なぜ日銀は国債を購入するの? ポートフォリオ・リバランス効果について

今回は、なぜ日銀は国債を購入するのかについてです。

まず、誤解を解いておきます。

日本の国債発行額は膨大なので、誰も買いたがらない。しょうがないから日銀が買っている。日銀が国債を購入すると財政規律が緩み、やがて日本国債や円の信用が失墜し、国債暴落と円の暴落が起きて、ハイパーインフレになる。

こうやって不安を煽る人がいますが、それは誤解です。

日本国債は安全資産なので買いニーズはいくらでもあります。
また、財政は悪化のスピードが減速してます。2015年度予算案では新規の国債発行は前年比で減額ですし、公債依存度も低下しています。


ポートフォリオリバランス効果 小黒とら
出典:財務省HPから (クリックで画像拡大)

国債の管理は財務省の仕事です。日銀の金融緩和があってもなくても、財務省は財務省の仕事をきっちりやるわけです。

日銀の国債購入と、財政ファイナンスはひとまず分けて考えましょう。


ポートフォリオ・リバランス効果


さて、本題。日本銀行は国債買入れの効果として「ポートフォリオ・リバランス効果」を狙っています。

ポートフォリオ・リバランス効果とは、日銀が国債を買ってジャブジャブに資金を供給することで、銀行等に対してリスクはあるけど高リターンも期待できる運用先を求めてポートフォリオの再構成を行うことを期待するものです。

具体的に、架空の「とら銀行」を考えます。

とら銀行は日本銀行に、「株式会社とら銀行」名義の当座預金を開設しています。日銀に預金口座を持っているわけです。キャッシュカードは発行されませんが・・・

日本銀行が、とら銀行から国債を買い取る(=とら銀行が日銀に国債を売る)ケースを考えます。このとき、とら銀行の国債が減りますが、国債の代金は、日本銀行にあるとら銀行名義の口座に振り込まれます。日銀が振り込んでくれます。

さて、とら銀行は預金残高が増えました。使えるお金が増えたわけです。


お金の使い道


個人で考えると、国債を売って代金が振り込まれたので、う~ん、そのお金を使っておいしいものでも食べようか、車でも買おうか、家でも買おうか・・・と消費するか、あるいはもう一回国債を買って運用するか、それとも預金のまま置いておくか、リスクを取って投信で運用するか、と頭を悩ますでしょう。

とら銀行の場合、自分のお金ではなくて預金者のお金なので、消費には回せません。そうすると、
1. もう一回国債を買うか
2. 預金のまま置いておくか
3. 銀行らしく企業に融資するか
4. 株や外債などに投資するか
などの選択肢があります。

10年物国債なら0.4%の利回り、預金なら0.1%の利回り(日銀超過準備)です。

日銀が国債を買い上げることで国債の利回りが低下してます。0.4%の利回りだと、とら銀行としてはなかなか利益が出せません。

日銀としては、とら銀行はリスクを取って3や4を選択するようになるだろう。銀行が融資を増やせば世の中の金回りがよくなるので景気も力強さを増すだろう、と期待するわけです。


国債から融資へ


お金の流れを変えるのが日銀の狙いです。

銀行の資金運用先が国債から企業融資にシフトするのが、日銀が期待する「ポートフォリオ・リバランス効果」です。銀行の資金運用先というのは、すなわち、預金の使われ道と同じことです。

日銀が国債市場を締め上げることで、とら銀行が銀行融資を増やす。これが日銀の狙いで、日銀がアグレッシブに国債を買っているのは銀行融資の増加を期待してのことです。


効果は?


銀行融資残高の伸びは以下の通り。日本銀行のデータを使ってグラフを作りました。

ポートフォリオリバランス効果 小黒とら

赤線が貸出残高です。伸びてますね。

企業融資やリスク資産への投資など、お金をどう活用していくかは重要な話です。個人のパーソナルファイナンスもそうですし、国レベルでは年金の運用もそうです。

ともかく、日銀が国債を購入している理由は、財政を支えるためではありません。銀行や家計などの経済主体が、国債投資を減少させ、貸出のほか、株式・投信や社債への投資フローを増加させるという「ポートフォリオ・リバランス効果」を狙ってのことです。

日銀の国債購入は財政ファイナンスのためではなく、景気刺激のためです。


結論が単純なわりには長い文章でした。すみません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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