門松は冥土の旅の一里塚 生命の値段について

「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし」 一休宗純

正月のおめでたい時に、あえて一日一日が人生の終わりに向かっていることを意識させる一休さんの狂歌です。一日一日を大切に生きたいですね。

私にとって「大切に生きる」というのは、他人を敬いつつ、自分も我慢しないで自然に生きることです。他人の意向を慮りすぎず、意に介さないこともなく、自分が我慢しすぎることもなく、我を通し過ぎることもなく、自然体で中庸を保てるようになりたいものです。

さて、今回は生命の値段についてです。早い話、生命保険の保険料についてです。


期待値について


確率の世界で期待値というのは、平均してこうなるという値です。実現する値を確率で加重平均して求めます。

たとえば、当たれば100円、外れたらゼロ円のくじがあって、全部のくじ100本のうち当たりは50本、外れも50本あるとします。
実現値100円は50%、ゼロ円も50%の確率で発生しますので、このくじの期待値は

100円×50%+ゼロ円×50%=50円

期待値は50円です。何回も何回も、たくさんくじを引くと賞金は平均して50円になります。100円の人もいて、ゼロ円の人もいて、くじを引いたたくさんの人を集めて平均すると賞金は50円ともいえます。

1人で100回くじを引いたと考えても、100人が1回くじを引いたと考えても、それぞれ平均すると50円となります。確率加重した平均値が期待値です。


生命保険の期待値


期待値とは実現値を確率加重した平均値です。さて、生命の値段について考えましょう。

当たり、外れという表現は不謹慎なので使いませんが、生命保険というのは、ある期限内に「生きているか」「死亡しているか」に賭けるくじ引きのようなものともいえます。

1年以内に「生きていればゼロ円」、「死亡すれば3,000万円を受け取れる」、そういう生命保険があるとします。

その期待値はどう計算するでしょう。くじの参加料です。

計算は、「生きている確率×ゼロ円+死亡する確率×3000万円」です。ただし、生きている確率と死亡する確率を合わせたものは100%です。

生きている確率×ゼロ円はゼロだから無視していいので、結局、期待値は「死亡する確率×受取保険金」となります。

さて、死亡する確率は?

統計的には「生命表」を見ればわかります。

たとえば、50歳の男性が1年以内に死亡する確率は、0.317%です。(生存する確率は99.683%)

となると期待値は、0.317%×3000万円=95,100円 (月割の額なら7,925円)


生命保険の期待値と保険料


平均すれば95,100円の保険金が支払われるのが生命保険です。それに対して保険料はどうでしょう。

50歳の男性で、3000万円の死亡保険の保険料は月額7,925円以上するはずです。

保険料には保険会社の運営費や利益が上乗せされているからです。保険に入る消費者は、平均すれば(=死亡する確率と受取保険金の額を考えれば)割高だと思いつつも、万が一、自分が死亡したら・・・と思って入っているんですね。

保険に入るのは期待値からの判断ではなく、ゲーム論でいうところのミニマックス戦略なのでしょう。ミニマックス戦略というのは、最悪の事態を最小にするという戦略です。

パーソナルファイナンスでは、保険などはミニマックス戦略で万が一のことを考えて割高でも保険に入ることがあります。一方、株式投資はリスクに応じて期待値を割り引いて投資判断することが想定されています。

期待値ベースの考え方、ミニマックス戦略での考え方、この二つが混在することがパーソナルファイナスを複雑にしています。これについては、また追々書いていきたいと思います。

今日のところは、あなたが支払っている「年間の生命保険料」と、「あなたと同じ年齢・性別の人が1年以内に死亡する確率×受取保険料」を見比べてみてはいかがでしょうということです。

保険料の妥当性を考えることも重要ですし、死亡率を見ることで、日々、生きていることを改めて意識できます。お正月のおめでたい時期だからこそ、一休さんの教えのように生死を考えてみるのもいいものです。

 

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