カテゴリ:投資や投機や貯蓄について の記事一覧

積立NISA 排除された投信で積立投資したらどうなるか

積立NISAの対象となる投資信託には厳しい要件が課されています。そのため積立NISAの「公認」ファンドとして認められたのは、多くはインデックスファンドです。

ノーロードで信託報酬が低い、信託期間が長いなど、長期的な資産形成に向く投信が積立NISAの理念に合致するファンドとなります。

そういうファンドだけで始めるのは、分かりやすさの点ではいいと思います。

今回は、理念の合致と排除の理論と現実について


積立NISA設立の理念


積立NISAを設立した理念である、長期・分散・積立投資はいいと思います。

それに低コストも。

理念そのものに反対を唱えるつもりはありません。ただ、要件に合わないものを排除する仕組みに若干の引っ掛かりを感じます。

金融行政版、排除の理論ですね。

積立NISAから排除されたファンドは、長期・積立で非課税のメリットを受けられないです。それは残念な気がします。


排除された側はダメなのか


排除されたファンドは、長期・積立投資に向いていないのか。
公認されたファンドは、長期・積立投資に向いているのか。
その違いはどのくらい大きいのか。

って、実証的なデータを知りたいですね。

気になったので日本株投信で検証しました。データ取得先はモーニングスターです。


非採用ファンド


1. 販売手数料あり
2. フィーレベルが比較的高い、高い
3. 運用年数15年以上

これで純資産の大きい3ファンドを選びました。

1. フィデリティ・日本成長株・ファンド (信託報酬1.65%)
2. ノムラ 日本株戦略ファンド (信託報酬2.05%)
3. JPM ザ・ジャパン (信託報酬1.84%)

どれも販売手数料は最大3.24%です。


採用ファンド


過去15年以上の実績があるTOPIX連動のインデックスファンドの中から、最も信託報酬の低いものを選択しました。(実際に積立NISAの公認になっているかは未確認ですが)

日立 国内株式インデックスファンド (信託報酬0.16%)

販売手数料はゼロ。


過去15年のバックテスト


2002年9月から2017年9月まで
月末に毎月10,000円のドルコスト平均法による積立投資
アクティブ3ファンドは販売手数料3.24%を考慮、インデックスファンドはノーロード
基準価額を用いて試算

結果は、投資元本1,800,000円に対して

0. インデックスファンド: 3,128,000円
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド: 3,109,000円
2. ノムラ 日本株戦略ファンド: 2,927,000円
3. JPM ザ・ジャパン: 5,514,000円

どのファンドでも資産は増えていますね。


過去10年のバックテスト


2007年9月から2017年9月まで同様にやってみました。

結果は、投資元本1,200,000円に対して

0. インデックスファンド: 2,096,000円
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド: 2,081,000円
2. ノムラ 日本株戦略ファンド: 1,973,000円
3. JPM ザ・ジャパン: 2,671,000円

どのファンドでも資産は増えています。


過去15-5年のバックテスト


変則的ですが、2002年9月から2012年9月までの10年間でやってみました。

アベノミクスの効果を受ける前に止めた場合です。

結果は、投資元本1,200,000円に対して

0. インデックスファンド: 924,000円
1. フィデリティ・日本成長株・ファンド: 919,000円
2. ノムラ 日本株戦略ファンド: 905,000円
3. JPM ザ・ジャパン: 1,626,000円


まとめ


まとめます。

fsa_nisa.png

この検証結果をどう思いますか。

私は、長期を10年以上としてサンプルの結果からは、

1. 非採用ファンドは、長期・積立投資に「向いていない」とは言い切れない。
2. 採用ファンドは、長期・積立投資に「向いている」とも言い切れない。
3. 両者の間に、明確な違いがあるかは分からない。

と思いました。
(サンプル数が少ない点は要注意ですが。)

こと投資の観点からは、公認ファンドに投資していればOKとはならないし、排除されたファンドがダメともならないですね。

投資時期の要素のほうが、資産形成の結果に与える影響は大きそうです。

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かんたんな投資を誘う記事 だからこそ甘言に注意したい

軽装でできるハイキングであれ、重装備で山頂を目指す登山であれ、どちらにも共通することがあります。

自然を甘く見てはいけないし、自分の能力を過信してはいけないということです。投資も同じだと思います。

今回は、楽しさと危険性について


上げても下げても利益が出せる?


AREA.netが資産運用の記事を連載しているのですが、今回の記事はかなり気になりました。

「1分で理解!上げても下げても利益が出せる「シンプル投資」のしくみ」という記事です。[外部記事]

タイトルからして読者をミスリードしそうですね。

記事の中から一部を引用します。

毎月金額を決めて、一定額を投資信託などに積み立てていく「積み立て投資」なら、いつ始めても大丈夫です。しかも勉強したり手間をかけなくても、誰でも簡単に実行できて損をしにくい仕組みなのです


