度成長期は終わっていたのです。

日本のGDP 投資家オンライン

上の図は日本の名目GDPと就業者数の推移を見たものです。

経済の成長は、「資本」と「労働力」と「労働生産性」の兼ね合いで決まります。日本の高度成長期からバブル経済までは、就業者数の増加、つまり労働力の寄与がGDPの成長に大きく関係していました。

90年以降、就業者数の頭打ちがみられ、GDPの水準も頭打ちです。


以下の図はGDP成長率と就業者数の増加率です。

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縦軸(Y軸)は名目GDPの成長率。横軸(X軸)は就業者数の増加率です。

回帰分析をすると、y = 2.71x という結果です。図には表記していませんが、係数のt値は7.03なので十分に有意です。

回帰分析の結果からは「就業者の1%増加は、GDPの2.71%増加に対応する」ことがわかります。ただ、注意しなければいけないのは、回帰分析はあくまで関連性(相関性)を示すもので、因果関係を示すものではないということです。

1. 就業者数が増えるから → GDPが増える
2. GDPが増える(くらい景気がいい)から → (失業率が減って)就業者が増える

そういう因果関係は回帰分析ではわかりません。

ともかく、就業者数とGDP成長率は相関関係があることはわかります。

そこまでは回帰分析でいえることです。ここからは推測ですが、因果関係としては、2.の側面もあるのでしょうが、大きいのは1.でしょう。

となると、長期的にみて、GDPは大きくは成長しにくいといえます。日本の景気がいいのか悪いのかは、「GDPの低成長を前提にして」議論すべきだというのが私の意見です。

ですからいまの日本は、名目でプラス1%の成長ができれば良しと考えた方がいいです。


日本の成長が1%くらいだとして


低成長を前提にすれば、株式投資の期待収益率も大きくは期待できないでしょう。低成長、低インフレは先進国におおむね見られる傾向です。グローバル投資でも、株式のリスクプレミアムは大きくは期待できないというのが私の見方です。

株式投資は過去はハイリスク・ハイリターンだったのが、いまはミドルリスク・ローリターンになっているというのが私の見立てで、そうであるから「長期投資」よりは「ときどき手入れをする中短期投資」がいいと主張しているのです。

ローリターンというのは期待値がローということです。リスクがミドルであれば、実現するリターンがミドルやハイになる可能性があります。

さて、日本の株式市場に話を戻します。下の図は1995年以降の日経平均株価とGDPの関係です。

日本のGDP 投資家オンライン

株価の動きとGDPの動きは、あまり関係がないといえます。まったく関係がないとまでは言いませんが、株価はGDP以外の要素で動くことが多いから、GDPはあまり関係ないのです。

以前にも書きましたが、日本の株価は為替を合わせた米国の株価と同じような動きです。それは株式市場がグローバルに連動しているからです。


まとめ


日本は90年から低成長期に入っています。
日本の景気判断は低成長を前提に議論すべきです。
株式市場はGDPとの関連性はそれほど大きくはありません。
株式市場はグローバルに連動しているからです。

日本の少子高齢化を悲観して日本はダメだとよく言われます。ただ、株式に投資する投資家としては、そういう悲観論はひとまず置いておいて、グローバルな経済動向や為替の動向などをみながら投資判断をしたほうがいいですね。

 
749:勉強になりました。

名目GDPと日経平均の比較は考えたことなかったですね。勉強になりました。
名目GDPと就業者数については、もう一歩突っ込んで名目GDP(がいいのかどうか)と労働力人口で分析をお願いしたいです。
注文つけてすみません。

2015.08.02 10:59 スケアクロウ #- URL[EDIT]
750:

※749:スケアクロウさん
コメントありがとうございます。
名目GDPと労働力人口の関係は以下です。
http://blog-imgs-79.fc2.com/i/n/v/investoronline/021_additional.png

GDPと労働力人口は同じようなトレンドですね。

2015.08.02 17:09 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]
751:

さっそくありがとうございます。
やはり労働力人口の減少もデフレの「一因に」なったということですかね。

2015.08.02 19:51 スケアクロウ #- URL[EDIT]
752:

※751:スケアクロウさん
そうですね。労働力人口の減少もデフレの一因になってると思います。

2015.08.03 10:26 小黒とら #j72wRO66 URL[EDIT]

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