日本の金利が低い理由 日銀だけが問題じゃない

日本の金利は、ほぼゼロです。普通預金の金利は0.02%ですし、つい先日は2年物国債の入札でマイナス金利になったことも話題になりました。

なんでこんなに金利が低いのかを考えてみました。

その前に

日本の国債はJGBと呼ばれます。Japanese Government Bondの頭文字でJGBです。少数派ですが、JGBではなくJ-Bondという用語を使う人もいます。

こんなジョークがありました。

J-BondのJは何のJか知ってるか?
Japaneseでしょ。
いや、違う。JamesのJだ。
え?
James Bond !

投資家オンライン

金利が0.07%だからね。

と、まあ、つまらないジョークでした。(汗)


低成長・低インフレ・低金利


さて、軽くすべった後で本題に入ります。

まずディスクレーマーから。経済学にはいろいろな流派がありますので、一つの事象に対してもたくさんの解釈や意見があります。なので、あくまで一つの意見として聞いてください。

日本の金利を考える時に、日銀がジャブジャブに金融緩和をしているから低金利なのかというと、確かにそういう面もあるのですが、もっと奥深い理由が別にあると思っています。

それは低成長、低インフレです。

まず、実質金利から説明します。

実質金利 = 名目金利-インフレ率

そして、実質金利は、実質経済成長率にほぼ等しくなると考えられています。

実質金利 ≒ 実質経済成長率

実質経済成長率とは、実質GDP成長率のことです。GDPは企業などの経済主体が生んだ付加価値額の総和です。前年比でどれだけ付加価値を増やしたかが、経済成長率になります。

企業はお金を借りて設備投資などを行って、付加価値額を増やしていきます。借入金利が低くければ、借り入れを増やして成長していきます(付加価値を生んでいきます)。借入金利が高くて採算に合わない(付加価値を生めない)となると、借り入れをやめて成長も鈍化します。

均衡点としては、借り入れの金利と成長が見合うところです。つまり、実質金利 ≒ 実質経済成長率です。


中央銀行の役割


中央銀行の伝統的な金融政策は金利の操作です。

経済は波がありますから、「実質金利 ≒ 実質経済成長率」が成り立つわけではありません。

そこで、経済成長率が過熱しているようなら、金利を引き上げて経済成長を押さえにかかりますし、経済が低迷しているようなら、金利を引き下げて企業に投資や生産活動を促します。

そうやって景気の波を安定化させるのが中央銀行の役割の一つです。

ただし、ここまで説明してきて混乱を招くかもしれませんが、中央銀行が操作できる金利は「名目金利」です。実質金利は操作できないのです。


デフレと実質金利の高止まり


すでに政策金利はゼロに張り付いています。名目金利がゼロということです。

ところが、デフレでインフレ率がマイナス1%だとします。

そうすると・・・

名目金利 = 0%
実質金利 = 0 – (–1) = プラス1%

実質金利が1%で高止まりしているのです。実質経済成長率が0%だとすると、実質金利1%は金融引き締め的です。

そこで、インフレ率が2%なら

名目金利 = 0%
実質金利 = 0 – (+2) = マイナス2%

実質金利がマイナスになります。そうすると、実質経済成長率0%に対して、金利マイナス2%は緩和的といえます。


日本の潜在成長率


日本の潜在成長率についてです。潜在成長率とは、「労働」、「資本」、「生産性」を最大限活用して、中長期的に持続可能な経済成長率のことです。日本の場合、90年以降は労働投入量がピークアウトしていますので、ずっと低成長が続いています。この先も高い成長は望みにくいでしょう。

日本の場合、潜在成長率の低下と、デフレ下で実質金利が下がらなかったことで、低成長が続いています。成長率が低いことで金利も低いという状況です。

潜在成長率の低下、デフレ気味の状況は、日本だけでなく、ドイツやスイスなど欧州の先進国も同様です。

低成長、低インフレ、その結果としての低金利は、豊かな先進国に特有の悩みです。

日銀がたくさん国債を買っているから低金利、マイナス金利という面もありますが、日銀はマイナス金利にしてでも、投資や生産を促して経済を成長させたいということでもあります。

日本のゼロ金利は、日本の潜在成長率の低下が根っこにあると思います。

 

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