ん・・・

「いつ始めても大丈夫です」って言い切っていいのかなぁ。

それに楽に簡単にできて、しかも損しにくいなんて甘い言葉が続きますね。


記事で想定していないケース


記事では、ドルコスト平均法で上手くいったケースを2つ挙げています。

しかしそれでは不十分です。ドルコスト平均法にとって都合の良いケースだけを提示して、上手くいかないケースを外しているからです。

元の記事では10,000円から2,000円になって、5,000円に戻るケースがありました。このケースの逆を考えます。対数収益率を逆転させて計算します。

10,000円→2,000円→5000円のルートが
10,000円→50,000円→20,000円になります。

dollarcost.png
(縦軸:基準価額、横軸:投資年数)


計算結果


毎月1万円で計算するのは大変なので、年額12万円で10年間にします。

投資元本:120万円
ドルコスト:97万円
一括投資:240万円

一括投資していれば2倍になっていますが、ドルコスト平均法の積立投資なら97万円になってしまいます。

上昇局面での高値掴みの影響です。

こういう局面でのシミュレーションも提示すべきですよね。


大事なこと


投資に絶対はないですね。

投資の必勝法も、私が知る限り、これといったものはありません。特定の投資法が有利ならみんながそれを実践するはずですが、実際にはそうなっていません。世の中にはいろんな投資法があります。

ドルコスト平均法も数ある投資法の一つです。

特に優れているというものでもなく、数ある投資法の一つと思って見た方がいいと思います。


思うこと


週末に簡単にアクセスできる低山がシニア層に人気です。ガイドブックもたくさんあります。

で、たいていのガイドブックは山の楽しみだけでなく、山の危険性にも触れてますね。ハイキングに向いた低山でも滑落や遭難の危険性はありますから。

初心者の裾野が広がるためには、情報のバランスが必要だと思います。楽しさと危険性。その両方を知って初めて一歩を踏み出せ、さらに二歩、三歩と続くんだと思います。

逆に考えると、甘言だけで投資に誘う内容は要注意ですね。

楽しさだけで始めることは長続きしない気がします。楽しさはもちろん必要ですが、長く続いているのは、難しいこと、困難な状況もある事を心して始めたことかな。

なんて思いました。

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積立NISA 「50年、100年かけて育てていきたい」に思うこと

積立NISAに関して日本証券業協会会長のインタビュー記事がAERA.netにありました。前回は金融庁側、今回は業界側で、2日続けての積立NISA記事です。[外部記事]

日本証券業協会会長のインタビューからは積立NISAの難しさを感じました。

今回は、長期投資の考え方について


採算がとれません


日本証券業協会の会長は、積立NISAは「すぐには採算がとれません」と言っています。

採算が取れないとは、利益が薄いのではなくマイナスが見込まれるということですね。赤字の見えているプロジェクトなので、証券会社としては、積立NISAを積極的には手掛けたくないだろうなと思えます。

で、記事には「日本証券業協会は金融商品取引法で認可を受けた公的な組織であり、金融庁と一体になって活動しています。」とあります。

これは、積立NISAが思ったほど普及しなくても証券業界だけが悪いんじゃないよ、「金融庁と一体になって」活動してますよ、と予防線を張っているのかもしれません。

うがった読み方ですけど。


長期には長期を


興味深いのは次の部分です。

テレビと同じで、普及率が一定水準を超えると爆発的に加速します。15~20%に達すれば、一気に100%まで駆け上がるイメージです。もっとも、20年くらいでは難しいでしょう。


「つみたてNISA」は50年、100年かけて育てていきたい。そのためには、ぜひとも非課税期間の恒久化が望ましいと考えています。


長期的な計画ですね。

長期投資が根付くには長期間が必要ということでしょうか。それとも、普及しなくても20年くらいは文句を言わないでくださいね、という金融庁に向けたメッセージかもしれません。

積立NISAの普及は20年では難しく、50年、100年かけて育てていきたいって・・・

長期的な展望で普及を考えているとも言えますが、実質的には先送り宣言とも読み取れます。


成功体験の矛盾


前回の金融庁側も、今回の業者側も、口をそろえて「成功体験」と言います。

金融庁側は、積立NISAは初心者が成功体験を持つ「きっかけ」となる重要な仕組みと述べ、証券業界は積立NISAで成功を体験して、そこから一生に渡っての本格的な投資を期待しています。

どちらも積立NISAは呼び水の意味合いですが、よくよく考えるとこれって矛盾がありませんか?

積立NISAは長期、分散、積立投資です。積立NISAをやって成功体験を得るには、20年はかかりますよね。だって長期投資ですから。長期投資が成功したかどうかは、長期的な将来にしか分からないはずです。


わからないこと


積立NISAを、初心者が「成功体験」を得るためのきっかけとして位置付けた場合、積立NISA自体の投資理念である「長期投資」との関係をどう整理したらいいのでしょう。

とりあえず積立NISAを始めて、そこでしばらくして成功体験を得る。でも、それって長期投資家から見たら短期的な成功でしょうし、投資期間中の勝ち負けに一喜一憂しないのが長期積立投資のはず。

ん・・・

積立NISAが成功体験のきっかけ、という考え方がどうもよく分かりません。

全体として考えたときに矛盾を感じて腑に落ちないんです。

なので、やっぱ自分が納得できる投資がいいや、というところに落ち着きます。


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金融庁の執念 馬に水を飲ませることはできるか

「つみたてNISA普及に見せる金融庁の執念」という記事を読みました。[外部記事]

積立NISAは2018年にスタートします。申し込みの受付は10月からなので、いいタイミングでの記事出稿ですね。

今回は、金融庁の執念について


取り組みが消極的だとつるし上げ?


気になる点を引用したいのですが、カギつきの記事なのでベタの引用は避けて要点をお伝えします。

積立NISAに関する金融庁とブロガーの会合です。第3回は投信の運用会社、第4回は販売会社が呼ばれ、「取り組みが消極的だとつるし上げられるのでは」と、販社などの担当者はひやひやだったそうです。

取り組みが消極的なのはビジネスの採算に確信が持てないからです。うまみの少ない分野に、積極的に取り組めないのは資本主義では自然なことですよね。

私もブロガーですが、株式投資をしている投資家でもあります。投資家の目線では販売会社が取り組みに消極的なのは理解できます。


外資系投信会社


会合に集まったブロガーは紳士的で、建設的な議論が多かったとのこと。つるし上げは取り越し苦労に終わったようですね。

なお、金融庁とブロガーの会合に、運用会社や販売会社を呼ぶといった取り組みに対し、外資系の投信会社からは「いくら何でも悪ノリだ」といった声も出たそうです。


金融庁の執念


採算性の観点から参入は様子を見たいと発言した金融機関に対して、一喝して積立NISAの取り組みを強要するくらいですから、金融庁の執念はすさまじいものがあります。

日本に長期、分散、積立投資を根付かせたいという理念はいいと思います。しかし、その思いが過ぎるのは、ちょっと問題がある気がします。

過ぎたるは、なお及ばざるがごとしです。


思うこと


「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」という諺があります。

金融庁が制度を作って、金融機関に圧力をかけたとしても、投資家がその気にならなければ水は飲まないですよね。

金融庁が飲ませたい水と、投資家が飲みたい水。

積立NISAが成功するかどうかは、多くの投資家が飲みたい水なのかどうかですね。

金融庁が飲ませたい水じゃなくて。

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毎月1万円で1000万円は貯められる?

「毎月5万円で1億円は貯められる」というCMを打っていた投資関連の会社がありました。

最近は、毎月1万円で1,000万円という記事を見かけました。

どちらも長期間での複利効果が前提になっていますが、私はこの考え方は非常に危ないと思っています。リスク資産に投資するのに安易に複利効果を持ち出すのは危険です。

今回は、ちょっと辛口


机上の計算なら毎月5万円で1億円は貯められる


たしかに、計算上は毎月5万円で1億円は貯められます。

毎月の計算は煩雑なので年額でざっくり計算します。

年60万円、30年間、10%の複利で計算すると1億と856万円になります。投資の元手は1,800万円です。1,800万円が1億を超えるのだから夢のような話です。

最近見かけた記事では22歳から60歳までの38年間、毎月1万円の投資で1,000万円を超えるというのがありました。その際の前提は年4%の複利運用です。

年12万円、38年間、4%の複利計算すると1,073万円になります。元手が456万円です。

計算上は毎月1万円で1000万円は貯められます。


年4%の複利運用


さて、年4%の複利運用を前提にもう少し考えましょう。

1) 22歳から60歳まで、毎年12万円の積立投資。38年間
2) 22歳から25歳までの3年間はひたすら貯めて、25歳の時に300万円で一括投資。35年間。

1のケースでは投下資本は456万円です。

結果はこうなります。

1の場合 456万円が → 1,073万円
2の場合 300万円が → 1,184万円

後者の方がいいですね。


複利効果を喧伝するなら


長期投資で複利効果を味方に!

と言って投資を勧誘する人がいます。その場合、確定的に、いついかなる時も、年○%のリターンが得られることが前提になっています。

その前提が成り立たないと複利効果も無いですからね。

さて、確定的に、いついかなる時も、年○%のリターンが得られるという前提に立つなら、積立投資をすすめるのはナンセンスです。だって、いますぐ、できるだけ多くの資金を投入すべきだからです。


考え方の整理


複利効果を主張する場合
リターンは確定的で、いついかなる時も利回りは同じことが前提
そうであるなら買付時期を分散させる積立投資ではなく、今すぐの一括投資を推奨すべき。

一括投資はリスクがあるから積立投資にすべきと主張する場合
リターンが変動することが前提
そうであるなら長期の複利効果は主張できない。

ということで、結論としては

長期の複利効果を言いながら、でも投資にはリスクがあるから一括ではなく積立投資がいい、と述べるのは論理的に矛盾を抱えているということです。


思うこと


リスク資産への投資ではリターンは確定的ではないですよね。

でも、確定利回りかのように複利効果を持ち出す人がいます。かつての毎月5万円で1億円のようにミスリードを狙ったものなら不誠実ですし、深く考えずに利益の算出に複利効果を持ち出すのは不見識と言えるでしょう。

投資でリターンが変動するから、みなさん悩んだり、恐れたり喜んだりするわけですよね。

長期の複利で利益を見積もるのは、リターンの変動を無視しているので危ういです。

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